2013年12月31日火曜日

2013年,最後のブログ.

Clip to Evernote
ハングオーバーが終わってしまったことにカミさんが嘆いています。tomoriです。


さて2013年は皆さんにとってどういう年でしたか? 今年の漢字は「輪」だったようですが,んー.僕らADOC project の2013年を漢字一文字で表現すると... 「根」 のような気がします.今までは、「目立つことばかり考えてましたー」と四時五分的な思考回路でしたが(笑),今年はアンダーグラウンドで根をはることができた,って感じです.

ADOC for hand,日本臨床作業療法学術大会,事例本,WFOT,効果研究,授業など,これらの仕事が少しずつ芽を出してきます.来年はそれらを着実に育てていく1年にしたいと思います.

また,これらの仕事を通して仲間との絆も一層深めることができました.思い返せば幾多の困難がありました.しかしそういう時だからこそ,仲間のさらに素晴らしい一面に出会うことができました.来年,仕事の芽が出てくれば雨風にさらされることになりますが,きっとそれに耐えうるであろう根っこ(チームワーク)を育てることができたと思います.


今年も多くの方に支えられました.と月並みっぽくなりますが,みなさまには本当に本当に感謝申し上げます.

以下,今年書いたブログ記事です.密かに100本書くということを目標に掲げていたのですが,これも含め99本でした(笑) 読んでくださりありがとうございました。参考になった記事を教えて下さい。それを参考に来年はもう少し良質な情報をつぶやいていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

ではでは、皆さん良いお年をお迎えください。


---------------
2013 (98)
12月 (11)
作業療法の未来は明るい!
ADOCの論文が載りました。
ICFについて物申す
2013年に観たオススメの映画
OBPで悩んでいる人は,1月11日の作業療法臨床実践研究会にご参加を!
ADOC-Sは教員にも好評でした〜 In ATAC 2013
ATAC in 京都に参戦しています 〜OAKの紹介〜
日本臨床作業療法学会 プログラム発表〜!
僕たちはADOCを自由に使って欲しいと思っています.
「もっともっとものさし」より「大好きものさし」
17回作業科学セミナーに参加してきました。

11月 (6)
もし自信を失くしたら…
COPM開発者のポラタイコ教授と意見交換してきました!
そろそろ機能訓練についてちゃんと考えないと…
MacのキーボードをUSにしようかどうか迷っている人へ (笑)
臨床でせめて歩合給を導入できないものか...
OT協会が定義改定に関する意見を募集中です.

10月 (6)
医療は産業となりうるか?
作業療法はふらふらしてますが、それがなにか?(笑)
なんか理想的な発達作業療法を見せてもらいました。
創りたいのは体験→事例本.
ADOC・ADOC-S アップデートしました
「ジグソーパズル型学力」と「レゴ型学力」(藤原和博 先生)

9月 (8)
信じるものが自分しかないというドキドキ感
ADOC iOS7でのバグについて
ADOC-Sついにリリース! ーADOCより進化した点ー
日本作業行動学会でシンポして来ました!
鳥取のデイサービス つむぎ を見学してきました!
ADOC for hand すすめます。
日本臨床作業療法学会 第1回学術大会が...
ADOC-Sのストーリームービーを公開

8月 (13)
僕たちは島で未来を見ることにした(巡の環さんのパクリ)
臨床作業療法学会 演題・参加募集開始
沖縄での打合せ
福岡でトップダウンについて語り合いました
ADOC-S.なかなか好評です.
授業で模擬患者さんに来ていただきました.
プリキュアとか言ってるけど実はすごいメガネさん
作業に焦点を当てたデイサービス つむぎ
アニョハセヨ〜.3日目(まとめ)
アニョハセヨ〜2日目。
アニョハセヨ〜。1日目
韓国に研究打合せに行ってきます
しあわせはいつもじぶんのこころがきめる(相田みつを)

7月 (12)
事例本:これがおいどんのOTじゃー!!
そうだ.朝活しよう!
琉球さんの「批判はちゃんと聴かない」に乗っかります
福岡県士会「トップダウンアプローチについて」
日本文化の特徴と作業療法について.「やおよろず」
僕の小さな夢が叶いました.birdの海の家ライブ参戦.
研究費捕ったどぉぉぉぉっ!
作業に焦点を当てた実践ができるまでに 僕たちがやってきたこと in 山形作業行動研究会
作業療法と機能訓練
第47回OT学会発表 その2
第47回OT学会発表 その1
かっこいいポスターの作り方(笑)

6月 (7)
大阪学会、二日目~(^^)
大阪学会、一日目の報告。
tomori lab 文献抄読会(4) 作業療法士はCLを意思決定に巻き込んだと思っていても,CLは...
ゲリラ講演会 in 福島→ with 竹林
ADOCを韓国語に対応させました.
大阪学会で会いましょう.
意味のある作業にADLは含まれないと思っていませんか?

5月 (10)
やるかやらないかのちょっとした違いなんです.
地域は作業療法の持ち場になるのか?
7月に,山形で,侍さんと二人で講演します!
ADOCメンバーが気を付けているプレゼンテーションのコツ
精神科でのADOCの活用 〜パート2〜
自分が得意な仕事にフォーカスする
tomori lab 文献抄読会(3) 作業療法の定義は約30年変わっていません.
「じぇじぇじぇ〜〜!!」
日本臨床作業療法学会 立ち上げます
tomori lab 文献抄読会(2)  作業療法のこれまでとこれから

4月 (5)
クリエイティブな仕事を続けるためには...
tomori lab 文献抄読会(1) 作業中心?作業に焦点?作業を基盤?
どうすれば先生のように肩の力が抜けますか?
自分は何ができるのか考えてみた... 
大学院での学び方。

3月 (7)
講演のご案内
作業に焦点を当てることと機能訓練の関係について
作業療法を学ぶ 2013版
英文抄録の書き方−WFOTへの道-
オススメの本 [人間関係をしなやかにするたったひとつのルール]
卒業式…
OTの教員になるために準備すること

2月 (11)
国家試験を控える君へ...
侍さんの事例本への覚悟…
機関誌に掲載された論文には書けなかったオススメポイント!
老健での作業療法とは!(共同研究募集)
脳卒中リハにおけるクライエント中心の目標設定のシステマティックレビュー
それぞれにそれぞれの志
目標を立てるときの僕なりの工夫
認知症者に対する作業療法の効果(文献)
クライエント中心の作業療法の効果はあるのか?
「俺がやっているんだから、お前らもやれよ!」
作業興奮とトップダウン

1月 (2)
ADOC for school いい感じに作っています.
ADOCはクライエントのNaturalさを阻害するか?

