2015年9月23日水曜日

高齢者に対する作業療法の費用効果に関するシステマティック・レビュー

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コンビニまで車で12分,海まで5分のところに住んでいます.tomoriです.
今日も海に行って来ました.暑すぎず,ちょうどよい季節です.


さて,先日元同僚の長山さんの論文が掲載されました.高齢者に対する作業療法の費用効果に関するシステマティック・レビューです.


厳格な選定基準の末,5本の論文が採用され,(統計的に有意差があるわけではないですが)クライエント中心の目標設定と意味のある作業に焦点を当てることが臨床的にも費用的にも重要であるかもしれない,と結論付けました.

僕らの研究チームは「リアル」を重視しているので,何をするにしても費用効果というものを考えます.誤解を恐れず言うならば、個人的には重要視すべきアウトカムは「お金」だとも思っています.それが何より社会的に求められているからです.

さておき,この論文ではOTの研究としてはめずらしく,費用についてかなり具体的に精査しています.それも長山さんが仕事を辞めて,一念発起で経済系の大学院への門を叩き,しっかり勉強されたからでしょう.一定期間スキルアップに専念するって大事ですね.

最後まで読んでくださり,ありがとうございました.






2015年9月21日月曜日

ニュージーランドの旅

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スターウォーズ全シリーズ持ってます。tomoriです。



さて、ニュージーランドで開催されたAPOTC(アジア環太平洋OT学会)へ参加してきました。台北で澤田さんが9時間のトランジットがあると言ってて、そりゃご愁傷さまです〜とか言ってたら、僕は12時間もあることを当日知りました(笑)格安なルートを検索したら、宮古島ー那覇ー台北ーブリズベンーオークランドーロトルアと2日がかり。いい歳こいて青春18きっぷ状態です(笑)


でもジャンボも乗れたし、トランジットの間にチャイナエアラインの無料台北観光ツアーを利用することができました。




今回、国際学会で初めて口述で発表しました。発表原稿を英語で作り、姫にボイスレコーダーに吹き込んでもらい、それを聞きながら飛行機でずっとブツブツ練習。発表の日も朝1時に起きてブツブツしてました。



院生だった大野くんも、「もちろんお前も口述だよな。てか口述以外選択肢ないし(笑)」とか言って嫌がる彼を道ずれにしてたんですが(笑)、発表の当日、彼が結構緊張してたんで、悪いなぁと思いながら本番数分前まで直前まで彼の練習に付き合い、緊張しなくても大丈夫だと落ち着かせてたんですが、本番の彼はオバマさんを思わせるかのような堂々たる態度。僕より流暢な発音(笑)





ちなみに僕は原稿から目を話すことはできず丸読みで、YouTubeで動画を見れるのか?という簡単な質問にも、「いいいイエス。YouTube」とアホな返答をしてしまいました…(笑)





さておき、ADOCやADOC for handは好評で、台北、マレーシア、香港、オークランドなど、たくさんのOTから質問がありました。これからも連絡取り合おうね〜という感じで別れました。これが学会の良さですね。

で、夜はBBQ(笑)その翌日もBBQ(笑)ちなみに初日はステーキを外食(笑)肉肉肉。というのも、こっちではグラウンドなみの広大な敷地に牛や羊が放牧されています。それを移動中に見かけた瞬間、初めて生きてる動物をみて「旨そう!」と思ったんですよね(笑)。実際、脂身が少なくジューシーでめっちゃ美味しかったです。







学会後、澤田さんと小川さんと一緒に、ニュージーランドにいる共同研究者のWilliamのもとを訪ねました。木曜日は彼のラボのリサーチミーティングでADOCの説明



金曜午前はリハクリニックでADOCの説明


午後は特別支援教育に携わるPTOTにADOC-Sの説明と意見交換。なかなか好感触で、リハクリニックの方々は研究も手伝ってくれると言ってくれました。



あと何と言っても澤田さんがリハクリニックのセラピストに自分の病院の実践を説明して、関心されただけでなく笑いも取っていたことにビックリ(笑)世界のSawadaになった瞬間でした(笑)



土曜日はWilliamと研究打合せ。ADOCの国際バージョン開発、ADOC-Hの論文執筆、その他彼の研究や質的研究など、いろんなディスカッションができました。と言ってもほとんど彼が喋ってそれになんとかついていく、という感じなんですが(笑)

ADOCも海外で発表すると、良いね〜と言われますが、その割には海外で広まってないなぁと思います(笑)English language versionができるともっと広まるのかな。着々と進めています。海外でもOBPの楽しさをシェアするために…

そんなこんなでいま帰りの飛行機でこの文章を書いています。ずっと座ってるのでお尻の感覚がなくなっていますが(笑)、有意義な10日間でした。職場の皆さま、家族、ニュージーランドの方々、William、姫、皆さまに感謝申し上げます。






2015年7月29日水曜日

作業で語るマネジメントの執筆依頼が始まりました!

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宮古島で車を運転している場合,時速30キロ以下の場合は渋滞とみなすことにします.tomoriです.


さて,事例本の続編となる,作業で語るマネジメント(通称:マネジメント本)の執筆依頼が始まりました(事例以外).

