2013年12月30日月曜日

作業療法の未来は明るい!

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世の中「師走」ですが,師ではないし,そもそも走りたくもない教員のtomoriです.カミさんも年末の大掃除や正月料理の買い物を1ヶ月かけてコツコツと済ませており,もはや年末にすることがないので,ブログ書いて頭を整理したいと思います。

さて,僕は作業療法士です.親戚に勧められたからという安直な動機で始めたこの仕事なんですが(笑),今後に大きな可能性を感じています.まぁ所詮ポジティブバカの意見と思って,気楽に聞き流してください.



1) 医療でも独自性がある
そもそも数ある医療職の中で作業療法っぽいことやっている専門職がありますか? 何が作業療法っぽいかと言えば,定義から持ってくると「作業活動を用いて行う治療・指導・援助を行うこと」です.この作業を使って支援するというのが医療っぽくないので,科学性つまりエビデンスを大切にしている人から非難されたり,ついつい自虐っぽくなったりします.

しかし「作業を使うこと」を課題指向型訓練もしくは課題特異型訓練に言い換えると,沢山のエビデンスが創出され,脳卒中ガイドラインでは強く「推奨」されています.これから「作業を使うこと」に関するエビデンスはもっと増えていくことでしょう.これまでの歴史の中で批判された「作業を使うこと」は,負い目に感じることも,ダサく感じることもありません.むしろ科学的でかっこいい,という方向になっていきそうです.そう.いま作業療法はかっこいいんです!(笑)


2) 生活密着
天皇陛下のオペを担当した天野篤医師は,冠動脈のパイパス手術後の会見でマスコミにオペは成功かと聞かれて,「日常のご公務を取り戻すのが手術成功といってもよい時期」と何ともかっこいいコメントをしていますよね.医療だけでなく,保健・福祉・教育,そして災害時も,最終的に生活へ適応できるかを考えていかなければいけません.その生活とは,いわば作業の集合体です.

オペだけで完治して生活に適応できれば,作業療法は必要ないかもしれません.でも人間は機械でもプラモデルでもありません.つまり,パーツが揃ったからといってすぐ社会に適応できるとは限りません.出来ると思えないと人は動かないものです.しかも日本は「おもてなし」や「空気を読むこと」を要求されます.マクドナルドのバイトさんにも文句言うし,電車にベビーカーで乗り込めないくらい厳しい社会じゃないですか.そんな優しいのか厳しいのか得体のしれない社会に患者さんが再び適応するために,患者さんの近くで問題解決の相談に乗り,影で応援する仕事が必要です.それが作業療法です.作業療法は,医療の総仕上げといっても過言ではないでしょう.


3) ニーズがあり,競合相手が少ない
上記の通り,医療・保健・福祉・教育,その他さまざまな領域において,作業療法のニーズってあると思います.作業を使うということは,基本だれでも出来ることですが,それを社会的に認められているのは作業療法士のみです.例えば,理学療法は作業療法に比べて認知度は断然高いし,ニーズも明確ですが,それ故類似した仕事も多いですよね.柔道整復師,スポーツトレーナー,あん摩マッサージ指圧師などさまざまです.そう考えると,作業療法の競合相手って案外少ない気がします.いま作業療法が何となく焦っているのは,競合相手多いところでの領域拡大を狙っているかではないでしょうか.個人的には,これらの職種の方々とは競合ではなく協働することで,作業療法の「医療の総仕上げ」という強みをさらに活かすことができるのではないかと考えます.そのほうが患者さんにとってもメリットが大きいと思います.

あと,作業療法内でも競合相手が少ないように思います.というのも,やっぱ理学療法の平均値はホントに能力高いです.それからすると作業療法はやや劣っていると言わざるを得ませんが,それはチャンスと思えばいいのです.鶏口牛後です.また作業療法士の男女比は,男性 33.9%,女性 66.1%です(2010).理学療法士は男性57.5%,女性42.5%(2013)です.ジェンダーとか怒られそうですが,女性はどうしても結婚や出産などを転機に作業療法を離職してしまう人も出てきます.うちのカミさんのように.そうなるとますます競合相手が少なくなることを意味します.これは男女関係なくキャリアを積みたいと思っている人にとっては有利だと思います.作業療法は今まさに下克上です(笑)



このように作業療法には多くのチャンスやアドバンテージが転がっています.悲観的になる暇などありません.ただ注意が必要だなと思うのが,「作業」,「生活」という言葉の共通点→自由度の高さです.自由度が高いということは,患者さん個人にテーラーメイドの支援ができる反面,作業療法士の技量が求められるということです.つまり作業療法士個人によって差が出てしまうことを意味します.長所であり短所です.なので僕が述べてきた作業療法のアドバンテージは全ての作業療法士に等しくあるとは思っていません.たとえ厳しい養成校教育をクリアして作業療法士になったとしても,です.学生さんには気が遠いかもですが、作業療法士免許取得はあくまでスタートラインです.