2013年12月30日月曜日

作業療法の未来は明るい!

Clip to Evernote
世の中「師走」ですが,師ではないし,そもそも走りたくもない教員のtomoriです.カミさんも年末の大掃除や正月料理の買い物を1ヶ月かけてコツコツと済ませており,もはや年末にすることがないので,ブログ書いて頭を整理したいと思います。

さて,僕は作業療法士です.親戚に勧められたからという安直な動機で始めたこの仕事なんですが(笑),今後に大きな可能性を感じています.まぁ所詮ポジティブバカの意見と思って,気楽に聞き流してください.



1) 医療でも独自性がある
そもそも数ある医療職の中で作業療法っぽいことやっている専門職がありますか? 何が作業療法っぽいかと言えば,定義から持ってくると「作業活動を用いて行う治療・指導・援助を行うこと」です.この作業を使って支援するというのが医療っぽくないので,科学性つまりエビデンスを大切にしている人から非難されたり,ついつい自虐っぽくなったりします.

しかし「作業を使うこと」を課題指向型訓練もしくは課題特異型訓練に言い換えると,沢山のエビデンスが創出され,脳卒中ガイドラインでは強く「推奨」されています.これから「作業を使うこと」に関するエビデンスはもっと増えていくことでしょう.これまでの歴史の中で批判された「作業を使うこと」は,負い目に感じることも,ダサく感じることもありません.むしろ科学的でかっこいい,という方向になっていきそうです.そう.いま作業療法はかっこいいんです!(笑)


2) 生活密着
天皇陛下のオペを担当した天野篤医師は,冠動脈のパイパス手術後の会見でマスコミにオペは成功かと聞かれて,「日常のご公務を取り戻すのが手術成功といってもよい時期」と何ともかっこいいコメントをしていますよね.医療だけでなく,保健・福祉・教育,そして災害時も,最終的に生活へ適応できるかを考えていかなければいけません.その生活とは,いわば作業の集合体です.

オペだけで完治して生活に適応できれば,作業療法は必要ないかもしれません.でも人間は機械でもプラモデルでもありません.つまり,パーツが揃ったからといってすぐ社会に適応できるとは限りません.出来ると思えないと人は動かないものです.しかも日本は「おもてなし」や「空気を読むこと」を要求されます.マクドナルドのバイトさんにも文句言うし,電車にベビーカーで乗り込めないくらい厳しい社会じゃないですか.そんな優しいのか厳しいのか得体のしれない社会に患者さんが再び適応するために,患者さんの近くで問題解決の相談に乗り,影で応援する仕事が必要です.それが作業療法です.作業療法は,医療の総仕上げといっても過言ではないでしょう.


3) ニーズがあり,競合相手が少ない
上記の通り,医療・保健・福祉・教育,その他さまざまな領域において,作業療法のニーズってあると思います.作業を使うということは,基本だれでも出来ることですが,それを社会的に認められているのは作業療法士のみです.例えば,理学療法は作業療法に比べて認知度は断然高いし,ニーズも明確ですが,それ故類似した仕事も多いですよね.柔道整復師,スポーツトレーナー,あん摩マッサージ指圧師などさまざまです.そう考えると,作業療法の競合相手って案外少ない気がします.いま作業療法が何となく焦っているのは,競合相手多いところでの領域拡大を狙っているかではないでしょうか.個人的には,これらの職種の方々とは競合ではなく協働することで,作業療法の「医療の総仕上げ」という強みをさらに活かすことができるのではないかと考えます.そのほうが患者さんにとってもメリットが大きいと思います.

あと,作業療法内でも競合相手が少ないように思います.というのも,やっぱ理学療法の平均値はホントに能力高いです.それからすると作業療法はやや劣っていると言わざるを得ませんが,それはチャンスと思えばいいのです.鶏口牛後です.また作業療法士の男女比は,男性 33.9%,女性 66.1%です(2010).理学療法士は男性57.5%,女性42.5%(2013)です.ジェンダーとか怒られそうですが,女性はどうしても結婚や出産などを転機に作業療法を離職してしまう人も出てきます.うちのカミさんのように.そうなるとますます競合相手が少なくなることを意味します.これは男女関係なくキャリアを積みたいと思っている人にとっては有利だと思います.作業療法は今まさに下克上です(笑)



このように作業療法には多くのチャンスやアドバンテージが転がっています.悲観的になる暇などありません.ただ注意が必要だなと思うのが,「作業」,「生活」という言葉の共通点→自由度の高さです.自由度が高いということは,患者さん個人にテーラーメイドの支援ができる反面,作業療法士の技量が求められるということです.つまり作業療法士個人によって差が出てしまうことを意味します.長所であり短所です.なので僕が述べてきた作業療法のアドバンテージは全ての作業療法士に等しくあるとは思っていません.たとえ厳しい養成校教育をクリアして作業療法士になったとしても,です.学生さんには気が遠いかもですが、作業療法士免許取得はあくまでスタートラインです.

繰り返しますが,チャンスは目の前にあるんです.後はみんなで頑張るだけです.

作業療法の強みを共有する場として日本臨床作業療法学会があります。この学会では、作業療法士のアドバンテージを十二分に感じることができると思います。澤田会長をはじめ、藤本さん、齋藤さん、竹林さんの講演は,作業療法の強みを実感させてくれるでしょう.何より,北海道から沖縄まで,全国に点在する約110の演題発表者のイキイキとした姿が,作業療法の将来を物語ってくれると信じています.

僕ら ADOC projectも作業療法大好き人間の集まりです.もちろん僕らも最初から作業療法が好きだったわけではないです.悩みながら前を向いていたら好きになっていたって感じです.この感情を多くの人と共有するために,そして自由度が高いという強みを活かし,弱みを軽減するために,僕らはADOCやADOC for schoolを創ったし,ADOC for handも創ってます.一緒に楽しい作業療法を創りましょう.