(先日大台にのった)澤田さんのかわいい直筆のお手紙つきです(笑)


事例本は作業療法士「個人」が作業に焦点を当てた実践(OBP)ができることにフォーカスした内容でしたが,続編では「チーム」で実践するためにどうすれば良いのか,前半は基本的な考え方や理論を,後半はもちろん沢山の事例を通して,今回も「わかりやすく」にこだわってまとめていきたいと思います(笑)

臨床に出て改めて痛感したのは,マネジメントの難しさです.僕は数年前からOBPの次はOBM(Occupation-based management)が来ると宣言していました.ただしその頃は教員だったので,テレビで経済学者が外れても咎められない予測をするような感じで(笑),発言にそれほど実感や責任感はありませんでした.

しかし臨床に出た今は,言わば中小企業の立場ですので,現場でどう作業療法をやっていくのか毎日必死です(笑).現場の視点から,皆さまにとってツボになるような,リアルさと責任感のある内容にしていきたいと思っています.例えば,作業に焦点を当てた理念とマネジメント,作業で語る視点の共有,医療・福祉と利益,作業で語る組織を経営するには,などなど,面白そうな目次が並んでいます.とりあえず章だけご紹介します.

1章 作業に焦点を当てたマネジメント
2章 マネジメントに役立つメソッド
3章 セルフマネジメント
4章 チームマネジメント
5章 管理運営
6章 社会保障制度
7章 地域包括ケアシステムにおけるマネジメント
8章 作業に焦点を当てたマネジメントの実践例

僕は,セルフマネジメントの章で,大学院進学をどう考えればいいのか,とか,ADOC projectを創った経緯から,所属外のネットワークの作るのはどうすればいいのか,などをを担当しています.



4月以降,僕の視点や24時間のバランスはすっかり変わってしまいました.しかし,OBPを通して楽しく作業療法ができる社会に貢献する,というADOC projectの理念を忘れず,この仕事にも取り掛かりたいと思います.

最後まで読んで下さりありがとうございました.
宮古島の写真でも貼っときます(笑)



2015年6月11日木曜日

こちらが障害という言葉を使うから相手もそれで返す

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今年は自転車とカレーにこだわってみようかと思っています.tomoriです.


昨日,教育事務所から依頼でちびっ子OTさんと宮古島の幼稚園を巡回しました。

キョロキョロして、発語もほぼ無く、周りの子どもたちとほぼ関わりがないお子さん。でも、とにかく友だちと一緒にいたい一心で、その場から逃げずに試行錯誤していました。

観察後に、先生、支援員、保護者、児童デイ(OTさん!)、指導主事、その他先生、総勢10名でADOC-Sを囲み、その子の将来について話をしました。最初はみんなかたい表情で、これもできない、あれもできない...とイラストを選んでいきますが、友だちとの交流を増やして行きたい! というみんなの期待が一つになりかけた頃から、こんなことできるよ、あんなことしてたよ、こんなことすればいいよね、とポジティブ面が出るわ出るわ(笑)

最後にはみんな笑顔でちょっと涙目。うちらそっちのけで、保護者、教員、児童デイで盛り上がり、別々だった連絡ノートを一つにすることになってました。みんな帰った後、先生や支援員は目を輝かせながら、「とにかく自分のやってることがこれで良いのか分からなかった。でも今はみんなで決めたから大丈夫。今後のこの子の成長にワクワクします!」と。



僕たちのミッションは、障害という言葉のない学校や社会を作る、です。難しいことでしょうか? みんな意識に上がりにくいだけで本当は見れてるんですよ。その子の良い面を。

こちらが障害という言葉を使うから相手もそれで返す。そして社会にどんどんこだましていく。こちらが子どものやりたいことについて話せば、できていることに目が向き、子どもへの期待が返ってくる。それがこだまとなって笑顔が拡がる。幼稚園にもそう書いてありました(笑)




リハビリテーション,心理士,看護師,社会福祉士などなど.外部専門家が教育に関わるようになりました.ただ、自らの職域拡大のために、そこに障害があることを無理くり探すのはやめましょう。障害の理解しましょうとネガティブキャンペーンするのはやめましょう。

叶えたい社会参加のために、やりたい活動ができるようになるために外部専門家は存在しています。そう理解してもらうために,これからも活動していきたいと思います.

そんな議論がインクルーシブ教育最前線でもできればなと思っています。


最後まで読んで下さりありがとうございました.

2015年6月7日日曜日

インクルーシブ教育 最前線!

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週末東京出張でしたが,すでに都会に違和感を感じました.順応性の高いtomoriです.

さて,沖縄に来て間もないのですが,インクルーシブ教育の大規模なフォーラムをADOC project で企画しました.



スピーカーは下記の通り,インクルーシブ教育を引っ張るトップランカーです.

  • インクルーシブ教育最前線のLITALICOの野口晃菜さん(ブログ あたし論
  • ADOC projectの仲間知穂さん
  • 県内で特別支援教育の第一人者で,先駆的な分教室に取り組まれている大城政之先生
  • 県内でインクルーシブ教育に熱心に取り組まれている青木一桂教諭
  • 県内の保育関係で様々な活動をされているライオンの子保育園の末広尚希園長

インクルーシブ教育って未だしっかりとした定義がないと思います.障害のある子が障害の無い子と一緒に教育を受ける,または障害のある子をどう受け入れるのか,みたいなイメージもありますが,いろいろな方からお話を伺うと,単に障害のある子の社会参加というだけでなく,クラス全体において様々な波及効果があるように思います.子どもの多様性がもたらす「ゆらぎ」を通してクラスが創られていく... 大変です.きっと大変なんですが,個人的には要領に従う教育するよりも,子どものほうを向いていて,チャレンジングで面白い気がしています.

