2012年5月25日金曜日

ヨーロッパOT学会(COTEC)に来ています-その1

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初めての海外なう。tomoriです。
ヨーロッパのOT学会参加のためにスウェーデンのストックホルムです。北欧だから寒いだろうと上着を持ってきたら、ノースリーブに半ズボンのひとが結構いた(笑)綺麗な街です。



まあそれはさておき、そう1人なんです。初めての海外で1人は大変だしつまらないよという周りの意見を珍しく振り切ってまで一人で来たのは一応理由があって、ひとりだったら強制的に周りの誰かと話すかなぁという自分なりの追い込みをかけたのだ。しかしながら今日ちゃんと会話したのは参加してた日本人とのみ。かつ、1人のときはTwitterしてるというなんとも無惨な結末w友だちいない淋しい人オーラ丸出しだったかなぁ、とホテルで1人ブログを書いて、日本の家族とSkypeする始末だ。これはもう日本にいようが外国にいようが、自ら話す人は話すし、話さない人は話さないのかもしれない、というのが自分なりの結論。でもまあこれは、ポスター発表やけど一日立っとくくらいの心意気でいこうという自戒を込めた決意表明でもある。


でも発表を聞く分には、スライドの文字があるし、推論できるので映画やTEDよりは何となく分かる。なのですごい勉強になる。ちなみに学会のテーマは Diversity 多様性だ。


最初はWHOの役員さんの基調講演。ICFという単語は出てこなかったし、OTの学会だから気を遣っていたんだろうけども、WHOは個別性や多様性を目指しているらしく、WHOとOTのビジョンはかなり似ている印象。


ランチでは今度の講習会に来ていただく竹林さんと立ち話。短い時間だったけどもスゲー沢山のことを話した。彼が入ることで講習会もかなり面白いものになるだろうと我ながら思った。


午後はデンマークのOTの発表。ライフデザインの支援はエビデンスはあるもののけ、臨床ではなぜか使われていない。よって臨床家と一緒にプログラムを開発していて、今後はRCTに持っていきたいというやや中途半端な内容。でも他の国でもかの有名な論文の使えない批判はあるんだなぁと思っていたら、次の演題は当の本人たち、つまりClark氏のWell elderly study 1-2の発表(笑)

ただ、これには本当に本当に圧巻された。15年の重みと自信、そしてあれだけの研究結果をもってしても決して満足することない探究心を感じた。非常に申し訳ないけども、国から膨大な研究費をもらって、同じ位置づけっぽく行われている我が国の生活行為マネージメントの現状とは雲泥の差である。そして、自分が企画しているRCTもしかり。ポジティブな結果が喉から手が出るほど欲しい気持ちは分かる。そりゃ分かるんだけど、あくまで大事なことは探究心だし、科学に対する真摯な姿勢とリスペクト。反省しすぎると何もできないのでちょっとだけ反省した←もちろん言い訳。


あとはアウトカムメジャーとしてのCOPMの強みと限界という発表。僕が論文で引用してる、COPMの信頼性を検証したCap氏、認知症者のRCTを行ったGraff氏のオランダのグループ。実際にRCTで使ってみての生の声。COPMはやっぱいろいろと曖昧さが残るとのこと。どうにかレクチャーなどで補うが、結論としては、完璧じゃないが現状としてはベスト、ということ。Clark氏も大規模研究では多様性をどう担保するかが難しい、そんなことは述べていた。


そのあと、竹林さんたちのロボットリハに関する発表。成田さんの流暢な英語はもちろんのこと、内容も素晴らしい。鳥肌ものだ。通常の自主トレに比べて上肢機能の向上が認められた。でもADLへに汎化までには至らなかった。そこがOTのロボットリハでの課題ね、と。でもおまけがあって、その課題を達成するための提案であるTransfer packerge。それで予備的には結果が得られてますとうてんこ盛りの発表だった。これだけは分かって欲しいんだけど、ロボットとか聞くだけで浅はかな誤解をしてほしいくない。彼らは色んな手段の一つにすぎないと思っているし、OTの役割は生活で使える手、使っている手にすることだと思っている。何よりも、単にエビデンスでりゃ右ならえになる、じゃなくて、正しいことをみんなができるようにしようという、謙虚だけど使命感に近い強い気持ちがある。


まとめると、学会のテーマは多様性。OTは個別性を重視した関わりが強みと言えるし、それが社会からも求めらつつある。研究結果も少しずつ蓄積されつつあるものの、研究を適切に実施するには、研究結果を実際に現場で使うには、山田先生のRCTの結果や考察にもあったけども、方法の簡略化、マニュアル化がこれからのトピックスになるんだろうなと思った。その点、竹林さんたちの研究はClarkグループに負けてない。研究の質は、単純に有意差の有無、人数が多い少ないだけの問題ではない。現場で使えなければ意味がないんだ。もちろん回復期と維持期という違いもあるが、日本型作業療法として各国と肩を並べてディスカッションできるくらいの内容だと改めて思った。


ちなみに、僕たちADOC projectも、クライエントやセラピストの多様性を担保しつつ、誰でも同じような支援ができるように!の仕組み作りを初めから目指している。なおかつ研究結果と臨床実践との乖離があるこの現状を、根底から変えれるような仕組みを作ってみたいと思っている。


てなことを思っていても、学会上で1人iPhone触ってたら何も考えてないしてない人と同じでしょ、とスウェーデンで1人反省している淋しい誕生日でした(笑)


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。




1 件のコメント:

  1. えりもーる3世2012年5月26日 21:52

    お疲れ様です。

    私は海外に一度も行ったことがない人間なので、とても興味深く読ませていただきました。
    多様性、広い言葉ですね。いや、何か上手く言えないですが。。

    お誕生日、おめでとうございます。

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