作業療法の未来は明るいです.僕の学生にもそう教えています,いや洗脳しています(笑)以下,2年前期で僕が担当している科目,「評価学概論」を終えた後の,学生の感想です.学生が自由な発想を持ち,自分なりの道を進んでいけるようになってほしいと切に願っています.自分の進路すら自分で決めたことがない僕の期待ですが(笑) 

  • 作業療法のことを前期に学び、作業療法についての考えがまとまってきたように思います。作業療法とは、作業を扱うことに絞られると思っていましたが、それだけではなく作業を使って医療の確実性をあげることではないかと思いました。作業遂行は個人に沿ったものであるためその人にとってはよくても、同じ動作であっても他の人には効果をしめすかどうかわからないものです。どこまで効果があるのかわからないことが作業療法の短所だと思うのですが、対象者の話を聞いて作業遂行をその人にとって必要なものにしていく。それが作業療法士の役割ではないかと思いました。不確実な部分が短所と言いましたが、それを跳ね除け、個人個人にあった作業遂行をしようすることが作業療法の長所です。対象者に沿った効果的な治療ができるように、習ったことは全て力にしていきたいと思います。前期の約半年間、講義ありがとうございました。

  • この授業を通し、実際に面接を行ってみたり、観察をしてみて、評価をすることはとてもむずかしいけれど、介入を行う上でとても大切なことなのだと知ることができました。私の中での評価の最初のイメージは、様々な評価法を用い、身体のどこの部分に障害があるのかを確かめることだと思っていましたが、身体の障害だけでなく、その人自身の心の持ちよう、作業を行う手順、家族の協力の有無など、1つの作業遂行に対してたくさんの方向から見ることも評価なのだと知ることができました。これからの授業や実習では、身体の機能面だけにとらわれず、クライエントができるようになりたい作業を、クライエントと一緒に考え、目標達成していけるようにしたいと思いました。

  • 作業療法は奥が深いということが身にしみた講義だった。元々作業療法の世界を知らなかった私にとって、OTの世界は考え方、やり方は無限大でいくらでも掘り下げることができる世界とわかり、とてもわくわくするものだった。また、実践では少数派のトップダウンやOTIPMをまなぶことが出来る環境に出会えたことも恵まれたと思う。トップダウンはボトムアップを否定してる訳ではない。という先生のお言葉を聞いて、三つの方法(true top-down, top-to-bottom up, bottom up)を自分の目で見、実践してから自分の思う道を決めようと思った。また、他の専門職や患者の理解を得にくい作業療法をしていくには、自分のなかで作業療法の定義をしっかり持ち、自分の目指す作業療法を持つことが重要とかんじた。ありがとうございました。


冗談抜きに長くなってしまいましたが,最後まで読んでくださりありがとうございました.


2013年12月27日金曜日

ADOCの論文が載りました。

Clip to Evernote
11ヶ月の可愛い盛りの三女が、家族皆から多大なる愛情を注がれてますが、本人まさかの食べ物にしか興味が無いというtomori家です。どんなに食べてもテーブルに食べ物が乗ってる限り泣いて懇願されます。しかも現在ロタウイルスに感染しているので、オムツ替えの頻度も多く大変苦痛にございます。可愛いばかりじゃないんですよ。子育ては。




さて,クリスマスにアクセプトされた論文のPDFが届きました.僕にとっては最高のプレゼントです.Pubmedでもさっそくアップされています.

内容は,ADOCで大切な作業を一つ選ぶという使い方において,使用できるカットオフはMMSEで8点ですよ、というものです.認知症の方に使っていただきたいですね。

データ収集に協力いただいた作業療法士のみなさま,クライエントのみなさまへ,心から感謝申し上げます.また,ご指導いただいた先生方にも感謝申し上げます.


論文って、しかも英語とかだと、科学的で客観的→すなわちカッコいい、というイメージありますが、これが泥臭いもんですよ。

Clinical rehabiltationの24時間以内の一発リジェクトにもめげずに、色々門を叩き、やっと査読に回ったら返事が遅く、何度も催促してたら、山のような査読コメントかつ英語意味わがんねーしという胸を突き刺すような内容もあり、根拠もなく3週間でやっからよ!とeditorへ返信し、一つ一つ丁寧に回答して、英文校正に出したら何度も修正できるはずだったのにまさかの一回目よりお金取られ、事務処理などを済ませ、再投稿した結果、ようやくアクセプトなんです。まぁ粘り勝ちです。


ADOC project 関連の業績も少しずつ増えてきました.本当にプロジェクトメンバーのみなさんのおかげです.ここ数年、確かに皆さんと一緒に僕も成長できたと思います。

しかし、変に成長とかしてしまうと今まで見えなかった景色が見えて来るもんで、ほんとにすごい人たちって山ほどいるんですよね。僕も努力が全然足りないなぁと焦燥感に苛まれることは多々あります。底辺の僕はもう何年もこのループでここまでやってきましたが、流石にONE PIECEのようにはいかないので、僕は自分のことより皆のために、欲張らず一つ一つを確実に、努力よりもリラックス、そして楽しんで!をモットーに切り替えて、これから進んで行こうと思っています。


最後まで読んでくださり、ありがとうございます。




ICFについて物申す

Clip to Evernote
先日次女が僕をみて口ずさんだ歌にウケました。tomoriです。
正: ハイホー、ハイホー、しごーとが好きー
娘: Phone iPhone しごーとが好きー♩


さて、今日はICFについてみんなが口に出せなかったであろうことを一言物申します。ICFってそんなにすごいですか? ICIDHとそこまで変わらなくないすか? あと日本の作業療法ってICFを信じすぎてるとこないですかぁぁぁ?


いやICFもいいとこありますよ。ただ今回は、特に作業療法が介入する領域(domain)の部分におけるICFの使い方について述べますね。

OT協会のガイドラインなど、至るところでICFが出てきます。活動と参加。確かに活動と参加はリハビリテーションにおいて重要です。

でも作業療法の対象はあくまで作業なんですよ。作業と活動の違いは諸説ありますが、個人的な文脈や意味を含むのが作業、いままさにやってることが作業であって、誰にでも当てはまるようなのが活動、その文化の中で共通のイメージが活動です。

例えばクライエントが調理を希望したからと言って、ただ調理訓練をやればいいもんじゃないんすよ。個人的な文脈によって調理もいろいろあるんですよ。僕の場合には、娘たちが喜んでくれるパリパリの餃子を作ることなので、餃子でしかもパリパリでないといけないし、パリパリでなくとも娘たちに食べてもらえんことには、訓練室でスタッフに食べてもらう調理は、僕にとっては『活動より』なんです。そこはちゃんと評価・共有したいとこなんだけども、ICFベースだとなかなか深まらない気がします。


それはなぜか。それは結局ICFはICIDHをポジティブに表現しただけで、基本的な構造はICIDHと変わらないからだと思ってます。つまり、ICFの機能・活動・参加の構造ってICIDHの機能障害・能力障害・社会的不利を言い換えただけですよね。構造は,あくまで障害ベースであることは変わりない。その証拠に、ICFといえど、思いっきり障害に焦点が当たってること多くないですか? 双方向性になったとかいいますが、機能・活動・参加つながりはバラバラだし偏り多くないですか?