繰り返しますが,チャンスは目の前にあるんです.後はみんなで頑張るだけです.

作業療法の強みを共有する場として日本臨床作業療法学会があります。この学会では、作業療法士のアドバンテージを十二分に感じることができると思います。澤田会長をはじめ、藤本さん、齋藤さん、竹林さんの講演は,作業療法の強みを実感させてくれるでしょう.何より,北海道から沖縄まで,全国に点在する約110の演題発表者のイキイキとした姿が,作業療法の将来を物語ってくれると信じています.

僕ら ADOC projectも作業療法大好き人間の集まりです.もちろん僕らも最初から作業療法が好きだったわけではないです.悩みながら前を向いていたら好きになっていたって感じです.この感情を多くの人と共有するために,そして自由度が高いという強みを活かし,弱みを軽減するために,僕らはADOCやADOC for schoolを創ったし,ADOC for handも創ってます.一緒に楽しい作業療法を創りましょう.



作業療法の未来は明るいです.僕の学生にもそう教えています,いや洗脳しています(笑)以下,2年前期で僕が担当している科目,「評価学概論」を終えた後の,学生の感想です.学生が自由な発想を持ち,自分なりの道を進んでいけるようになってほしいと切に願っています.自分の進路すら自分で決めたことがない僕の期待ですが(笑) 

  • 作業療法のことを前期に学び、作業療法についての考えがまとまってきたように思います。作業療法とは、作業を扱うことに絞られると思っていましたが、それだけではなく作業を使って医療の確実性をあげることではないかと思いました。作業遂行は個人に沿ったものであるためその人にとってはよくても、同じ動作であっても他の人には効果をしめすかどうかわからないものです。どこまで効果があるのかわからないことが作業療法の短所だと思うのですが、対象者の話を聞いて作業遂行をその人にとって必要なものにしていく。それが作業療法士の役割ではないかと思いました。不確実な部分が短所と言いましたが、それを跳ね除け、個人個人にあった作業遂行をしようすることが作業療法の長所です。対象者に沿った効果的な治療ができるように、習ったことは全て力にしていきたいと思います。前期の約半年間、講義ありがとうございました。

  • この授業を通し、実際に面接を行ってみたり、観察をしてみて、評価をすることはとてもむずかしいけれど、介入を行う上でとても大切なことなのだと知ることができました。私の中での評価の最初のイメージは、様々な評価法を用い、身体のどこの部分に障害があるのかを確かめることだと思っていましたが、身体の障害だけでなく、その人自身の心の持ちよう、作業を行う手順、家族の協力の有無など、1つの作業遂行に対してたくさんの方向から見ることも評価なのだと知ることができました。これからの授業や実習では、身体の機能面だけにとらわれず、クライエントができるようになりたい作業を、クライエントと一緒に考え、目標達成していけるようにしたいと思いました。

  • 作業療法は奥が深いということが身にしみた講義だった。元々作業療法の世界を知らなかった私にとって、OTの世界は考え方、やり方は無限大でいくらでも掘り下げることができる世界とわかり、とてもわくわくするものだった。また、実践では少数派のトップダウンやOTIPMをまなぶことが出来る環境に出会えたことも恵まれたと思う。トップダウンはボトムアップを否定してる訳ではない。という先生のお言葉を聞いて、三つの方法(true top-down, top-to-bottom up, bottom up)を自分の目で見、実践してから自分の思う道を決めようと思った。また、他の専門職や患者の理解を得にくい作業療法をしていくには、自分のなかで作業療法の定義をしっかり持ち、自分の目指す作業療法を持つことが重要とかんじた。ありがとうございました。


冗談抜きに長くなってしまいましたが,最後まで読んでくださりありがとうございました.


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