また近年,PT,OT,ST,Ns,心理士,社会福祉士といった外部専門家が教育に関わる機会が年々増えています.児童デイも増えています.僕らも,子どものインクルーシブ教育を語る前に,まず支援者サイドが互いに尊重しあうインクルーシブな関係になろうとも話し合っています(笑) 外部専門家が教育にどう関われば良いのか.そんな議論もできればと思いますので,先生以外の発達に携わる方々も是非お運びください.

最後に.保護者の方もぜひご参加ください.保護者も教育のパートナーとして教育に参加できる機会は沢山ありますし,なにより保護者やお子さんの選択肢が増えることがインクルーシブ教育の第一歩だと思っています.



450名先着順となっております.これから県内の各学校や関連団体にフライヤーを送付する予定ですので,お早めに申し込みください.

申し込みはこちら

ではでは.最後まで読んで下さりありがとうございました.


2015年5月31日日曜日

「手が動く」ことと「手を使う」ことは同じ? ADOC-Hの開発

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日々筋肉痛のtomoriです.機能訓練のしすぎでしょうか(笑)


さて,日常生活で手の使用を促すためのアプリ ADOC for hand(ADOC-H) ですが,6月にある第49会日本作業療法学会に間に合わせるべく,毎日動作チェックしたり,フライヤーを作ったりと,鋭意努力中でございます.



僕も臨床に出てよく耳にするようになりました.「この手が動くようになったら何でも出来るのになぁ」と.その患者さんの心情はよく分かるのですが,やはり「手が動く」ことと,「手を使う」ということは同一線上にある関係ではないと経験的に思いますし,その考えを裏付けるような研究もポツポツ出てきています.

Randら(2012)の報告では,入院中の脳卒中患者の上下肢に加速度計を装着させ,上下肢の機能向上と日常生活における使用頻度の関連性について検証しています.その結果,下肢では機能向上と共に日常生活での使用(歩行)も向上したものの,上肢では機能は向上しているものの,生活場面の使用頻度は訓練時間は向上したものの,それ以外で有意な向上は認めれなかったそうです.つまり機能は向上したものの,訓練時間以外で手を使っていなかった,ということです.

タカシくんの研究(2015)では,CI療法実施1年後の患者さんのMotor Activity Log(MAL)とFugl-Meyer Assessment(FMA)のchange scoreの相関はかなり高い (R = 0.778, P = 0.001)ということです.横断研究なので因果関係までは分かりませんが,2013年のRCTでTransfer Package(TP)非実施群はCI療法から半年後にFMAが低下し,TP実施群はFMAが向上し続けることが分かっているので,おそらく手を使うことで手の機能が向上する,逆に手を使わなければ機能は低下する,と思われます.

他にも脳科学的にも手の動作と道具使用については,神経経路が異なるとも言われています.この辺は専門書に譲るとして... これらのことからも,手が動く,ということと,手を使う,ということは別物と考えられます.療法士で,手が動くことを最終目標にされている方はいらっしゃらないと思います.やはり手を使って自らの生活を豊かにしていくことが最終目標でしょう.


もちろん「言うは易く行うは難し」で,手を使うという行動変容を促すことははっきりいって難しいです.タカシくんは簡単だといいますが(笑) そこで彼と,院生のohnoくんとで作ったアプリがADOC-Hです.

ADOC-Hでは,手を使う場面のイラストを用いているので,言葉のみの刺激よりもイメージ想起が容易になることが予測されますし,活動が細分化されているので,small stepで手の使用を促すことができます.他にも,Apple Watchとの連携を検討しています.つまりADOC-Hで設定した手を使う活動が,生活場面でApple Watchに表示される,というものです.現在Apple WatchのAPIの制限が多く,実装できる機能が少ないらしいのですが,今後制限がとれてくるといろいろ幅広い仕掛けができそうです.





今回のOT学会で,ADOC-H関連は2演題あります.日時は分かりませんが(笑),質問はその時に

O2423 PDF
実生活における患手の使用を促進するためのアプリケーションの開発: ADOC for Hand
大野 勘太 1) , 竹林 崇 2) , 友利 幸之介 3) 
1) 神奈川県立保健福祉大学大学院 保健福祉学研究科 , 2) 兵庫医科大学病院 リハビリテーション部 , 3) NPO法人ADOC project


P1019c PDF
Aid for Decision-making in Occupation Choice for hand (ADOC-H) 紙面版 のCI療法における試用:事例検討
大谷 愛 1) , 竹林 崇 1) , 古河 慶子 2) , 友利 幸之介 3) , 道免 和久 4) 
1) 兵庫医科大学病院 リハビリテーション部 , 2) 兵庫医科大学 リハビリテーション部 , 3) 神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部リハビリテーション学科 , 4) 兵庫医科大学 リハビリテーション医学教室

僕の筋肉痛を早く和らげるためにも,ADOC-Hの開発を急ぎたいと思います(笑)


その他,僕が関係しているのは4演題で,

O1323
デイサービスにおけるADOCを用いた作業に焦点を当てた実践: 事例報告
上江洲 聖 1,3) , 久志 仁 2) , 友利 幸之介 3) 
1) 日赤安謝福祉複合施設 , 2) 安謝老人デイサービスセンター , 3) NPO法人 ADOC project

O2202
幼稚園でのADOC-S(学校版作業選択意思決定支援ソフト)の活用
―先生,保護者,幼児が希望する将来に向けた支援―
仲間 知穂 , 友利 幸之介 
NPO法人ADOCproject