作業に焦点を当てるならば、ICFなんぞ持ち出さなくても、作業療法独自の理論や学問でまとめたほうがいいです。それで評価・介入して、もしも他職種に伝える必要があった時にICFを使うというならまだ良い。しかし作業療法士同士で話し合うなら、わざわざICFを持ち出す必要はないと思います。事例報告とかね。あ、ちなみに事例本のレジメでは、ICFなんて出てきません。みんな作業のことを書きたくて書きたくて、スペースが無いんです(笑)


とかくICFに沿ってれば大丈夫だ、というロジックは、OTの専門職としての進化や深化を妨げます気がします。

例えば、京極先生や寺岡先生などが開発している作業機能障害を整理するための評価(CAOD)などは、作業の捉え方が面白いのですし、籔脇先生のCEQなんかもそうです。このような作業療法独自の視点が、ICF概念で考えてると出てきにくいと思います。こんな感じで、作業療法という複雑な構造を、もっともっと深く考えていかないと…



とはいえ、もちろん日本の作業療法は医療の上に成り立っていることは事実なので、ICIDHやICFとは上手にお付き合いしつつ、適度な距離を保ちたいと思ってますよ。はい。




最後まで読んでくださりありがとうございます。



2013年12月21日土曜日

2013年に観たオススメの映画

Clip to Evernote
出張多めのインドア派tomoriです(笑)

我が家にテレビは無いと言いがち、僕が今年観た映画は全部で約70本でした。週に1.3本くらい観てることになりますかね。ほぼiTunesでレンタルです。iPadやiPhoneで移動中でも簡単に見れるようになったのが、インドア派にとって非常に嬉しいです(笑) ちなみに今も映画を見ながら書いています(笑)

ぼちぼち年の瀬。テレビがつまらなくなる時期でもあるので、今年観たオススメ映画を紹介したいと思います。映画の概説はiTunesのリンク先で見てください。



明るくホンワカした気分で正月を迎えたいという方へ

オーケストラ!(字幕版)
今年初めて観たわけではないのですが(笑)、よく観てるので。ぜひ予告とか見ずに、前情報ゼロで見て欲しい映画。

アラフォー女子のベイビー・プラン(字幕版)
ダサいタイトルからは予測できないくらい、クスクス笑える映画でした。

星の旅人たち(字幕版)
旅好きな人にオススメ。ラストシーンが好きだなぁ。



迫力あるアクションが見たいという方

ホワイトハウス・ダウン(字幕版)
映画館で観ましたが、最後までドキドキで面白かったー。

アイアンマン 3 (字幕版)
国際線という最悪な環境でも迫力感じました。アイアンマンシリーズでは1番です。僕はメカものヒーローものが好きなんです(笑)

007 / スカイフォール (字幕版)
バイクで屋根を走るシーンにはドキドキしました。あれホントにやってんのかな。



やっぱ映画はサスペンスっしょの方

ブラック・スワン (字幕版)
今年観た映画で一番オススメです。ナタリー ポートマンがハマりすぎです。背中の筋肉がカッコ良かった(笑)

シャッター アイランド (字幕版)
精神科の病院で繰り広げられる物語。勘ぐらずに素直に楽しみましょう。色々と考えさせられる映画です。

ゼロ・ダーク・サーティ(字幕版)
ビンラディンを追っかける映画なんだけども、恐怖、怨念などもアメリカ側と同調していき、最後に見えるのは…  いい映画です。



難しいけど見応えのある映画

裏切りのサーカス(字幕版)
今年2番目にオススメなんですが、一度見ただけでは分かりません(笑)。解説のサイトを見て、2回目見ると伏線のスゴさがよくわかる映画でした。

桐島、部活やめるってよ
これも上と同じです。

クラウド アトラス(字幕版)
上と同じです(笑)



番外編

アイ・アム ~世界を変える力~ I Am (日本語字幕版)
科学者なら見ておきたい映画です。種の保存の真意とは何か…

ホリデイ (字幕版)
もうすぐクリスマス。リア充でない方へ…


以上です。まぁ映画も好みが分かれるところですが、暇つぶしのお役に立てれば幸いです。今年は密かに僕の中で映画を週に1本観る!という目標を立ててたので、達成できて嬉しいです(笑)


最後まで読んでくださり、ありがとうございます。





2013年12月17日火曜日

OBPで悩んでいる人は,1月11日の作業療法臨床実践研究会にご参加を!

Clip to Evernote
11ヶ月の3女が4歩あるきました! tomoriです.今日は幸せな一日ですね.

さて,年明け1月11日ですが、静岡の作業療法臨床実践研究会で、ADOCの主開発メンバーである侍OTさんと、ADOC for schoolの主開発者であるちびっこOTさんが講演するらしいです。ADOC project の仕事は、この2人の臨床をなるべく多くの方が出来ることを目指しているといっても過言ではないんですよね。そのためにアプリ開発しました(笑) ちなみにADOC for handは竹林さんね(笑)



この二人だけでも面白そうなのに,そこに第三の刺客の建木先生を持ってくるあたりが,企画通な僕からみてもナイスです.建木先生は,NPOを立ち上げ,素晴らしい実践をされています。この3名で作業療法(いわばOBP)実践のための環境づくりという観点でまとめたのはすばらしい.


というのも,職場で一人で勝手にOBP実践はできますが,OBP実践の環境作りって本当に難しいじゃないですか.100%に近い確率で信念対立起きるし,ある意味正念場です.それが職場だけならまだしも,地域や新しい場所っていえばなおさらです.僕は3名がいかに苦労して今の環境を作り上げたか知っています.少し泥臭い感じの話って,論文にも教科書に載らないので(書けない),実際に聞くしかないんですよね.で,具体的にどうやったんですか?って.

こういう実学的な勉強会が,悩んでいる作業療法士の勇気につながり,いざ実践してみて,紆余曲折しながら実践できた自信が,自前で勉強会を開いてペイフォワード的に拡がっていく... そんな世の中をホント期待しています.

