2010年12月30日木曜日

日々是好日(にちにちこれこうにち)

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禁酒三日目でアウトでした.tomoriです.
飲む気なかったけども,かみさんがエビの刺身と焼き茄子を作るから…

さて,年の瀬.
皆さんはどんな1年だったでしょうか.
Gmailを整理していたら,侍OTさんから頂いた励ましメールが出てきました.
(侍さんは芥川賞作家の玄侑宗久さんから頂いたようです)


日々是好日(にちにちこれこうにち)

時間とは人間が作り出した概念にすぎない。
過去を引きずることは必ず不安や妄想を引き起こす
実際には常に”今”しかないのである。
ある日のこと
老子と弟子がお勤めを終え帰り道での出来事・・・

川に差し掛かると
裸同然の女が溺れていた・・・

当然二人は川に飛び込み女を助け岸に引き上げた・・・

その日の夜
弟子は老子の部屋を訪ねた

「なんだ、まだ眠らんのか?」

「・・・・・・・・・・・    」

「どうした話してみなさい」
「私は修行中の身でありながら女の生肌に触れてしまいました」
「私は罪深い僧です、私はどうしたらよいのでしょう?」

すると老子は高笑いし・・・・・

「なんだお前、まだ触っておったのか」




イラストはしあわせる力より引用

僕は意外と不安症です.
しかし寝ると忘れるという特技を持っていますので,
不安を感じると,酒飲んで早めに寝て,朝からまた頑張るようにしています.

不安を感じようが感じまいが,来年も今を生きていこうと思います.

2010年12月29日水曜日

2010 tomori's top 10 

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4歳の娘が写字ができるようになったtomoriです.
ちなみに彼女はサンタさんへの手紙をせっせと書いていました.
そのあて名が,  ×サンタさへん ○サンタさんへ  惜しい!



2010年は人生の分岐点でした.

多くの皆様の支えがあって,どうにか乗り切ることができました.
本当にありがとうございました.

さて,少し振り返ってみたいと思います.


10位 iPad発売
当初MacOS用のADOCを開発していました.iPhoneに載せ変えようか,win版にするか迷っていました.その矢先にiPadの発売予告です.確か今年の1月でした.紆余曲折ありましたが,ADOCはiPadで動くことで,非常に使いやすいものに仕上がりつつあります.




9位 iPhone購入
4月にiPhoneを購入し,念願だったクラウドです.evernote,dropbox,mobile meは全て加入し(年間2万5千円か!!),Mac,iPad,iPhoneでシームレスに情報共有が可能です.iPhoneにいろんなものを記憶させていて,今日も見たかったDVDをTSUTAYAで検索して借りました.生活を変えるデバイスです.しかしさらに海馬が機能低下しているような気がします.最近,あれ,これ,それ,という代名詞がめっきり多くなりました.




8位 学位取得
早くも登場.やっと学位を取れました.実は本当にあきらめかけていましたが,指導教授をはじめ皆さんの支えあって取得することができました.本当にありがとうございました.




7位 学生
今年も学生の成長ぶりを見る機会が多々あって,教員やってて良かったな〜としみじみ思います.うちの学生は皆素直です.



6位 ADOCホムペ・ブログ開設
いつもアクセスありがとうございます.今記録を見ると去年の1月下旬に開設のようです.全く何も分からなかったのですが,友達ととにかく1ヶ月後にサイトをスタートさせると言って取り組みました.どうにかなるもんですね.来年はブログも定期的にupできるようにしていきたいと思います.






ADOCを開発してくれた沖縄のIT企業さんです.いつも僕が無理を言って困らせてばかりだったのですが,比屋根社長にADOCの構想をプレゼンした後,「共同開発にしよう」と言ってくださった時,身震いするくらい興奮したのを今でも覚えています.嬉しかったです.ちなみにADOCのプログラマ宮里さんです.





4位 研究費(科研費勇美記念財団
幸運にも研究費を2つ頂くことができました.私はプログラムが全く打てませんので,研究費がないとADOC開発など全く夢の話でした.本当に感謝しています.