P1241a
介護老人保健施設におけるADOCを用いた作業療法の効果と費用効果分析
―クラスター型パイロット無作為化比較試験―
長山 洋史 1) , 友利 幸之介 1,3) , 大野 勘太 2) , 小河原 格也 1) , 澤田 辰徳 4) 
1) 神奈川県立保健福祉大学 作業療法学専攻 , 2) 神奈川県立保健福祉大学大学院 保健福祉学研究科 , 3) NPO法人ADOC project , 4) イムス板橋リハビリテーション病院 リハビリテーション科

P2656h
作業療法面接の自信に対する作業選択意思決定支援ソフト(ADOC)の影響
齋藤 佑樹 1) , 友利 幸之介 2) , 長山 洋史 3) , 菊池 恵美子 4) 
1) 学校法人こおりやま東都学園 郡山健康科学専門学校 , 2) NPO法人 ADOC project , 3) 神奈川県立保健福祉大学 , 4) 帝京平成大学大学院 健康科学研究科作業療法学専攻

これらの発表も激アツですよ(笑) ぜひ起こしください.ちなみに上江洲くんの共同演者なのに,僕は彼のセッションの座長になっていました(笑)


その他,ADOCを用いた報告が9演題あります.ホント嬉しいですね〜.自分が関わっていないところからもADOCを使った報告が増えてきて,キーワードにも登録されるとのことなので,ようやく市民権を得ることができたかなぁと思います(笑).

ではでは.最後まで読んで下さりありがとうございました.



写真は地元で人気の定食屋さん,菊栄食堂のカレー.これが意外に美味しかったです(笑)具の,宮古島かまぼこと,ピーマンに感動(笑)これこれ〜!みたいな.宮古出身しか共感できないと思いますが(笑)




2015年5月24日日曜日

施設での作業療法

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カミさんが「いいこと思いついた!」と冷えピタを貼ってます(笑).tomori@宮古島です.暑いだけでなく,梅雨真っ盛りです.

宮古島に帰ってから早1ヶ月.少しのんびりできるかと思いきや,朝はヨガに英会話,仕事もろもろ,平日は臨床,休日は部屋の片付け,そしてPTA(笑)ブログ書く時間も無いくらいバタバタした生活を送っています.こまめにアップすると宣言したばっかりだったのに(笑)



慣れない臨床では,施設入所者と通所の方をあわせて1日15〜20名くらいみて,入所者のリハビリテーション実施計画書を作り直しています.基本入所施設に配属なので,回復期や外来のように1日1日が勝負!というよりは,時間的にのんびりした状況です.臨床は分からないことだらけなんですが,文献を調べたりしながら仮説を立て,実際に試してみて変化があれば喜び,無ければ再度考え... というサイクルを楽しんでいます.

リハ担当は,前任が鍼灸師,その前がPTさんでしたので,基本的にリハビリ=機能訓練な状況です.リハスタッフは僕一人なので,皆さんに求められるがまま,プラットフォーム,平行棒,ティルトテーブルをフル活用しています(笑).

一方で,施設は入所者さん全員に訪問リハができるような環境だし(笑),訪問時間以外も生活をじっくりと見れることはいいですね.直接的なADL訓練,自助具作成,介護方法の検討などもしています.



それはさておき,施設とかで働いているとなかなか作業療法の専門性が分からなくなってくると以前聞いたことがありますが,僕が約1ヶ月施設で働いてみて思うことは,むしろ施設にこそ作業療法が必要だろうと思います.時代はやれ地域だ教育だ就労だと新規開拓に熱心ですが,従来から沢山ある「施設」に目を向けていってもいいんじゃないでしょうか.



というのも作業機能障害(寺岡,京極)が多く存在しているからです.入所者さんの発言を作業機能障害の視点で整理してみると…

「暇すぎる」:作業不均衡
暇すぎたり,忙しすぎたりが続いている.生活のバランス,生活週間が崩れている.

「ここじゃ無理でしょ」:作業周縁化
やりたいことはあるけど,周囲から止められる.周囲の期待と自分がやりたいことにギャップがある.

「この体じゃ何も出来ない」:作業疎外
生活に楽しみがなく,気分が沈みがちである.体が不自由でやりたいことができない.

「することがない」:作業剥奪
道具や材料がないからやりたいことができない.好きなことをする機会がない.話し相手がいなくて寂しい.



などなど多くの作業機能障害が存在しています(評価表は使ってませんが).もちろん作業機能障害が存在しているからといって,これをすぐに作業療法でどうにかできるというほど簡単なものではありません.

入所者が何か作業をするにしても遂行技能はそれほど高くないし,何よりも長い入所生活のなかで,入所者自身が「自分は何も出来ない人」というストーリーを創り,それが結構強固です.また環境的にも,入所者は転倒や熱発などちょっとしたアクシデントでも加速的に悪化するので,とりあえず「安全に」が最優先になります.

こんな話は至極当然で,大学にいるときも様々な臨床家から現場の話は聞いてはいたのですが,いましみじみと実感しています.現場ってこんな大変だったんだなと.もしそれが変わったのなら,そりゃ確かに涙が出るほど嬉しいことだろうなと.

以前,OT全国学会で琉球OTさんが,涙目になりながら10年おでんを発表していたとき,僕はそばで笑ってましたが,今ならその気持ちに共感できそうです(笑) 



さて,もう少し作業機能障害を整理して,それに対して介入戦略を組み立てていくのが当面の課題です.僕は臨床家としては非能だなぁと日々痛感していますが(笑),入所者さんの「自分は何も出来ない人」という自己物語をどうにか変えていけるよう,日々小さなことからお手伝いしていきたいと思います.

