2015年5月24日日曜日

施設での作業療法

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カミさんが「いいこと思いついた!」と冷えピタを貼ってます(笑).tomori@宮古島です.暑いだけでなく,梅雨真っ盛りです.

宮古島に帰ってから早1ヶ月.少しのんびりできるかと思いきや,朝はヨガに英会話,仕事もろもろ,平日は臨床,休日は部屋の片付け,そしてPTA(笑)ブログ書く時間も無いくらいバタバタした生活を送っています.こまめにアップすると宣言したばっかりだったのに(笑)



慣れない臨床では,施設入所者と通所の方をあわせて1日15〜20名くらいみて,入所者のリハビリテーション実施計画書を作り直しています.基本入所施設に配属なので,回復期や外来のように1日1日が勝負!というよりは,時間的にのんびりした状況です.臨床は分からないことだらけなんですが,文献を調べたりしながら仮説を立て,実際に試してみて変化があれば喜び,無ければ再度考え... というサイクルを楽しんでいます.

リハ担当は,前任が鍼灸師,その前がPTさんでしたので,基本的にリハビリ=機能訓練な状況です.リハスタッフは僕一人なので,皆さんに求められるがまま,プラットフォーム,平行棒,ティルトテーブルをフル活用しています(笑).

一方で,施設は入所者さん全員に訪問リハができるような環境だし(笑),訪問時間以外も生活をじっくりと見れることはいいですね.直接的なADL訓練,自助具作成,介護方法の検討などもしています.



それはさておき,施設とかで働いているとなかなか作業療法の専門性が分からなくなってくると以前聞いたことがありますが,僕が約1ヶ月施設で働いてみて思うことは,むしろ施設にこそ作業療法が必要だろうと思います.時代はやれ地域だ教育だ就労だと新規開拓に熱心ですが,従来から沢山ある「施設」に目を向けていってもいいんじゃないでしょうか.



というのも作業機能障害(寺岡,京極)が多く存在しているからです.入所者さんの発言を作業機能障害の視点で整理してみると…

「暇すぎる」:作業不均衡
暇すぎたり,忙しすぎたりが続いている.生活のバランス,生活週間が崩れている.

「ここじゃ無理でしょ」:作業周縁化
やりたいことはあるけど,周囲から止められる.周囲の期待と自分がやりたいことにギャップがある.

「この体じゃ何も出来ない」:作業疎外
生活に楽しみがなく,気分が沈みがちである.体が不自由でやりたいことができない.

「することがない」:作業剥奪
道具や材料がないからやりたいことができない.好きなことをする機会がない.話し相手がいなくて寂しい.



などなど多くの作業機能障害が存在しています(評価表は使ってませんが).もちろん作業機能障害が存在しているからといって,これをすぐに作業療法でどうにかできるというほど簡単なものではありません.

入所者が何か作業をするにしても遂行技能はそれほど高くないし,何よりも長い入所生活のなかで,入所者自身が「自分は何も出来ない人」というストーリーを創り,それが結構強固です.また環境的にも,入所者は転倒や熱発などちょっとしたアクシデントでも加速的に悪化するので,とりあえず「安全に」が最優先になります.

こんな話は至極当然で,大学にいるときも様々な臨床家から現場の話は聞いてはいたのですが,いましみじみと実感しています.現場ってこんな大変だったんだなと.もしそれが変わったのなら,そりゃ確かに涙が出るほど嬉しいことだろうなと.

以前,OT全国学会で琉球OTさんが,涙目になりながら10年おでんを発表していたとき,僕はそばで笑ってましたが,今ならその気持ちに共感できそうです(笑) 



さて,もう少し作業機能障害を整理して,それに対して介入戦略を組み立てていくのが当面の課題です.僕は臨床家としては非能だなぁと日々痛感していますが(笑),入所者さんの「自分は何も出来ない人」という自己物語をどうにか変えていけるよう,日々小さなことからお手伝いしていきたいと思います.

最後まで読んで下さりありがとうございました.


写真は伊良部大橋からみた海です.





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