そんな世の中のためのファーストステップとして,このお三方は非常にオススメです.僕のイメージとしては,侍ホップ・ちびっ子ステップ・建木ジャンプです(笑) つまり,初心者,中級者,上級者向けの講習ですね(笑) 

まあ正直クリストファーは遠いけども(笑),ぜひご参加のほど.


最後まで読んで下さりありがとうございました.








2013年12月15日日曜日

ADOC-Sは教員にも好評でした〜 In ATAC 2013

Clip to Evernote
京都滞在の四日間、毎日ラーメン食べました。tomoriです。駅ビルの10階、拉麺小路です。



今日はATACの初日です.テーブルデモという初めての発表形式です.しかも,2日間,10-17時の間で発表して良いというもので,一応なるべくテーブルにいるようにしました.しかし何とも地味なセッティングで,何のためのアプリかもわかりにくい...反省です.



しかーーーし,ここでもかなり多くの方が質問にきてくださいました(笑) 
昨日、用意していたパンフレットは午前中の1時間で完売.古いバージョンもお昼には完売.「え?資料ってないん?」と関西弁で何回か突っ込まれました... 今日は朝からネットプリントで,セブンでチラシをコピーしてきました(笑)

「これなら面談で迷わなさそう」
「何か困っていることありますかと聞いても,なかなか出てこないからね」
「デザインが良い!」
「うちのシステムと一緒に何かできるかも,連絡とり合いましょう」
「ADOC-S持ってます!,使い方とか教えてください」

などなど,教員の皆さまに興味を持っていただけました.なんとなくですが、初めてOT学会でADOCを発表したときのような、えー!今はこんなのあんの?みたいな、少しびっくりされたような表情の方が多かったような気がします。

しかし僕も教育現場のことをちゃんと理解しないとなと反省しました。IEPとかの議論をされて、それがなんだかよく分かりませんでした。これですね。

http://en.m.wikipedia.org/wiki/Individualized_Education_Program


やはり,ATAC参加の皆さまは子どものために何かしたい!という意識が高いんでしょうね.ホントそういう方に使っていただきたいです。

あ,あと告知が遅れましたが,ADOC-SはiOS(iPhoneとiPad)のみですが,体験版(無料)をリリースしています.お試しください.


講演も聞きました.中でも非常に面白かったのが,中邑賢龍先生(東京大学先端科学技術研究センター教授)の「ユニバーサルデザインの次は? 凹デザインという考え方」でした.すごい個性的な先生でした。

講演内容を少し.

いろいろ社会は便利になってきました.朝スマホのアラームで起きて,スマホでニュースを見ながら出勤し,改札はICカードで通りぬける... 一昔前は,目覚ましをセットし,新聞でニュースを取り込み,切符を買って改札を通り抜けることが当たり前だったのに。このようにテクノロジーの発展によって,障害者や高齢者にも優しい社会になってきました.で、それは本当に良いことなのか,このATACで考えなおさないといけない!という問いからスタートです.

効率を目指す社会においては,便利なものが欲しい,仕事ができる人と働きたい,ということなんですが,その反面,便利でないもの,仕事ができない人は排除するということを示唆します.うつ病なども増加しています.障害者や高齢者を支援する医療・福祉の人間が,その自己矛盾に気づいていない,気づかなきゃ! 精神障害者をジョブトレーニングして会社に入れても2年以内に調子を崩してやめてしまうことが多い.つまり変えなければいけないのは障害者ではなく社会,多様性を認め,共存する社会をデザインすることが必要.それが凹デザイン.凹があるから気づく,考える,立ち止まり待てる,心地よい,楽しい,コミュニケーションが生まれる.


またユニバーサルデザインの弊害も指摘しています.ユニバーサルデザインとは安心安全.しかし注意を払わなくても,努力をしなくても良い社会を作ってしまう.ポテチの袋にたとえて言うと,外国製のお菓子の袋を開けにくい.そんな経験をすると,やっぱ外国の仕事は雑,日本は良いよねーみたいな話題になる.例えば大人が子どもに口で噛んで開ければいいじゃんというと,えー汚いという.ハサミを取ってこいというと,えーめんどくさいという.挙句の果てには,そんなにお腹空いてないからいいと言う.これがアメリカの子どもならどうか?→普通のこととして対応するだろう 途上国の子どもならどうか?→お腹が空いていたらどんなことをしてでも開けるかも.こんな環境で育った大人が,たとえ英語が話せるようになったとしてもグローバルに働けるのか?と.

他にも興味深い話がたくさんありましたが,このくらいで...


僕もAB型なんで,わりと効率を求める人間です.もっと社会が便利になったらいいなと.でも時々自分が怖くなる感覚があります.他者や自分にキツくなるときがあります.そんなんでいいんでしょうか… 

また便利で簡単な世の中に,少し違和感を感じることもあります.これじゃ人は何も考えないなと.また,便利になることで,人々が得たものは暇です.


不便かー。たまに恋しくなりますね(笑)

特にオチはないのですが、最後まで読んでくださりありがとうございます。








2013年12月14日土曜日

ATAC in 京都に参戦しています 〜OAKの紹介〜

Clip to Evernote
tomori@京都です.11月から週末に出張か仕事が入っていて,ちょっとバタバタしております.

さて,今回はATACカンファランスに初参戦です.今回はADOC-Sの発表もさせていただくことになってます.

昨日は,「支援技術開発の過ちから学ぶ新たな開発の方向性」という1日のプレセミナーに参加しました.ATを,支援技術機器開発(モノの開発)と,支援技術サービス開発(フィッティングとか社会システムとか)という2つの側面から説明がなされました.両者は車輪のような関係ではあるのですが,開発をメインに考えると,どうしてもサービスがないがしろになって,結局使えない「モノ」になってしまうわけです.

ADOCの場合は役割分担をしています.つまり,全体のデザインは僕,支援技術サービスは臨床の作業療法士,プログラミングは㈱レキサスさん,ということでチームで開発しています.

モノの開発にあたって,思いは一緒だなぁと感じました.それは,利用者も気づかない新しいニーズを創ること! そして社会を変えるためのAT開発ということです.僕たちADOC projectも,コンセプトはmeaningful occupationです.しかしこの動画何度観てもいいよなぁ(笑)



さて,今日はセミナーで紹介されていた「新しい」モノを紹介しますね.