最後まで読んで下さりありがとうございました.


写真は伊良部大橋からみた海です.





2015年4月16日木曜日

旅も終わり宮古島です。

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旅に出てから,足の親指付け根の痛みが無くなったtomoriです(笑)

さて,家族5人,車での日本半周の旅も,今日で終わりました.のべ21日間.ホントあっという間でした.車での長旅なんて,ホントは学生時代か定年後にやるもんだと思います.タイミングを逃してしまい、定年までゆっくり準備しようかと思ったのですが、まぁ生きているうちにやりたいことをやろうと決めたので、どうすれば実現できるのか考えてきました.そこまでたいしたことないのですが(笑)

所有している車はベビーカーのみ,家族は5人もいて,うち一人はオムツも取れていない,そもそも家族でキャンプとか経験ない... 障壁はいろいろありましたが,全国の友人や親戚など助けていただきながら,どうにか体調を崩すこともなく長旅を終えることができました(むしろ快調).本当に感謝しています.

今回の旅で,津々浦々?、春先の気持ちいい季節に色んな景色や食べ物を楽しむことができました.しかし僕が何より楽しかったのは,友人の新たな一面との出会いです.何故かみんな発想が豊かで凝り性なので,趣味とかの深さが半端ない(笑)人生ってこうやって楽しむもんなんだなぁと教えていただきました.

友人はみんな人生を楽しんでいる方ばかりでした.僕は基本的に楽しく生きてるつもりですが,もっともっと自由に楽しめるはず.そう思えました.

一方,子どもやカミさんは初対面の人の家に泊まりまくるというチャレンジングな旅だったかもしれませんが,終わってみれば,みんなソーシャル・スキルが成長したように思います.特に「パパ・キライ」しか言えなかった三女は,いろいろしゃべれるようになりました(笑) 



さて,宮古島での生活という新たな旅が始まっています。家の片付けや、慣れない臨床。全てがこれまでのデスクワークとは違い、肉体労働のため、毎朝筋肉痛で起きれずにいますが(笑)、贅沢な旅で太くなったウエストにはいいかなと思います。

宮古島に移り住み、いつもブログを読んでくださってる方々と物理的には遠くなりますが,臨床現場にいるので、心理的には近くなるのではないかと思います.これからも作業療法にとって有益な情報を発信していきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします.これからはこまめにアップしていきたいです。



最後まで読んで下さりありがとうございました。




2015年3月27日金曜日

旅に出ます

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まだ喋れもしない三女が僕と手をつないでくれません.tomoriです.


さて,本日11年間住んだ横須賀から宮古島へ引っ越します.で,僕の夢だった車の旅.ゆらりくらりしながら宮古島に帰ることにしましたー.あはは(笑)


購入したのは中古のエクストレイル!
→買って気づきましたが,これ結構燃費が悪い(笑)




天井にはルーフテント!
→旅先でお友達が泊めてくれて,車中泊よりも友達の家に泊まるほうが多く,テント買う意味ね〜,みたいな(笑)



挙句の果てには,引っ越しの準備で旅先どこに行くのかすら調べていない(笑)

まぁこんなゆるい感じの無計画旅行です.とにかく先日痛めた首が持ってくれるといいのだけれども.


神奈川ー浜松ー伊勢神宮ー岐阜ー京都ー兵庫ー鳥取ー直島ー香川ー愛媛ー大分ー熊本ー長崎ー鹿児島かなぁ.途中変更あるかもしれません.

お薦めのスポットとかご飯とかあったら,教えてください.

ではでは.ゴミ捨ていかなければ(笑)






2015年3月17日火曜日

回復期リハ病棟のマルメによって得られるものがあるはず.

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長年使った愛車,ベビーカーを手放し,中古車を買いました.tomoriです.

回復期リハ病棟の算定上限「3か月に」

武久会長、リハは入院基本料に包括を

しかし会長!色んな事を思いつきますね〜(笑)先日澤田さんと話してたリハも入院料に包括されるべき、DPC,つまりマルメになるんじゃないかという予見。でも先々避けられないでしょう。

前回も少し書きましたが、(「報酬」がついた生活行為向上マネジメントが今後どうなるか予測してみた),確かに単位を稼ぐために,節操のないリハが展開されてる事実はあります。まぁ自分で自分の首を絞めてるようなものなのでマルメも仕方ないでしょう。ただ、いま作業療法は回復期のおかげで就職先がたくさんあるのですが、回復期がマルメになると多くの人が確実に職を失う,就職できなくなる,と安易に想像しますが,本当にそうでしょうか? 地域にはまだまだ作業療法士は不足していますよ.

既得権利を主張するだけの活動をするより、お上の声を早く知って対策を考えたり、という場当たり的な対応じゃなくて、回復期が3ヶ月になる,マルメになることを想定した上で、どうやって有利に交渉を進めるのか。その視点に早く切り替えたらいいのにな、と思います。


研究面: 政策前に効果検証をする
  • 効果検証のための研究費をとる
  • 共通の効果指標を作る

教育: 供給過多・偏り
  • 養成校増設を制限する
  • 国家試験受験資格が無くても卒業できる仕組みを作る
  • 医療での臨床実習1/3を撤廃する
  • 地域の科目を増やす

臨床: セラピストの権限拡大
  • セラピストが訪問、通所サービスを開設できるようにする
  • 老健の専従枠を増やす
  • 地域包括で専従枠を作る

などなど、特に作業療法士は回復期の365とか充実加算とかで,地域において人材が不足しているので,マルメを利用してもっと上手に交渉できるんじゃないかなぁと思います。

でも原則として、厚労省も協会も、ちゃんとした臨床試験に基づいてない方策決定はやめたほうがいいですよ。生活行為も認知症初期集中もそう。効果があるのか無いのか現時点で分からないのに政策が先に動く。もちろん全てのことはやってみるまで分からないんですが、もっと前準備はできるはずです。100歩譲って,そもそも何で効果を測るのかぐらいは決めとかないと、フィードバックが効かないので、政策動かしながらでも改善する方向には向かいませんよー(笑) 2025年に向けて待った無しを免罪符に、あれこれ振り回すのはやめてほしいものですね。

最後まで読んで下さり,ありがとうございました.