3位 OT学会
今年のOT学会では,本当にたくさんの方々に質問など受けました.90分間くらいずっと.僕はかれこれ10回くらいOT学会で発表しているのですが,動物実験だったので全く質問がありませんでした.それが今回たくさんの反響があって,嬉しかったです.ちなみに1番目に質問してくれたの長山さんで,今ではすっかりマブダチです



今年は結構本やブログを読んだ年でした.ライフハック,GTD,レバレッジ,など様々なことを学ぶことができました.中でも,この古い本を今年のタイミングで読めたことは,自分にとって大きかったと思います.この本の考えを実践することで,たくさんの相乗効果が生まれ,Top10などといったブログを書くことができたと思うので,2位です.





1位 ADOC project での出会い
もちろん1位はこのprojectを立ち上げて,たくさんの仲間と出会ったことです.共同研究者以外にも,ADOCを通して知り合った方々との全ての出会いは,私の一生の宝です.
これからも一緒に良い仕事をしていって,project の目的である
1) 一人でも多くのクライエントが意思決定に参加すること
2) それによって一人でも多くの作業療法士が楽しく自信を持って仕事をすること
を目指していきたいと思います.一緒に頑張っていきましょう.


以上,今年のtomoriビックイベントTop10でした.

来年はいよいよADOCリリースなんですが,
現在さらに改良を加えているために,時期が延期しそうです.
大変申し訳ございませんが,しばらくお待ちくださいますようよろしくお願いいたします.

2010年12月12日日曜日

良い論文を書くには?

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卒論が終わった後で,やればできる卒業論文の書き方 
というお役立ちサイトを見つけてしまうtomoriです.
ダメな論文を書く14の方法 という面白い記事に遭遇したので,
共感できるところを引用します(省略した部分もあります)


  • 途中で印刷して紙の上で推敲しない。

わかります.声に出すのは必須です.でもボクの場合は紙に書くのは図解です.
mindmapとか,イラストとか使います.

  • 執筆中に指導教官や同僚には、なるべく見せない。

これ絶対絶対にダメです.必ずちょくちょく確認したほうがいいですね.
ずれてるかどうか自分では分からないものです.
あと時間短縮にもよし.大きくずれたら修正するのも面倒.

  • グラフはExcel様のなすがままに、いいかげんに作る。(グラフの軸目盛で有効数字を表現する方法って絶滅寸前か。)

超わかるー(笑).絶対的にキライです.好き嫌いかもしれません.でもなぜか譲れない.
近頃は学生の作ったグラフを自分で修正する始末…

  • 図や写真を少なめにする。

何で文章にすると難解かつ時間もかかるのに,図にしないんだろうと思います.
執筆者,読者にとってメリットがあります.
ただ,図でごまかしたり,単純化しすぎたりしていないか,注意が必要です.

  • 理由は常に曖昧に。計画性がなく、思いつきの実験を少ない事例だけで実験したように思わせる。

最初はいいけども,それを続けるのはいけません.

  • 精度とノイズレベルも曖昧に。

結果の差が「真実」かどうか,臨床的に意味があるかどうか,
関連文献をしっかり読んで仮説を立てることが必要です.
あと実験方法をなんども検証して,測定誤差を認識することですね.
そうそう.なぜか有意差を絶対視する傾向にあります.数字遊びに走らないように.

  • テーマの平凡さを、道具のすごさで誤魔化す。

 すごい金かけて実験してて,出てきた結果がこれ? みたいな研究のことですね.


  • 結論は「○○○が重要であることが分った」で締めておき、○○○が何にどうつながるのかは言わない。

少しでも社会の役に立つ調べものは研究.自分の満足のための調べものはヲタク.

  • 結論では、出来なかったことの言い訳を並べる。

・・・少しはさせてくれ.

  • 他人の論文を参考文献に取り上げる基準と理由はテキトーにする。

自分のストーリーにあてはまる論文だけ引用したりするのはブー.
いつまでたっても新しいことは分からない.

以上です.

これにボクが付け加えるとしたら,

  • ダラダラ書かない(ごまかさない)
  • 目的と結論が合っていない(書いてる途中で樹海に迷った感じ)
  • 和文の論文だけ引用する(偏見かもしれませんが大方の場合視野が狭いと思う)
  • 自己満っぽい(何のための研究かわかりにくい)


という感じですかね.
でも論文は書く前に勝負は決まっているもんだけどね.