まずセグウェイの車いす版 Freeee
ただかっこいいだけでなく,オフロードに強い,スピードが出るなどの特徴があるようです.確かにいいかもです.動画はこちら


あとは車いすの電動アシスト SmartDrive 車いすの後ろに設置する感じです.見た目しょぼいですが,スピードは出るわ,坂はラクラク登るわ,片手駆動でOKだったりで,とても便利そうでした.ぜひ動画を見てください.






前から紹介しようと思っていたんですが,OAK -Observation and Access with Kinect-です.夢の扉でも紹介されていましたね.


しかしこれは素晴らしいです.動画をぜひ見てください.既存のカメラKinectを使って,空間にスイッチを作ることができます.エアースイッチと言われています.それだけでなく,体幹の軸や顔をキャプチャーしつつ,エアスイッチを移動させることもできます.



また,モーションヒストリーといって動いた部位を色によって定量化する機能もついています.写真で言えば,よく動かした箇所が赤くなっています.


これによって,例えば見た目ではほぼ動いていないような神経筋疾患の方の全身をずーっと撮って,少しだけでも動く部位とかを同定することができます.

僕は運動失調症の定量化に使えるんじゃないかと思いました.また片麻痺患者さんの異常パターンの定量化なんかも,もしかすると使えるかもしれません.あくまで想像ですが.




話それますが,開発関連の話で巖淵守先生が強調されていたのが「アルテク」です.身の回りにある常識的なテクノロジーやテクニックの組み合わせること,だそうです.OAKもKinectというゲーム機として開発されたカメラを活用しています.既存のものを利用すれば普及も早いし,変更も早い.変化のスピードに対応できるということでしょうか.

iPhoneやiPadの登場によってアルテクがたしかに促進されました.アルテクによって,それまで不可能だったことが可能になりました.しかもめまぐるしいスピードで.アルテクは多くの人を幸せにしました.

一方で,同時に起こったのがアプリの価格崩壊.多くのアプリが無料で配信され,300円でも高いなぁ,なんて考えますよね.100円のアプリを売って儲けを出せる人はほんの一握りです.社会を変えたい!利用者のために良いものを創りたい!と燃えているエンジニアさんも,その信念だけで開発を続けることはできません.もちろん僕もその一人です.正直,建前だけじゃ開発なんてできんとです(笑) まあそのジレンマを抱えつつ,これからも社会に貢献できるように頑張って行く所存であります.もちろんアルテクで.

最後まで読んで下さり,ありがとうございました.







2013年12月12日木曜日

日本臨床作業療法学会 プログラム発表〜!

Clip to Evernote
え?あんた准教授なの?そっか。そうだったね。と、かみさんに言われました。tomoriです。

さて日本臨床作業療法学会の第一回学術大会のプログラムが決まりました。



発表が遅くなって申し訳ございませんでした。集まるかなぁと心配してた演題も、蓋を開けてみれば110という予想外の数となってしまい、会場など予定変更してました。しかし素直に嬉しいです。なぜ研修会ではなく、わざわざ学会を設立したかというと、参加者の発表の機会を作るためです。参加型の学会にしたい... ただ講義を聞く、講習を受ける、それでは学習効果が低い→臨床は変わらないです。一方、発表をする→学習効果が高い→臨床が変わる。そのために会長はじめ理事で、学会を立ち上げました。この思いがたくさんの方に届いた気がします。ホント感謝です。

しかしながら、2日間で腹いっぱい勉強してもらうためにプログラムもキツキツですので、気配りが不十分になることもあるかもです。いや「かも」ではなく、そうなると思います。その際には、どうか参加者も実行委員の一員となって、運営にご協力のほどよろしくお願いします。共創で.


本大会のテーマは「今一度、作業療法の核を問う」です。1980年代に熱く議論が交わされた伝説のテーマを拝借しました。今回のテーマには、先人たちの熱い思いを受け継ぎつつ、古くて新しい日本型作業療法の道すじを示していきたいという、澤田会長をはじめ立ち上げメンバーの思いが込められています。

講演のメンバーも,次世代の作業療法を担っていくであろう方々に来ていただくことになりました。やや身内感高めなので、自分らで次世代とか言うかっ!と突っ込みたくなりますが(笑)、そこは若気の至りということでご容赦下さい。何事も思い切りが必要です(笑)

ただ四名とも現役臨床家というのは良くないですか? 臨床のことって臨床家に聞いたほうが良いと思っています.僕は.そして,作業療法のことは「作業療法士」に聞いたほうが良いと思っています.

演題発表のテーマも非常に多彩です。こんな学会待ってましたと言わんばかりに、全身全霊で作業作業アピールしたものが目立ちますね(笑) 障害ではなく作業に焦点を当てているので、タイトルを見ただけでは、身体/精神/発達/老年が分からず、割り振りどうしようと実行委員的には困った状況にもなっています(笑) その一方で、理学療法士やエンジニアさんによる発表もあり、早くも学際的な一面も見せていますよ。まぁ全国OT学会などとは明らかに一線を画する演題の面々です。純粋に楽しめそうです。


この豪華なプログラムにあと一つ仕上げのスパイスを加えるとすれば、みんなが気楽に声を掛け合うような会になればと切に思ってます。学術大会というとお堅い感じではありますが、それは他の学会が担えばいいのではないでしょうか。本会は「臨床」を変えたい、という思いがあります。とかく私が関わる第一回は、臨床のやりがい、楽しさ、悩み、戸惑い… そんな感情面も大切に、初対面だろうが目上目下、他職種…どんな方でも共有できるような感じにしたいと思ってます。まず情動面をドライブしないと、臨床なんて変わらないと思ってますし。ぜひ気楽に、ラフな格好で,そしてこんなテンションで来てください!(笑)


ワンピース 空島

そして閉会式後には,「作業療法っていいなぁ!」という幸せな気分でお帰りくださいませ.

参加申し込みはこちら

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。








2013年12月7日土曜日

僕たちはADOCを自由に使って欲しいと思っています.

Clip to Evernote
肋間神経痛?のtomoriです。副鼻腔炎が止んだと思えば…困ったもんだ。

さて、今日はADOCについて受けた質問について、僕個人の意見を書いてみます。ただし、基本的にADOCの使い方はユーザーの自由です。そして,ユーザーは作業療法士に限定していません.理学療法士でも看護師でもケアマネージャーでも,興味のある方ならだれでも,現場の状況に合わせ柔軟にご活用ください。もし面白い活用法を思いついたら教えてください.