政策動かせるポジションにいる方や,これから動かそうと思っている方は,このくらいは勉強されたほうがよろしいかと思います.政策での意思決定における統計学・疫学の応用がよく分かります.







2015年3月11日水曜日

「報酬」がついた生活行為向上マネジメントが今後どうなるか予測してみた.

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もともと読書好きの長女ですが,学校で「本を沢山読んだ人に賞を与える」というシステムが導入されたために,数を稼ぐためにペラペラの漫画ばかり読むようになって,ややキレ気味のtomoriです.


いま医学書院から出版予定の竹林さんの著書「行動変容を導く上肢機能訓練ー脳卒中上肢麻痺に対する訓練戦略」の分担部分(目標設定)を執筆中です.先日,寝ぐせを直そうと頭をゴシゴシしてたら,首を痛めてしまい,3日間何もできなかったので,昨日から残業です(笑)



1. 目標設定と動機付け

さて,目標設定には,最初の方向付けと成果検証という側面があります.成果を検討する際,行動変容を重視したアプローチでは内的動機付けを意識した関わりをします.つまり,内的動機付けでは,その行動をしていること自体が報酬(有能性,行動の熟達など)になりえるかどうか重視します.フローとも関連しています.(つまりはうちの娘が読書を楽しんでいる時です)

一方,外的動機付けでは外部から報酬(評価,褒める,賃金など)を与えることによって,行動を促します.外的動機付けは,確かに行動変容を促すこともありますが,さまざまな研究によって,ネガティブな面が大きいことが示唆されています.第一に,報酬を得る間はその行動を頑張って継続するけども,報酬がなくなったら一気に行動に興味がなくなります.第二に,それが倫理的に反することであっても,報酬を得るために最短の方法を探そうとする,ということです.(うちの娘がペラペラな本を読むようになったことです)

2. 動機付けと診療報酬の関連

この報酬の仕組みって,リハの仕事と多いに関係あるんですよ.例えばリハにおける単位制の導入です.あの制度の本質は,これまで何名も同時進行で患者さんみてて大変でしたね,マンツーマンの時間を補償するので,じっくり創造的なリハビリテーションを展開してくださいね,ということだったと思うのですが,あくまで印象ですが.特に介護保険領域においては,単位を稼ぐために更にベッドに並べて寝かせて順番に同じような訓練をしている人が多くなってないですか? 稼ぐためには個別性は邪魔です.報酬を追求する経営視点でいえば,誰でも同じものをたくさん提供するほうが効率良いですから.プラットフォームの端から端まで患者さん寝かせて同じROM訓練をし,マシンの負荷量を利用者に合わせることが個別性の尊重です,という具合が最も儲かります(笑) ※これは現場で汗水流している人を責めているわけではありません.そういう仕組みを作っている人は非難しています(笑)

3. 報酬がついた生活行為向上マネジメントの今後

それに派生して,僕が今危惧しているのは,生活行為向上に点数がついたことです.言い換えると,それまで療法士が自分自身の使命感や有能感をもって頑張ってやってきた「作業に焦点を当てる」という,内発的動機づけに基づく行為に,点数がついたということです.これからは利用者さんの生活を見るより,点数を取ることが目的になるでしょう.よって,これまで患者さんのためにと思って時間外にでも会議を開いてきた人も,時間内にどうにか収めよう,1回やればいいや,ということになるでしょう.あの患者さんは対象外だから,作業に焦点を当てた介入するのはやめようということになるでしょう.これまで「作業に焦点を当ててない」人たちも当てるようになるシステムだとか言われてますが,そんなはずはありません(笑) 点数を稼ぐことが目的なので,より個別性に対応しないですむマネジメントが横行することでしょう.短い歴史をみても,デイケア,デイサービス,訪問,サ高住… 全てそうでしたから(笑) ADOCも,より効率性のために使われるようになるんかなぁ...

とかく,生活行為を算定する予定のとこの管理者は,部下が報酬を意識せずに生活行為マネジメントを実践できるマネジメントをしてくださいね.その補償なしには,このシステムはほぼ成功しないでしょう.

あ,この辺を上手くやっているのは,原田伸吾くんたちのデイサービス「つむぎ」です(注:デイサービスで生活行為は算定できません.算定できなくても彼らはちゃんとやってます) 彼らのデイには「押し付け」がありません.スタッフ,利用者の内的動機付けに基づいて,様々な作業が展開されています.その場にいる全員が作業を楽しんで,笑顔が絶えません.もちろん開設から定員はすぐに埋まり,規模も拡大中だっけな(こんな話はいらんかww).僕も友達多いほうだと思うけど,彼ほどバランスよくマネジメントしてる人は見たことありません.まだ広報はしてないっぽいのですが,噂では近々に福岡の勉強会でしゃべるらしいのでチェックしてみてください.たぶん病院に所属する方でも参考になると思いますよ.


