2014年6月14日土曜日

屋根瓦方式OBP教育

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「うちにはテレビが無い」というと,憐憫のまなざしを向けるのはやめてください(笑).tomoriです.今,興味があるのは,4年に1度のワールドカップよりも,WFOTです(笑)



さて,皆が楽しく作業療法ができるようになる.これがADOC projectの目指す目標です.僕たちの活動の全ては,このためにやっています.

もちろん教育もそうです.最近,教育も面白くなってきました.色々つながってきたんですよね.

臨床家から学生へ


先週〜今週にかけて,2人の臨床家のマブダチに,手弁当で講義をしてもらいました。ありがとうございました.

1人目は、学生時代からの友だちで、田中医院 デイケアさくら 瀬下義正さんです。彼は北海道の厚岸という地域で,デイケアの責任者をしています.彼は、地域リハビリテーションはその地域で共に生きる覚悟が必要であることを、学生に伝えてくれました。また、100歳を超える事例の大切な作業への関わりを通して、彼はOBPとかいう言葉は使いませんでしたが、リアルなOBPを学生に伝えてくれました。

2人目は、毎月お会いしている(笑)、イムス板橋リハビリテーション病院、そして日本臨床作業療法学会学会長の澤田辰徳さんに、作業療法についてと、訪問リハについて講義してもらいました。自らの失敗?した事例、作業療法の楽しさを教えてくれた事例… とかく事例を通して作業療法のコアな部分を学生に伝えてくれました。

学生の感想を読んでると、やはり臨床家の話はストレートに響くようです。以下,3年生のコメントです.

授業で「意味のある作業」について学んでいても,実際に患者さんにそういうアプローチをしたり,面接で意味のある作業や価値観をうまく聞き出すことができず,そういうのは理想論なのかもしれない…と不安な気持ちになっていた.今回の講義をお聞きして,私がそういう気持になっていたら,意味のある作業を通して介入していくことはできないと感じた.あきらめないでクライエントのそばを伴走し,そして離れてもクライエントが充実した生き方ができるような作業活動を見つけられるようなアプローチをすることが必要であると感じた.作業療法というのは,必ずしもそうではないが,人を幸せにできるんだと思ってすごくうれしくなった.私も人を幸せにできるOTになりたいと思う.お忙しい中貴重なお話をありがとうございました.

やはり、現場の方のリアルな話を,学部教育にちゃんと組み込んでいく必要があるなと、改めて認識しました。そして実習につなげていきたいですね。

学生から学生へ


続いて先週の話.4年生の実習後の事例報告会です.澤田さんのとこで8週間の臨床実習をお世話になった4年生は,「トップダウンとか習ったけども,実際やっているところは少ないと聞いて,澤田さんのところを希望した.その実習を終えて,実際にトップダウンをやっているやってるところもあるんだと下級生に伝えたかった」と言ってました.

その4年生の発表を聞いた,2年生の感想です.

実際に4年生の発表を聞いて、改めて評価はその方の生きてきた背景や役割を知り、その後の治療につなげていくために必要不可欠なものであると感じた。主婦としての役割を担っていた方の症例では、COPMによってクライアントの重要な作業や生きてきた背景を明確にし、得意な料理の練習中はクライアントのプライドを傷つけないよう最小限の声かけをするなどクライアントの背景や役割を考慮した関わり方を行っていた。一方、認知症の方など希望やニーズを聞くことが困難な場合もあって、例えそれが出来なくとも、笑顔でいる時間を増やすこと、同じことの繰り返しの生活に変化をつけることなど、その方にとって一番良い生き方は何かを考え、介入へとつなげていた。このようにクライアントによって評価と介入は本当に様々であり、学ぶことばかりだった。しかしどんな時も、評価をしっかりと行い、クライアントをよく観察することができれば、おのずとやらなければいけないことが見えてくるのかなと思った。

ちゃんと伝わったようですね.


おわりに


もちろん,感想は学生によって様々ではあるのですが,個人的には、数年前から追い求めてきたOBPの教育が、ほんの少しだけですが、ようやく目に見えるカタチになってきたなぁと実感しています.今まで点在していた,座学,実習,臨床が,ほんの少しですが線でつながり始めていると思います.

つまりのところ,クリニカルクラークシップで言う「屋根瓦方式」でしょうか.



あと,いいタイミングで事例本も出すことができました.これも陰ながら瓦を接着する役割を果たしていますね.今回澤田さんは「レポートは事例本をマネて書くように」と指導したようです.座学で事例本を読んで学んだ学生が,実習でそれをマネて書く.効率的ですよね.僕はいま3年生と2年生の教科書にしました.今後事例本がうまく機能することを期待しています.

そして今回気づいたのが,僕一人でいくら頑張っても非効率的なんです.僕も屋根瓦の一つにしか過ぎないんです(笑).同僚,臨床家,上級生,市民,そして学生とタッグを組み,良い教育にしていきたいですね.ぜひ皆さまのお力添えをお願いしたいところです.

そこでふと... うちの卒業生はどうしているのだろう... 卒業生が、母校で、瀬下さんや澤田さんのように、しっかりと講義できるくらいになってくれてるといいのだけれども... ちょうど来週同窓会があるので,楽しみです。参加を迷っている方は、ぜひご参加ください。

長くなってすみません... 最後まで読んでくださりありがとうございました.







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