では質問の回答です。

Q1 精神科でADOC実施に90分ほどかかった。どのくらい時間がかかるものなのか?


全領域の100名のクライエントに実施した研究で,平均約30分でした.おおよそ30〜60分くらいかかると思います。ただし,イラストを一つひとつを聞いていくと時間がかかるので、ザーッと画面を見せていく中で、大切な作業を選択してもらうほうが良いかと思います。面接が長くなる場合は、画面左上の途中保存機能がありますので、お使いください(意外に知られてないですが)。

90分かかったとしても、もしそれで方向性が明確になるのであれば、目標なく続いている支援の場合や、クライエントの希望が反映されていなかった場合などと比べると、大幅な時間短縮になるでしょうね。たられば的で申し訳ないのですが。

Q2 ADOCではなぜ最初に目標を決めるのか?OTIPMやCPPFだと目標という内容を話すのは、最後なのに。

まず、OTIPMやCPPFはプロセスモデルなので、ADOCと同じレベルで比較出来ないと思います。もし比較するなら、COPMやOSAなどの面接ツールだと思います。そして、ADOCはなぜ目標を最初に聞くの?ということですが、目標を聞くというより、なぜこの作業を選んだのか、whyの部分を聞いて欲しいと思ってます。詳しくはこの動画で。

あと確かにADOCは目標設定のためのツールですが、それは目標を決めること以上に、目標設定にクライエントを巻き込むことが重要だと思っています。「リハの目標はあなた自身の意見が必要なんです」、とセラピストが最初に表明し、クライエントが作業に関する相談をしやすい関係性を築くことが大切です。


Q3 ADOCで聞いてるのは作業ではなく活動ではないか?


ユーザーの知識や思考性に左右されると思います。つまり作業系の学問や理論の知識があるユーザーだと作業に関する話題が多くなり、それが無いユーザーだと活動よりの話題になるかと思います。これは,そもそもADOCだけの問題ではなく、COPM、OSAでも同様のことだと思います.上のインタビュー動画を見ていただければ,クライエントは単なる活動ではなく,作業について語っていることがわかると思います.



Q4 イラストに 手と腕の使用 があるのは,作業や活動を選択するADOCの目的からすると異質な感じがする。

確かに、この項目はメンバーで項目を選んだ時にも議論になりました。含めた理由としては、ICFの活動と参加の項目に入っていること。そして、これは手の機能を高めるとは書いていません。あくまで手を生活で使用すること、です。じゃあどの場面で使いにくいのか、使えるのか、そんな話し合いにつながればと思ってます。

また基本的にこの項目は僕が個人的に推したんですが、それはクライエントの色んな希望や気持ちを受け止めることが大事だと思っているからです。つまり手を使うこと、歩くこと、起き上がること、そういう希望もOTは受け止めることが大切だと思います。




最初でも言いましたが,僕たちはADOCを自由に使って欲しいと思っています.どうやって使うものですか?という質問には,Youtubeで公開されている動画をご覧ください.あと,こんな使い方でいいんですか?という質問も受けますが,その現場に合っているなら良いと思います.

では,最後まで読んで下さりありがとうございました.





2013年12月5日木曜日

「もっともっとものさし」より「大好きものさし」

Clip to Evernote
今日学生にキレてしまったちっちゃな男.tomoriです.イライラしちゃダメですね.


さて,今日は我が家のやりとりを紹介します(FBに書いたことを編集しました)


僕→やっぱ偉い人たちはすごい努力してる。まだまだ俺は努力が足りないなぁ

カミさん→(笑)はっ? あんた(のレベルなら)もうこのくらいで十分でしょ? 人生7割。いまも十分幸せでしょ? 難しい人だなぁ。あははー(笑)




上を見れば自分が情けなく感じ、下をみればもっとちゃんと働けよと思い、周りを見ればこんな環境では何もできないでしょ言い訳し…

もっと偉くならなければ、もっと賢くならなければ、もっと住みよい社会にしなければ、といった「もっともっとものさし」では、人はいつまでたっても幸せになれません。それは周りと自分を比べることはもちろん、過去の自分と今の自分を比べることもです。

「もっともっとものさし」は,成功のために不可欠なパラメーターだと思われがちですが、そうではないと僕は思ってます。

じゃなにか。好きで好きでたまらないことを無心でやってるうちに、なんとなく成功が後からついてきた、という感じではないでしょうか。本当の成功って。ていうか好きなことをやっているかどうか,でしょうね.

なので、「もっともっとものさし」ではなく、「大好きものさし」を使ったほうが良いでしょうね。自分が好きと思えるかどうか。好き嫌いものさしではないですよ(笑)ゼロは嫌いではなく、普通です。

昨今,SNSなどにより他人と自分を簡単に比較できるようになりました.そんな中,「もっともっとものさし」のネガティブな側面をちゃんと意識しておかないといけませんね。僕もそんな事を,このふとした会話で思い出しました。




老子の言葉で,まさに天下を取らんと欲してこれを為すは,吾,その得ざるを見るのみ,というのがあるそうです.つまり,「天下を取ろうとして策を弄する者に,天下を取れたためしはない」


以下この本の引用です.p165

”さらなる上を目指して努力することを悪いとはいいません.しかし,いまいる場所からはい上がらなければ幸せはないと考えるのは,欲望に振り回されているだけです.だからイライラしてしまうのです.どんな場所,どんな環境であっても幸せでいられる.そんな人のもとにこそ,世界は身を寄せるのです.”

この本オススメです.



この老子の本を読んで,ホントしっくりくるのが侍OTさんです.さすがに侍と名乗るだけあって,本当に禅の人です.彼を知っている人ならすぐ分かると思いますが,いつでも謙虚,朗らか.悪口は言わない,イライラしない,感情的にならない,ブレない,欲張らない,いつも幸せそう,余裕がある,でも好きなことは明確.みんな侍さんのことが大好きです(笑)

先日,その侍OTさんの夢がひとつ叶いました→レンズを通して世界を覗く

しかも,参加人数は245名と過去最多で,多くが作業科学学会の非会員だったそうです.その日は全国各地から参加者が集まりました.準備している彼は,はたから見ていて大変そうなんですよ.でも努力してますって感じでもないんですよ,全く.まさに侍さんは自分の信念や好きなことに没頭し,そんな侍さんの人柄に”世界が身を寄せた”という2日間でした.