4. 楽しく作業療法をしよう!

何度でも繰り返します.僕らADOC projectは,「クライエントと作業療法士が楽しく作業療法をすること」を重視しています.それは,いったん自分たちのしていることが報酬に左右されてしまうとクリエイティビティが下がってしまう,すなわち作業療法の一番の良さが奪われてしまうことと等しいと思っているからです.

報酬(給料など)は大事です.でも最も大切なことは,クライエントと作業療法士が楽しく生きるために,頭と体と時間を使うことです.かのReillyも言ってますが,そこからブレてはいけません.専門職がクリエイティビティになれば,ちゃんとそれに見合った報酬はついてきます(たぶんww 原田くんにように).報酬先行では,クリエイティビティが働きにくい→誰でもできる仕事→コモデティ化→結果報酬も増えません(笑)この辺は,「士」がつく職業のコモディティ化 でも書きました.



あーーー,せっかく早起きしたのに執筆進んでない〜(笑) これはタカシくんのプレッシャーがあるから外的動機付けが強い作業なんよね〜(笑) まいいや(笑) 

ではでは.これにて.
最後まで読んで下さりありがとうございました.


2015年2月20日金曜日

ITを持って街に出よう

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開くPCバックを記念品でいただきましたが、ITオタクではありません(笑) tomoriです。



今OTジャーナルの「ITと臨床実践」というリレー式の原稿を書き終わりました.IT機器やアプリの紹介はもちろん、それらを使った臨床研究についてもレビューしました.掲載は6月?だったかな…違ってたらすみません.

「おわりに」でちょっと好き勝手なことを書いたのでシェアします(笑)


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【おわりに】

 ITは人々の生活をより便利で,快適で,豊かにしたが,それだけに終わらない.ITの進化は第3次産業革命とも言われており,20年後には現在の仕事の47%がITに取って代わるというショッキングな報告もある26).ITの進化によって,仕事だけでなく,多くの「作業」が失われていくだろう.
 ただ興味深いことに,この調査において作業療法は20年後に残る確立が高い職業で702位中6位にランクされている.皆さんは作業療法のルーツを覚えているだろうか.作業療法の始まりは,第2次産業革命後(工業化)によって失われた伝統的な手工芸などの作業を,病者や社会的な弱者のリハビリテーションとして活用したアーツアンド・クラフツ活動にある.この活動のそもそもの目的は,産業革命によって失われた人の尊厳を取り戻すための人道的支援であった.上記の6位という調査結果も,IT革命の「障害者や弱者がこれまで出来なかったことを出来るようにする」という光の部分と,「人々の作業や尊厳が失われていく」という影の部分の両側面において,作業療法の活躍が期待されているように思えてならない.
 作業療法は,いつの時代も社会の変化に柔軟に対応し,その時々の社会問題に向き合ってきた.筆者はそれが作業療法の一番の強みであると考えている.今後ITによって社会がどのように変化していくのか予測もつかないが,作業療法には,少なくともヘルスケア領域という枠にとらわれない幅広い活動が求められるだろう.

「ITを持って街へ出よう」

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最後まで読んでくださり,ありがとうございました.

2015年2月11日水曜日

日本臨床作業療法学会 学術大会レポート!

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我が家の三女ですが,アンパンマンを見て反応し,やっとクリアに発音できるようになってきた単語が,「バカ」と「イヤ」なのが少し気になっています(笑).tomoriです.


さて,無事に終わりました〜.第2回日本臨床作業療法学会.2月の沖縄というシチュエーションにも関わらず,今年も多くの方にご参加いただきました.個人的には,これまで参加した学会の中で,最も多くの示唆を得ることができました.まぁ,タカシくんと3日間一緒だったというのも大きいが(笑)

さて,僕は特別講演を仰せつかりました.何を話そうか迷いましたが,テーマが「作業療法のこれから−共創−」だったので,僕が参加者に期待すること,そして学会の方向性などについてお話させていただきました.今回は,その内容を少し紹介させてください.


僕が作業遂行に焦点を当てるという「感覚」を知ったのは,学生の頃にたまたま読んだ,この対談の記事でした.かなりオススメで,17年たった今でも,迷ったら読み返しています.色あせない僕のバイブルです.

その中で,この言葉と,人ー環境ー作業モデルの図がありました.そして,作業と言えば手工芸,リハと言えば機能訓練という時代に,これからの作業療法はこうあるべきだと,なぜか確信に近い感情を抱いたものでした.幸いなことに,それ以来,作業療法とは何だ?という悩みはそこまで無かったように思います.


2000年あたりから,先人たちのお陰で,世の中は少しずつ変わってきました.少しずつですが,臨床で作業が取り扱われるようになりました.クライエント,作業療法士と,その力を実感できるようになりました.

それでもなお,全国各地で,「これで大丈夫なのか」と迷いながら,細々とOBPを実践されてる方々が,「これでいいんだ」と安心して発表でき,発表を通してさらにエンパワメントできる場を創りたい.そして,発表を見た参加者が,自分も単に参加するだけでなく次は発表に挑戦してみたい!と思えるような場を創りたい.そんな思いから,澤田さんを会長に,「日本臨床作業療法学会」は誕生しました.


また教育も変わってきました.授業で実際のクライエントに来てもらい,面接−観察−作業遂行分析といったことが行われるようになりましたし,ADOCやCOPMなんかを使って臨床実習から面接ができるようになりました.そして事例本(笑) 実践をレジメにまとめる流れなんかも出来てきたと思います.


