11月15日(土)に,第14回 東海北陸作業療法学会 の教育セミナーに登壇させていただきます.また,11月29-30日は,先日からご案内しておりますが,OBP研修会です.
どちらも,テーマは「作業を基盤とした実践」occupation-based prancete(OBP)です.
OBPって大事だってことはみなさん分かっている.でも実践何故できないのか? そこの悩みが長年解決されずに,永遠のテーマ化しているのですが(笑),いろいろ見聞きして,みなさんの悩みは結局3つに収束されるのかなぁと思っています.
1つ目は,作業って効果あるの? 心身機能が回復する可能性があるのに作業に「逃げる」のはセラピストとしてどうなんだ?というたぐいの疑問.これは近年作業を用いた支援,治療に関する研究が出てきているので,それをを整理することで見えてくると思います.
2つ目は.実際にどうやってやればいいの?ということ.これについては,面接や観察を中心としたトップダウンのアプローチを行うこと.その具体的なツールとしてADOCを紹介させていただきます.
3つ目は,チームでOBPを実践するにはどうすればいいのか? これはまだ明確な答えがあるわけではないですが,周りには実践している人が沢山いますので,今のところその人たちをお手本にしていくことかなと思います.
東海北陸学会では1〜2を中心にお話させていただきます.3つ目はどうしても教員の僕は弱いところなんですよね.でもOBP研修会では,うちら企画なんで1〜3全部がメインです(笑)
お近くでお時間ある方はお立ち寄りのほど,よろしくお願いいたします.
最後まで読んで下さりありがとうございましたーー.
東海北陸作業療法学会の抄録を添付します.
第14回 東海北陸作業療法学会 の教育セミナー
1日目 13:40〜15:10 第1ホール
作業を基盤とした実践
神奈川県立保健福祉大学大学院・NPO法人 ADOC project
友利 幸之介
一方,Polatajkoは,Advancing occupation-based practiceと題した論説において,機能障害の軽減は作業遂行を高めるための適切な介入とした上で,作業の可能化を目標にかかげ,その目標と実践や介入の連続性が保たれているならば,それはOBPと言えるだろう,と述べている.つまり,作業との連続性が明確にあるという前提のもと,作業への間接的な介入もOBPとして認めている.
では,わが国のOBPはどうだろうか.齋藤は,OBPとは,クライエントが大切な作業に従事することを通して,よりよい作業的存在になるために行われるクライエントと作業療法士の協働であり,その支援内容は,クライエントの状態(発症時期や回復可能性など)によって,柔軟に選択されるべきものである,と述べている.確かに,わが国の作業療法の実状は,医療という枠組みの中で始まったものの,近年では作業療法士が従事する場や対象も多様化し,今後もさらに拡大していくであろう.そうなると,必然的にOBPにも柔軟性が求められる.
こうした背景を踏まえ,近年,寺岡と京極によって,OBP2.0といった新しい理論も開発された.OBP2.0では,作業遂行機能障害に焦点を当て,その改善のために,信念対立解明アプローチに準拠して,状況と関心に考慮しながら,様々な介入を活用していく.また我々も,作業に焦点を当てた目標設定を,システマティックに行うためのiPadアプリであるAid for Decision-making in Occupation Choice(ADOC)を開発した.わが国のOBPは,先人の思想を受け継ぎつつ,「その時代の」日本にあわせた形で解釈され,進化し続けている.もちろんこの柔軟的な進化は,作業との関連性が希薄な実践の免罪符になってはいけない.つまり「なんでもあり」という訳ではない.また,実証的根拠なしに信念だけが先行してもいけない.本講義では,これまでのOBPの歴史を概観した上で,OBPに関する新しい知見を交えながら,OBPを具体的に実践するためのポイントについて概説する.
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