2012年8月24日金曜日

人生の目的を強く持っている人はアルツハイマー病による認知機能低下の進行を緩やかにする?

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夏バテなう.tomoriです.
疲労などもあって全くやる気が起こらなかったですが,「ゆず」を聴いたら急にやる気が高まったという,単純明快な脳みその持ち主です.


さて,今日は認知症の論文の紹介です.

Boyle PA et al. Effect of purpose in life on the relation between Alzheimer disease pathologic changes on cognitive function in advanced age. Arch Gen Psychiatry. 2012 May;69(5):499-505.
(齢期の認知機能とアルツハイマー病(AD)の病理学的変化との関連性における人生の目的の影響)
この記事から引っ張ってきました.

訳はちょっと保証できないのですが,
人生の目的を強く持っている人(P↑)と,そうでない人(P↓)を比べて,
脳の病理学的変化に差はなかったけども(脳の萎縮とか特異的タンパク沈着とか),
P↑の人は認知機能低下の進行が,P↓よりも緩やかだったとのこと.


ちなみに人生の目的の測定には,RyffらのWell-being 尺度が用いられている.
この尺度がなかなか良いです.日本語訳はこちらから


 私は現在目的なしでさまよっているような気がする
 本当に自分のやりたいことが何なのか見いだせない
 自分がどんな人生を送りたいのかはっきりしている
 私はいつも生きる目標を持ち続けている  など


このラッシュ大のグループは,他にも研究していて,
P↑の人は死亡率が低いとか,社会的交流範囲が広い人は認知機能低下が低いとか,
面白そうな研究をしております.


この論文をどう解釈するか.

やはり何か目的や目標を持ち,
それを実現するために何かしらの作業に従事することは,
健康を促進するのに重要だと思う.

最近,厚労省から認知症対策の方針が打ち出され,
初期集中支援チームに「作業療法士」が明記された.
上の論文と合わせて考えるならば,
初期の段階で作業療法士やクライエント,家族が目標設定すれば,
認知機能の低下を緩やかにできるのではないだろうか.

そのために,ADOCも活躍できると思う.
この件については,もう少し調べてから書こうと思う.



ぼちぼち出張の準備をせねば... 今日はここまで



以下,下手な翻訳です

高齢期の認知機能とアルツハイマー病(AD)の病理学的変化との関連性における人生の目的の影響

文脈
人生の目的はADの大幅なリスク減少と関連しているが,その保護的影響の神経生物学的根拠については未だ不明である.

目的
人生の目的は,高齢期の認知機能に対するADの病理学的変化による悪影響を減少させるという仮説を検証すること.
デザインー加齢1年ごとの臨床評価と脳剖検を含む,縦断的,疫学的,臨床病理的研究

参加者
Rush Memory and Aging Projectに参加している246名の地域在住高齢者.

メインアウトカム
人生の目的は構成的インタビューを通して評価した.認知機能は死亡する間際まで毎年評価した.検死に関して,ADの病理学的特徴の3指標を定量化した:全体的なADの病理学的変化,アミロイド,tangles(注;AD特有のタンパク質).人生の目的の認識と病理学的変化の関連性は,線形回帰と様々なモデルを用いて調べた.


結果
人生の目的は,全体的なADの病理学的変化や認知機能との間の関連性を修正した.つまり人生の目的が高いと報告した参加者は,病気の負担にも関わらず良い認知機能を示した.人生の目的はtanglesの状態との関連性も減少させ,いくつかの潜在的交絡因子をコントロールした後でも,人生の目的の保護的効果は持続した.さらに,認知機能低下率とADの病理学的影響との関連性を人生の目的が修正するかどうか分析した結果,人生の目的を強く持っている人は,ADの病理学的変化による認知機能低下が少ないことが分かった.

結論

高齢期の認知機能に対するAD病理学的変化の悪影響は,人生の目的を強く持っている人では減少する.





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