2010年5月13日木曜日

新しい上肢機能の評価の可能性

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早起きは三文の徳 tomoriです.
 
上肢機能の評価って海外ではバンバン出ているのに.
日本では少ないのが現状です.

functionの部分では,STEFかMMT,
あと最近CIが流行りだしてからはWolf Motor Function Testですかね.
ADLへの上肢の参加ではDASH,Motor Activity Logあたりですかね.

STEFのキットは高いし,障害が重度な場合は使えないし,
いまいちどれを使っていいのか分からない.そういう現状があると思います.

皆が同じ評価を使えば,その結果を比較することも,集約することも可能です.
つまり評価がそろえば普段の臨床に少し工夫を加えるだけで,多施設間RCTとかできちゃうわけです.
OT協会も,WFOTに何億というお金をつぎ込むのなら,
その何十分の1のお金で,協会推奨の評価表の作製→RCT→エビデンスの創出
でもしたほうがいいのになと思います.

前置きが長くなりました.
以下の文献を選びました.上肢機能を項目反応理論で整理して項目バンクを作成した報告です.上肢機能を表すような99項目を49項目に絞っています.それでも多い,と思われますが,この研究の最終的な目標はCAT(computer adaptive testing)にもっていくことです.つまり,患者さんのレベルに合わせてコンピューターが自動的に問題を選択してくれる評価を作ることです.49項目の約半分くらいの項目で済む?のかな.これはまだ分かりません.

項目は,タイやスカーフを首に巻く事ができるか,更衣と脱衣,瓶をあけてコーヒー一杯分を取り出せるか,などとADLに関連した項目(これはICFの活動 と参加の領域が基準だそうです)と,母指伸展>1/2範囲,肩屈曲90度,などといったfunctionに関連した項目も一緒に入っています.この一見バラバラな項目を同じ尺度にできる,しかも間隔尺度で,というのが項目反応理論の優れた点で,要はこの評価一つでfunction・ADLに関連した上肢機能が評価できるということです.

話はそれますが,AMPSも同じラッシュ分析を用いています.最近になってリハの分野に項目反応理論が用いられるような論文がやたら目につきます.AMPSがいかに先駆的だったのかなと思います.ただ普及の度合いがやはりネックでしょうかね.

以上です.
以下アブストラクトです.

Higgins J et al. Development and initial psychometric evaluation of an item bank created to measure upper extremity function in persons with stroke. J Rehabil Med. 2010 Feb;42(2):170-8.

Abstract
OBJECTIVE: To create and illustrate the development of a method to parsimoniously and hierarchically assess upper extremity function in persons after stroke. DESIGN: Data were analyzed using Rasch analysis. SETTING: Re-analysis of data from 8 studies involving persons after stroke. SUBJECTS: Over 4000 patients with stroke who participated in various studies in Montreal and elsewhere in Canada. METHODS: Data comprised 17 tests or indices of upper extremity function and health-related quality of life, for a total of 99 items related to upper extremity function. Tests and indices included, among others, the Box and Block Test, the Nine-Hole Peg Test and the Stroke Impact Scale. Data were collected at various times post-stroke from 3 days to 1 year. RESULTS: Once the data fit the model, a bank of items measuring upper extremity function with persons and items organized hierarchically by difficulty and ability in log units was produced. CONCLUSION: This bank forms the basis for eventual computer adaptive testing. The calibration of the items should be tested further psychometrically, as should the interpretation of the metric arising from using the item calibration to measure the upper extremity of individuals.

2 件のコメント:

  1. こんばんは,ウエズです.
    興味深いです.この評価は作成中ということでしょうか.
    バラバラな項目を同じ尺度にできる,という点はAMPSと同じのようですが,機能評価も入っている点,文化的影響を受けない点がとくに素晴らしいですね.メジャーな評価になる可能性が大きいように思いますが,使いやすさが気になります.いずれにせよ,注目したいです.

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  2. まだかけだしですが上肢機能の評価は共同研究で開発中です。
    このかたちにはならないと思いますが。コンセプトは普及です。
    どうせなら使ってもらえる評価にしようと。

    返信削除

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