2010年4月7日水曜日

作業療法を学ぶ 2010

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早起きのメリットは前向きになれることだ! とこれ以上ポジティブになってどうするんだ.tomoriです.


作業療法を学ぶ in 2010 が完成したのでアップします.
いつも2年生の最初の授業で使っています.毎年少しずつ改変しています.
だんだん長くなるので,来年は半分くらいにしよう・・・.



皆さんも入学から1年が過ぎましたが、大学での勉強って高校までの勉強とちょっと違うなと感じませんか? 特にOTは今までの勉強とは結構違います。  

大学で皆さんは専門的な学問を学びます。学問とは自ら問いを立てて学ぶこと。実習に出て気づくのでは少し遅いので、OTの専門科目が始まりつつある今、学習する意味について一緒に考えてみたいと思います。

テストで良い点をとって、先生の指示を忠実に守ってさえいれば立派な作業療法士になれるということは、個人的にはないと思います。むしろSをたくさん取った学生が実習で苦労し、Cばかりの学生が活き活きと実習をすることも少なくないです。なぜでしょう…。

OTでは教科書に書いてあることを覚える記憶力より、自分で考える能力が必要になるからではないでしょうか。 「考えるって何ですか?」と思った人。すでにそれが考えていない証拠です(笑)。「もしやこういうことなか〜」と思った人は少し考えている人かもしれません。とにかく何でも疑問に思う癖をつけるといいかもしれません。

なぜ考えることが必要かというと,作業療法という学問は日々更新されるため,今学んだことの半分が5年後には使えなくなるからです.もちろん肩甲骨とか棘突起などの基本的な名称は変わりませんよ.しかし,支援内容は確実に変わります.皆さんには,常に新しい情報を取り入れ,目の前の患者さんには何が一番適しているか分析する力が要求されます.それが考えるということだし,作業療法の評価の本質です .

中国の古いことわざに,「1匹の魚を与えよ,しかればその人1日空腹にあらず.魚釣りを教えよ,しかればその人一生空腹にあらざるなり」というのがあります.私は,数年後使えなくなる知識を教えるより,知識の取り込み方や取捨選択の仕方について,皆さんと一緒に学びたいと思っています.

少し具体的に考えてみましょう.例えば、医者は患者さんの症状にあった薬を処方します。薬は禁忌事項や適応、数量など細かく規定されていますので、患者さんの症状をよく理解できれば、そのある程度マニュアルに沿って薬を処方することが可能です。

一方、作業療法士は患者さんが今よりも健康(幸せ)になるために作業を処方します。そもそも幸せってつかみ所が無い難しいものですので,患者さんの本当の幸せとは何かを見つけ出すだけでも一苦労です。よってそれに加えて,作業も手工芸だけでなく日常の活動全てが対象となるので、作業についても幅広い知識が必要です.つまり座学で勉強ばっかりしていてもいけないということです.いろんな作業を経験する必要があります.年齢やジェンダーなどに関係なく、何でも自分の手で実際やってみる必要があります。

このように人の幸せも複雑、人の作業も複雑…。それに環境も加わります.でもだからこそ,作業療法士が必要になるわけです。目の前の患者さん一人一人の人生、希望、作業、環境、障害をチャンプルーにして、患者さんが幸せになる作業遂行はどのようにすればできるようになるのか一生懸命考えるのです。

OTは結構大変な仕事です。でも「OTなんてムリだ…」と思わないでください。大学にいるうちにこの仕組みを理解して、少しずつ自分を適応させていけば、将来の混乱は回避できる。いや回避とうより、自分で考える癖がつけばOTが楽しくなると言いたいのです。

こんな私でも、自分なりに考えた評価を行って、浮かび上がってきた課題に合った訓練を行って、あーでもないこーでもないと試行錯誤しながら患者さんと一緒に軌道修正して、目標を達成し、「先生のことは一生忘れません」と言われた時。「俺って人の役に立ってるぅー」( ̄∇+ ̄)vキラーン と自分に酔いました(笑)。福祉の心を持ち合わせていない私は,親戚に勧められてOTの学校を受験しましたが,今はこの仕事に就いてよかったと心から思います。

きっといつか、皆さんにも「これだからOTってやめられないよね」と思える日が来ることでしょう.それまでの道のりは楽ではないのですが、OTは自分って人のためになっていると自信が持てる仕事です。充実感もあり、社会の為にもなる仕事って最高の仕事だと私は思います。

そのためのポイントが、「自分で考える」ということです。

考えるとは学習することです。学習は効率が悪く、無駄や失敗も多いです。大学から品川に行くのに、高校までは京急の快特に乗れと教えられますが、大学ではコンパスだけ渡されて北に行けと言われます。かなり面倒くさいです。でも時間かかっていいし、失敗してもいい。

義務教育ではいかにミスを少なく皆に基礎学力をつけるかでしたが、大学はミスしてもいいのでチャレンジ精神を培うところです。チャレンジして失敗しても「専門家とは自分の分野でおかしうるだろう失敗を全て経験した人のことだ」(ニールス・ボーア)と言い切って結構。

大学での学習にはもともと正解がないので、正解できなくて当たり前。それで私は怒りませんが、義務教育のようにミスや正解にこだわって何もチャレンジしないで黙っている人に対しては怒るかもしれません。間違いはないから何か言いなさいと。

黙らないコツは簡単です。私たちは作業療法について分からないからこそ学費を払って勉強していると切り替えることです。分からなくて当然。どんどん質問しましょう。そして書きましょう。

私は知行合一という言葉が好きですが、知ることと行うことは同じで、知識や認識は必ず実行を予想しているものらしいです。なので、文章、図、会話、行動などに出力できないようなら、本当に考えて理解しているとは言えないと思います。でも教科書を写すだけではだめですよ。参考にはしてもいいのですが、自分なりの言葉で話す、書くことが大切です。その切り替えをできれば、大学での勉強はもちろん,きっと将来のOTも楽しいものになります。

今は考えることが苦手でも、学習することで人は生まれ変われます。「他人の答えで正解するより、自分で考えた答えで間違うほうが快感!」(中谷彰宏)と思えるようになったら、あなたにも考える力がついてきた証拠かもしれません。

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