さらに,脳卒中後の麻痺の回復は6ヶ月という定説も,少しずつ塗り替えられています.しかも,そのCueは作業だったという... 作業が持つパワーの新たな側面,いや昔から感覚的に分かっていたことが,少し科学的に分かってきたという表現が適切かもしれませんね.


ちょうどタイミング良く,生活行為向上リハも新設されました.なぜか保守的なわが国も,介護保険だけは「走りながら考える」ということが横行してますが(笑),でも作業に焦点を当てた実践に点数がつくという,夢のまた夢ということが現実になりつつあります.でもこれはちゃんと検証していきたいですね.


これらいろんなことを総合的に考えて,いま,作業に焦点を当てた実践に追い風が吹いていることは,紛れも無い事実だと感じています.


作業あるいは作業遂行を取り扱うということは,もともと不確実性が高い医療の中でも,No.1ではないでしょうか.不確実性が高いということは,予測が立ちにくいということで,当たるも八卦当たらぬも八卦ということです.どうなるか確約はできませんが,作業療法やってみますか?ということですね.


でも,作業遂行に焦点を当てた実践には,クライエントの多様性に対応できる,という大きな大きな特徴を持っています.


それまで医療がないがしろとまでは言いませんが,光があたって来なかった部分でもあります.これから,客観性・科学性を担保しつつ,CLの個別性を支援することが求められます.先に紹介した対談でも,「あなた方は医師や医療のモデルとの関係から,優雅に,そつなく,外交的に離れていく決心が必要です」と書かれています.僕はこの言葉が大好きで,エレガントに程良い距離を保っていきたいと思います.僕にエレガントは無理か(笑)


でも,去年オクスフォード大学による調査が発表され,20年後には,700くらいある今の仕事の47%はIT化されるのでは?という前置きで,消えにくい職業として,6位に作業療法が位置付けられています.もちろん方法もよく分からず,鵜呑みにするわけではないです(僕は作業療法は無くならないかもだけど,作業療法士として失業する人は多いと思っています).それを前提に,複雑なものを扱う作業療法は人にしかできない仕事なんだろうなと思います.


未来はどうなるのか... 不安になりますね.でも僕はアラン・ケイのこの言葉が好きです.


では,こんな将来に向かっていくために,自分は何をすればいいのだろうか,考えてみよう,というのが本日のテーマ.



安心して発表できる場を創りたい!という参加型学会もそれなりに成果を残しています.


 全国でOBPもできるようになってきました(患者さんのスライドなので省略)
そして,全国で勉強会も立ち上がってきました(本学会に直接関係はないですがww)


そこで,What's next? です.あなたは次何をしますか?


学会発表はゴールではありません.まだ発表経験がない方は発表してみて欲しいしけども,1回大会2回大会で発表された方は,より学術的な内容を充実していって欲しいと思います.一応本学会の学術部の長として,その責任を改めて実感しました.これからも自分にできること,得意なことに取り組んで行きたいと思います.シンポジウムの中で,理事の籔脇先生からは,まず先行研究をしっかり抑えたうえで,研究の新規性や作業療法への貢献を述べて欲しいと訴えていました.自分の思いから,だけではなく.



学会としてのWhat's nextですが,来年は研究に特化したセッションを作り,より高いレベルでディスカッションできるようにしようと話していました.一応本学会も,ちゃんと研究のディスカッションをできるリソースは揃えています(笑)また,研究法セミナーも引き続き開いていきたいと思います.学会発表した方は,ぜひ論文としてまとめることもご検討ください.また企画段階ですが,研究者と臨床家がリンクできるようなシステムも創れればなと思っています.


また,OBPですが,幾つかセミナーを開催しようか,ということになっています.面接とか,機能訓練とか,作業遂行分析とかもいいですね.テーマはまだ未定ですが,OBP関連のセミナーを企画しています.


セミナーと一緒に,OBPを実際にやってる施設見学なんかも面白いね,と話しています.百聞は一見にしかずといいますし,実際やってるところを見ることで,イメージがつきやすくなると思います.

 あと学会とは関係ないですが,事例本の第2弾となるマネジメント本の企画が通りました! OBPをどうやって運営しているのかとか,実践例を集めてみたいと思います.これについては,別で詳しく書きたいと思います.
あと,CCSのように,経験チェックリストのようなものを作ろうか,という企画もあがりました.座学−臨床実習−新人教育...と同じ体験リストがあれば,首尾一貫した教育になるのかな,という期待を込めて...



勉強会については,チームとして目標や成果を考えて欲しいと提案しました.ただ集まって事例を検討して終わり,というところからのWhat's nextです.もちろん集まることにも十分意義があります.でも,知恵を出し合えば,今よりも,もっと良いことができるはずです.ぜひ,目標指向的に活動してもらえればと思います.


What's next? あなたは明日から何をしますか? そう問いかけて,僕の講演は終わりました.


学会全体として,成果や課題が見えた非常に有意義な3日間でした.

分科会からの〜

全体会
  

優秀賞の表彰式(お一人飛行機の関係でいませんww)

 最後になりますが,沖縄の実行委員の皆さま,ありがとうございました!


来年は,蒲田にある,東京工科大学で開催予定です.詳しい日程は後ほど.
沖縄と違ってアクセス最高ですので(笑),ぜひ多数のご参加をお待ちしております!


最後まで読んで下さり,ありがとうございました〜



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