朝食はカレーとスコーンとパンとコーヒーでした.tomoriです.吐きそうです(笑)
さて,昨日は今年最後の仕事として,県士会の臨床実習指導の研修会で,レポート指導を担当させていただきました.具体的な話はできないので... と2度ほど断ったのですが,澤田さんも一緒だしそこをなんとか... ということでお受けしました.
やはり普段話したことないテーマなので,準備にはわりと時間がかかりました.テーマは,この3つにしました.
次に,学生時代に僕が尊敬する先生に言われたこと「私とあなたの知識の違いは1%」.そのころは,この人は何を言ってるんだと,真意が理解出来なかったのですが...
よく考えると,こんなコトだったんだなと思いました.学ぶべきことは膨大で果てしなく,その広さに比べたら,自分とあんたの違いなんて無いに等しい,それで1%を理解しているかどうかが大切なんだと言ってくれたんだなぁと気づきました.
作業療法は複雑,そして学ぶべきことも果てしない,となると,学生指導も学生と一緒に悩みながら進めていいんじゃないか,と僕は思っています.そもそも学生が複雑な作業療法を全部できているわけでない(仮に5/10とします).レポートにすると更に半減します(2/10).複雑な事象を文字にすることは誰でも難しいことですし,そう考えるとレポートを介しての指導はそもそも効率があまりよろしくない構造になっていることを理解する必要があると思います.
それよりは,分からないなりにクライエントとどうにか取り組んでいる姿勢,なんとかしたいという情熱,そういったものを学生に見せることで,一緒に考えていいのではないでしょうか.つまり「預かったからには一人前にしなければ!」と気負いせず,学生をパートナーとして一緒に取り組むぐらいの姿勢のほうがうまくいくんじゃないかな.というのが僕の提案でした(今回は実習指導の経験が浅い方が対象だったもので)
▼
つぎにレポート指導による弊害について.CCSの本から転載したデータなんですが,従来型の実習ではストレスも高く,それが特にレポートによるものであること.まぁそれはそうだろうと予測がつきますが,僕が気になったのは,臨床で経験した患者数や,経験した事項が少ないという点です.やはりレポートに追われて,現場でしか学べないことが少なくなるというのは,正直本末転倒ではないかなと思ってしまいます.
レポートによる弊害を,CCSの本から下記の通りまとめてみました.
現在,レポート指導の有無によって学習効果が変わるという報告があるのかは僕も調べてないので分からないのです.でも,過度なレポート指導は良くないだろうと,皆さんご自分の経験からも感覚的に分かっているはずなんで,あまり細部まで見る必要はないのでは?と提案させていただきました.そして弊害を回避するために,下記の提案をさせていただきました.特にレポートは,診療中にスタッフルームで書かせるというくらいなら,出来たところまでよいのでは? と個人的に思っていますし,養成校と相談して対応を決めても良いと思います.
その代わりとして,僕も授業で学生評価に使っているポートフォリを紹介しました.ポートフォリオとはいわゆる紙ばさみのことで,自分が調べたものをファイルしていくものです(本当はもっと深いのですが・・・).レポートという成果物では,結果からマイナスを探す評価になりがちです.ポートフォリオにすることで,日々の学びというプロセスがみれますし,調べたことをどんどん足していくというプラスの評価ができます.頑張っている学生,頑張ってない学生など,成果物では見えない部分も分かったりするので,面白いですよ.オススメです.
レポートの出し方としては,下記の内容を説明いたしました.レポートの具体的な指導方法はあまり話しませんでした(苦
そして,トップダウンの内容のほうが学生にとっては分かりやすいし,いつもの面接ー観察ー検査の流れを説明したあと,具体的にマネできるモノとして,うちらの事例本を紹介しました.でも事例本って,実習で学生や指導者の負担を減らすというか,楽しく実習を送ってほしい!という願いを込めて書いたものなんで.オススメします.
事例本を座学で教科書として教え,PBLなどでレジメを書く練習をして,臨床実習で事例を通してこれを使って指導する,なんてことがあると非常に効率的じゃないかなぁと思います.僕は身障の評価を教えていますが,今年の3年生には,実際の片麻痺の方にお願いして授業で模擬患者として来ていただき,事例本を教科書として学生をグループで評価させています.この件については,後日詳しく書きますね.
最後の質問で,養成校によって方針が異なるので,指導する側としては同じがいいのだけれども,どう考えますか?という質問がありました.ごもっともですよね.ご迷惑をお掛けしていることを素直にお詫びして,県士会レベルで養成校と臨床実習指導者が集まって,内容をなるべく揃えていくことはどうか?と提案しました.澤田さんは,教員一人ひとりでも意見が違うので,学校レベルで統一するなんでムリじゃね?とか話してましたが(笑),確かにそれもそう(笑) でも,せめて県士会レベルからでも話し合っていいんじゃないかなぁと思います.僕はもうできませんが(笑)
そんな感じの研修会でした.年末なのに90名ほどが参加してくださったようです.ありがとうございました.
▼
最後にクリニカル・クラークシップ本の書評を書かせていただいたので,紹介します.
書評 評者:友利 幸之介 (神奈川県立保健福祉大学 大学院 保健福祉学研究科)
「臨床作業療法」第11巻 5号 2014年(青海社)より転載
人生には幾多の困難がある。療法士であれば,臨床実習がその1 つであると答える人も少なくないだろう。困難は,成長する機会となる。私自身,臨床実習中には胃痛に悩まされたが,今となっては,胃痛よりも感謝の思い出しか思い浮かばない。このような自分自身の成長過程から,口では「自分と同じ苦労を学生に求める必要はない」と言いながらも,「実習の困難は何かしら必要だ」と心の奥底では思い,CCS(クリニカル・クラークシップ)は良いとは思いつつも,一歩踏み込めない自分がいた。
しかし本書を読み,私のCCSの認識は明らかな誤解であることに気づいた。本書を読んで,反省したことが2つある。
まず私は,「臨床実習では多少の困難は必要である」という根性論をベースとした安易な考えで,学生の教育効果を最大限,引き伸ばすための体系化をおろそかにしていた。CCSでは,業務時間中の見学・模倣・実施のプロセスをベースに,学生の経験値を増やし,実用的スキルを高めていくことができる。本書では,CCSの解説やチェックリストはもちろんだが,実際に導入した施設や養成校の具体的な指導内容までもが論述されており,読者には参考になるだろう。
第2に,臨床実習現場で起きている実際の問題について,十分に理解が足りなかったことが挙げられる。臨床実習には,たとえば学生の法的身分,臨床実習指導者の負担,大綱化に伴うカリキュラムの多様化,担当される対象者の不安や不満など,さまざまな問題が複雑に絡み合って生じている。本書では,これらの問題1 つひとつについて丁寧な考察がなされているが,それらをただ指摘して終わるのではなく,具体的な解決方法としてCCSの活用方法や,CCSのメリットなどが論述されている。この点についても,CCSを現場で導入する際の説明材料になりうるだろう。
この書評を読んでみようと思った方は,少なからずCCSに興味があり,そして私と同じような心境の方も少なくないと思われる。もしそうならば,まず本書を手にとってほしい。CCSは決して楽な実習を推奨するものではなく,現代に最適化するために綿密に計画された,効率的な臨床実習形態であることが分かるだろう。
▼
最後まで読んで下さりありがとうございました.
0 件のコメント:
コメントを投稿