夢って,「もっともっとものさし」ではなく,「大好きものさし」で,こうやって叶えていくもの,いや,なんとなく叶っていくものなんだなぁと思いました.




まだまだ自分はできるはずだとか,まだまだ努力が足りないとか,未来は自分次第とか... 僕もそんなロジックで自分を鼓舞しながら頑張ってきました.今後もその気持ちは大切にしたいと思います.

でも,僕は生来ナマケモノ.良く表現すれば脱力系.好きなアーティストは奥田民生です(笑).今こうやって様々な仕事をいただけるのは,僕の能力では身の丈以上.背伸びどころか,厚底ブーツを履いた状態で,自分でもなんでこんなことになっているのか良くわかっていない(笑).だからもう少し周りの曇りなき眼で,周りの景色を楽しみながら,人生ゆっくり生きていこうと思います.

奥田民生 レーザービーム(Perfumeのカバー)



しかしこの動画最高だよな〜(笑)


最後まで読んでいただきありがとうございました.



2013年12月1日日曜日

17回作業科学セミナーに参加してきました。

Clip to Evernote
tomori@福島です。初めての作業科学セミナー参加です。

僕と作業科学の出会いは、助手になった10年前だったと思います。回復期リハ病棟にいたころ、手探りモヤモヤで作業を用いた実践を行ってきて、事例報告をまとめようとしたときでした。こう表現すれば良いのか! 支援の構造はこんなことやったんか! と霧が晴れた感じでワクワクしながら本を読んだ気がします。

時は過ぎ、いま作業科学はいろんな教科書の序論に当たり前に登場するようになりました。よく耳にするようになりました。セラピストが解剖、運動、生理学を学ぶように、基礎科学として作業科学を学ぶことの重要性を感じています。※作業科学は理論ではなく、学問だそうです。


さて、セミナーです。まず実行委員長である侍OTさんの、ちょっと感動して本気で泣きそうなんですけどどうしたらいいですか…という挨拶で始まりました(笑)。彼のブログを読むと、どんな気持ちでここに立っているかよく分かります。



続いて、楢葉ときわ苑 副施設長 作業療法士の木田佳和さんによる、[震災から現在、そして未来へ]という講演でした。僕がこれまでの人生で聞いたなかで最高の講演でした。


第一章では、震災時が作業を奪ってしまったお話でした。命がけで利用者さんを非難させ、避難所で原発事故によって外にも出れず、利用者さんも自分も作業はく奪された環境の中でどんどん弱っていったそうです。作業によって人はすぐ不健康になります。全てがリアルすぎて思わず涙が出てしまいました。二章では、その中でも利用者さんにとって大切な作業をすることによって、本当にイキイキとした笑顔を引き出して行く、作業の持つパワーについてのお話でした。この環境下で、利用者のためにうちは利用者中心で行くんだ!という信念。そして、他職種でも使いやすいということでADOCも使っていただきました。クライエント中心とか、OBPが出来ないというのは、環境ではなく自分がやるかやらないかだ!と改めて思いました。三章では、作業によって作業をしている時間は楽しいが、原発事故によって未来がどうなるか分からないという不安が常にあり、前に進めない利用者がいる。そんな中、自分たちにできることは、共に歩むことだと…作業療法の本質がシンプルに詰め込まれた、本当に素晴らしい講演でした。





お昼からはポスター発表で、7演題中4演題がADOCを使った実践(笑)。またADOCメンバーがジャックしたと思う方もいるかもですが(笑)、僕は1人も関わってませんよ(笑)。でも皆さんをもちろん知っていて、その堂々とした姿を遠目で見て、1人感動してました。

そしてワークショップで作業の捉え方を約10名を1グループ単位で検討しました。参加者の一人をクライエントとして、大切な作業を単語レベルで言ってもらい、周りが質問。ポストイットに一つづつ書いて、でかい模造紙でカテゴライズするというものでした。授業で使えそうだなと思います。うちのクライエントは外出でした。どこに行くのか、どうやって行くのか、何のために行くのか…など。それを聞くうちに、外出は意味と形態に分かれ、意味では新しい経験をするための外出、だれかと共有したいこと、そして家族の役割としての外出もあることが分かりました。メガネOTさんの職場の後輩が同じグループでしたが、その辺の聞き方が飛び抜けて上手でした。後で話を聞くと、やはり秘蔵っ子だったそうです(笑)

最後はポラタイコ教授の講演で、作業療法に不可欠なこと、でした。自分はバリバリの量的研究者という自己紹介のあと、作業療法の普遍性[universal]をメインテーマに、普遍性を探求するなら一般化しやすい量的研究が当たり前で質的研究は不向き→科学というのは量的研究のイメージ。作業学なら分かるけど→でも量的研究のような実証実験では特異的な"私"が切り離されてしまう→作業は経験だから、重要な情報を見落としてしまう→だから質的研究になってしまう、という、まぁ少し作業科学を批判的に分析した内容でした。僕も、まずは量で捉える方法を探すことが大切だと思います。そして質的研究は、その限界を認識した上で、拡大解釈をしないように注意すべきです。

あと、作業科学では、なんでもかんでも作業療法に結びつけてはいけないです。作業科学は作業の分析、作業療法は効果の検証、その辺の目的を分けて考える必要性を感じました。

そのあとは、作業療法の原理みたいなものを7つ半、写真を使いながら説明してくださいました。最後の半分は、効果はあるけど、何がどの様に効いてるかは未だ分からないから、ということでした。あれ、前半の批判的内容のオチは?みたいな感じでしたが…



レセプションでは、福島の郷土料理や芸能を堪能さてもらいました。踊りは参加型みたいで、種まきOTさんと琉球OTさんが、まさかのプロより目立つ踊りを披露してました(笑)



ポラタイコ教授とも、少しお話出来て、あまりにyou are basic scientist と言うから(笑)、いやいや研究の方向は変えて、今はRCTとかやってますよとアピールしたら、これまた質問の嵐で墓穴を掘るみたいな(笑)。基礎研究しかやってない変なやつという誤解だけは晴らすことができましたが(笑)、ホント英語ができるももっと学術的な話ができたのになぁ…


さてさて、我らが侍さんや実行委員の皆様がここ一年半くらい準備に頑張ってきたOSも終わりです。最後の挨拶で、みんな前に出てきてもらい、本人やや男泣きという、ホント侍さんらしい閉会式でした。本当にお疲れ様でした。



長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださりありがとうございます。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...