2012年5月19日土曜日

作業に焦点を当てた実践について,学生にこんな感じで伝えています

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飛行機でMacbook airをさっとひらいてブログ書いています.tomoriです.


と,たまにはかっこ良くのたまってみたいが,そんなことしたら確実に酔う.無理.そして今日はまだ飛行機に乗ってないのに二日酔い(笑)さっきまで小松空港のソファーで寝てた.さっき生まれて初めて見た日本海に向かって「おまえら(肴)のせいだ.バカやろー」吠えてみた.日本酒については田んぼに吠えればいいのかな.黒龍という地酒が美味かった.


まあ,一応,これでも教員のはしくれなもんで,評価の科目を主に教えている.ブログでも授業でも,作業に焦点を当てた実践(OBP)の評価と題して,学生に熱く語っている.ただ学生の反応としては「へー,そんなOTいいね.臨床でたらやーろう」と少しライトな感じ.おいおい,そんなんじゃ周りから後ろ指さされたり,白い目で見られたりするかもしれないといった,世間の荒波は越えられないぜー!と思うが,もちろん現場を知らないので学生に「OBPの障壁」が無いのは当然のことだ.

学生に現場のリアリティを伝えることは難しい.見学があるじゃんと思うかもしれないが,まあ色々あっていざやるのは難しい.でも現場のリアリティなく,教科書に書かれていることばかりを教えても実践はできないと思っている.そこで今回は以下の方法を考えた.


まず,人-作業ー環境モデルと作業遂行とは何ぞやと教えて,その後に事例報告(考察を除く)をはさみで切ってバラして,この情報は人-環境-作業モデルのどこに分類されるのか考えるというもの.人-作業ー環境モデルの各部位の定義は,以下の吉川ひろみ先生の論文を使わせて頂いた.




その結果がこの図



まあ結果は予想通りなんだけども,身障の事例は「人」に関する情報が多いねー.精神の事例は作業場面の観察が多いので作業の項目が多い.でもその作業は本人が本当にやりたいものかどうかの情報がないので,作業に分類してもらっている.まあ,どちらも人-環境-作業の情報アンバランスさが認められる.

また,人-環境-作業の3つが重なるところ,作業遂行の情報が少ない.これはつまり,本人が大切に思っている作業を実際の場でやってみるという実動作の観察を行っていないことを示唆していると思う.なお,ADLを病棟で観察すれば人-環境-作業の3つが重なっている情報ということになるかもしれないが,特にその人らしさや想いが含まれていなければ,一般的な作業とみなして「作業」の場所か「作業と環境」の重なる場所に分類してもらった.

そんな中,一つだけ我らが侍OTさんの機関誌に載った事例を混ぜてた.そのグループは作業遂行と作業遂行に近いところに多くの情報を貼っていた.ニヤリ(笑) てかそれでも少ないと思った.侍さんの事例はほとんどが作業遂行に配置されると思う.まあ明確な線引きは難しいけど.

それで身障・精神の事例を分類したグループには侍さんの事例を読んでもらってリアクションペーパーを書いてもらい,侍さんの事例を分類したグループには身障の事例を読んでもらい同様に書いてもらった.たぶん,これが両方あるから良いと思っている.片方じゃだめだ.

で,僕はgoogle docのフォームにリアクションペーパーを書いてもらっているので,クラウド上に感想が入っている.それを侍さんにも読んでもらったら,侍さんがいつもの感じで激アツコメントしてくれたので,それを学生にも配った(下にあります).クラウドバンザイ! しかし侍さんの文章は上品だよなぁ.本人もそうありたいとつぶやいていたけど.そういえば琉球OTさんもそう.文章は上品.僕は下品w

まあいいや.そして具体的にどうやればこの侍さんのような関わりができるのか?と題して,トップダウンとボトムアップの違いについて,それぞれの長所と短所について,この対峙している事例を通して説明した.このあとの講義は,面接,観察,解釈,目標設定と各論へ入っていく.

僕はトップダウンバカでも,クライエント中心の宣教師でもありません.ベースはクライエント中心でトップダウンで進めるほうが良いけども,トップダウンとボトムアップ両方必要.だから両方教えるって感じです.クライエントに応じて,状況に応じて使い分けられる作業療法士になってほしいなという想いを込めて...

