2010年7月4日日曜日

作業療法の苦悩と自信

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胃痛に悩むtomoriです。鈍感力だけは人一倍あるはずなのになぁ。
おそらくただの暴飲暴食だと思います。

さて、ボクの担当している身体機能評価の授業では、
なるべく臨床実習や現場に近い経験ができるようにと、
ボクが模擬患者役兼ファシリテーター役でPBLに近い授業をしています

先週末、学生が研究室に来ました。

先生! やればやるほど分かりません。
こんなにハテナだらけでいいんですか?
調べても書いてないし、
どうやって解決したらいいか分からない。
やるほど自信が無くなる。

といった感じの訴えでした。
そう思ってくれれば、とりあえずこの授業をしたかいがあったと思っています。
だって、このすっきりしない感じ、作業療法士なら日々経験していることでしょう。
でもすっきりしないから勉強するし、すっきり満足したら、成長はストップするのでしょう。
だから、すっきりしないことはいい事だと個人的には思っています。
あと,簡単にすっきりしないからこそ,面白いのであって,
不確実なもの,不安定なもの,
だからこそ「やりがい」があって,
逆にそこにはチャンスがたくさん落ちている,そんな気がします.


ちなみに、世の中のサービスで医療が最も不確実だそうです。
一番確実なのは何か物を買うことです。有形だし、そこに無くてもネットでも買える。
次に食事。有形ですが、好みによっても違います。
だんだんと無形的になると曖昧さが増して来ます。
たとえば美容室。次にテレビの修理。車の修理。弁護士。
そして、最後に医療です。

ヒトの体も心もただでさえ複雑なのに、
医療者ー患者間の信頼関係によっても効果が変わる可能性のある、
もともと非常に不確実なサービスなんです。

また、医療でも薬とかオペとかになるとまだサービスを実感できますが、
作業療法はどうでしょう?
さらに複雑性、不確実は増します。


じゃあ自信をもって、作業療法をやっている作業療法士はいないのでしょうか?

います。

自分の作業療法は患者さんの役にたっていると感じている作業療法士です。
そんな作業療法士は、おそらく患者さんの意見を最優先にしているでしょう。
客観的な事も確実だけど、患者さんの感じる見えないことが逆に確実だ、
と信じている作業療法士でしょう。
患者さんと共に患者さんの人生をどうにかこうにか再構築できたときは、
作業療法やっててよかったと心から思える瞬間でしょう。
その積み重ねが作業療法の自信になると個人的には思っています。

そんなボクの個人的な考えから、ADOCを創ろうと思いました。
ADOCで作業療法士と患者さんとの意思疎通がうまくいって、
作業療法士が自分の作業療法の役割を実感できて、
作業療法の自信につながってくれたらいいなと密かに思っています
(じゃブログに書くなよって感じですが)

2 件のコメント:

  1. ウエズセイ2010年7月10日 21:46

    ウエズです。
    開発の動機と目標ですね。
    失敗と改善を重ねて実感したことを、人に伝えるのは難しいなと思う。
    失敗を恐る人に、それもイイ経験だと諭すだけなのは
    あまり親切ではないなと思っていました。
    できるように支援すればいいわけで、
    それで自信が持てるようになれば、自分で考えるようになりますよね。
    ADOCはそのツールになる可能性があるから、
    教育に悩んでいる人たちが協力をしてくれるのかもしれません。

    返信削除
  2. ウエズさんへ

    そうですね.
    失敗は大切で,失敗を恐れていては何もできないとは思います.
    でもそれを押し付けるのも何か違うような気がしてはいます.

    医療は不確実ですが,唯一確実なのはクライエントの主観です.
    それを確認できるツールがあれば,
    作業療法も少し確実性が増すのではないかと個人的には思っています.
    それにエビデンスが加わるともっといいのだけれど.

    tomori

    返信削除

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