とここまで書いたら酔いもさめてきた.
さて,横須賀に帰えろう...


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以下侍さんの激アツコメントです.関係ないだろうけど翌日熱発したらしい(笑)
でも学生のときにこんなコメントに触れることができるなんて,幸せだよなぁ.

学生のみなさん
 福島でOTをしております〇〇です.ADOCの論文を授業で使用していただきありがとうございます.学生のみなさんの素晴らしい感想・洞察に大変感動いたしました.
 「人」とは,身体機能や認知機能に加えて,性格や価値観などのあらゆる要素を含んだ「人となり」を指しています.「環境」とは,段差や福祉用具だけではなく,地域の文化や近くにいる人など,対象者の外側に存在する全ての「人」「物」「事」を指します.当然対象者から見れば作業療法士も「環境」です.そして「作業」とは,対象者が意味や価値,目的をもって行う「時間」「場所」「心」の占領を指します.これら人ー環境ー作業の統合されたものが人間の「作業遂行」です.人間は生まれてから亡くなるまで,ずっと作業遂行の連続です.どんな作業遂行で時間と空間と心が占領されるのか?そしてその事実を対象者がどう解釈するのか?それが人生の質に関わる重要な関心事です.みなさんの多くは,卒業してから医療機関で働く人が多いかもしれません.病態や機能に焦点を当てることを環境から要請されることも多いと思います.しかし対象者を部分的に切り取った見方をするのではなく,対象者の人生そのものに寄り添える専門職であることにぜひ誇りと自信をもってください.大切なことは全て対象者が教えてくれます.迷ったら教科書を開く前に,対象者の声に耳を傾けてください.みなさんは真の作業療法ができる貴重な存在であると思っています.遠く福島からいつも皆さんを応援しています.


最後まで読んでいただき,ありがとうございました.


6 件のコメント:

  1. 友利さん 二日酔いは大丈夫ですか?
     僕は何とか熱は下がりましたが,明日は当番出勤なので,家でコールを押せないクライエントに何かないかと思って文献調べしてました(ダルダルですが^^:)
     授業で論文を使用していただきありがとうございます.すごく面白い授業ですね.僕も学生の時にこんな面白い授業を受けたかったです.少しずつ,ゆっくりと色々なことが変わって行くのでしょうね.学生のうちに,このような素晴らしい授業を経験した人達が近い将来社会に出て行く.日本の作業療法は面白くなりそうですね.学生さん達のコメントを読みながらそんなことを思いました.若いOT達が「作業療法」を自信をもって実践できるような環境を僕たちが作ってあげなければいけませんね.改めて気を引き締めて頑張ります.いつも本当にありがとうございます.
    追伸:ぜひ時々休肝日を(^^)

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    1. 侍さんの論文のおかげで授業を組み立てることができました.いつもハイ・クオリティな臨床を届けてくれて,ありがとうございますー(^^)

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  2. SHIRONO TOMOYA2012年5月20日 8:47

    友利さん。
    黒龍は美味しいですね☆二日酔いは大丈夫でしょうか?
    小松を経たれたのですね~ せっかく石川県に来ていただいたのに、お会いできなくて残念でした。
    こんな素敵な授業私も受けてみたかったです。
    7月1日にお会いできるのを楽しみにしております☆

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    1. 城野さん こちらこそ急な連絡ですみませんでした.また7月にお会いしましょう.よろしくお願いいたします.

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  3. OT2年目です。
    PEOモデルに実際に当てはめて考えたとき、作業に含まれる具体例はどのようなものですか?
    教えていただければ幸いです。

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    1. 遅くなってすみません.逆質問のようで申し訳ないのですが,なぜそのような質問をされていますか?それによってお返事が異なってくるのかな〜と思います.PEOモデルは,これはここ!という感じで明確に分けるために作られたものではないと思います(その役割はICFですね).例えば,ギターが弾きたい!という作業遂行が目標になったとき,その人にとって人の要素は何かな〜,環境の要素は何かな〜,相互作用があるのは何かな〜と評価・分析する視点をくれるものですし,それは出来ていなければ,どこを高めれば作業遂行が可能になるか考えるためのものです.質問の意図によってお答えが異なってくると思いますが,参考になれば幸いです.

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