ちなみに良い論文とは,


  • 他人とは違う題材や、他人とは違うやり方に、チャレンジしている研究の論文
  • 読者が使いたくなる結果が載っている論文。(たとえ発想が平凡であっても、データが優れていて、同業者はこれを引用しないわけにはいかない論文。
  • 読者になるほどなと思わせる論文。つまり、読みやすく、分りやすく、結論が自然であるのに、類例がない論文。



だそうです.

今日のブログは自分のために書きました.反省 orz...
明日から新しいADOCの論文執筆スタートです! あ,寝よう.

2010年12月10日金曜日

ADOCの注意点

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身軽になりたいtomoriです。今日はゼミ生に手伝ってもらって研究室の棚半分をすっからかんにしました。明日辞められるぐらい(笑)

今日は卒論の提出日でした。
・ADOCと通常の面接の比較
・失語症者に対するADOCの有用性
・ADLの項目と範囲の検討
でした。皆良くがんばってくれました。

さっき打ち上げをしたのですが、とても嬉しかったことがありました。
「ADOCを使うことでお互い納得できる目標を立てることはできた」
「ADOCはいいけど、失敗できるのは学生のうちだけだから、面接の大変さを体験したほうがいい」
「最初からADOCに頼ると、はいこれつかって面接しまーすみたいになってしまう」
と卒論を終えた学生が言っていました。

たしかに卒論発表会の時もそんな質問が出てました。
いい学生たちだ。
新しいものにか飛びつくな.よく見聞き判断して.
便利なものに頼りすぎるな。あと便利だからと押し付けるな。
そこは注意ですね。


でもクライエントと協業する楽しさを一度だけは経験して欲しいと思っています。
クライエントが自分にはこれが必要なんだと実感して、いきいきする瞬間を共有してほしいなと思います。

うちらは、そのために仕事してると思うので。

ボクの経験だと,あってるかどうか分からないままインタビュースキルを磨いて、理論を勉強して、何か周囲の目を少し気にしながら,やっとできる協業。それをADOCが最初の一歩となってアシストして、何か面白いなと興味をもって協業について勉強していくうちに,ADOCは補助輪みたいに離れていけばいいなぁと思っています。

あと,今日嬉しかったことは,
ゼミ生がボクの学位取得のお祝いをしてくれました.
ボクは名前の通り幸せ者ですね.皆さんありがとう.

2010年12月8日水曜日

作業療法を説明できますか?

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朝の7時から24時までチャングムをぶっ続けで見たことあります.tomoriです.
ちなみにボクが好きなのはハン尚宮です.


先日,一般の方から,OTの業界をいろいろ勉強させて頂きたいということで,
ふだんご覧になられているニュース源などございましたら教えてください,との問い合わせを受けました.

ちなみにまだ返事をしておりません.
というのも,一般の方向けに良い情報源がいまいち無いからです.

私のブログも,琉球OTさんも,侍OTさんも,どちらかと言えば作業療法士向けの内容です.

世界作業療法連盟の定義は分かったような分からないような.

ウィキは海外の定義を端的にまとめている感じで,日本には馴染まない感もある.

京極さんが少し分かりやすく説明しています.
でも自分が作業療法士であるから分かりやすいのかが分かりません.

ということで,作業療法って何なんでしょうね〜.



ととのいました!

私は学生に作業療法の説明をするときには,こう質問します.

tomori「乙武さんは健康ですか?」 


たいがいの方は健康だと答えます.

tomori「どうして? 五体不満足でしょう もしあなたがそうなったらそんな悠長なこと言えますか? 手も足もないんですよ?」

student「でも... 乙武さんは健康だと思います」

tomori「理由は?」

student「だって... なんかやりたいことできてるから,笑顔だし」


tomori「そうなんです.やりたいことを出来ているのが健康なんです.だから作業療法では,本人がやりたいことができるように支援するのです.もちろん障害があると出来ることは制限されます.でも,いろんな工夫をすることで,できることは沢山あります.乙武さんのように.それを患者さんと一緒に考えるのが作業療法です」

student「ん〜.分かったような,分からないような...」

tomori「作業療法って他人に分かりにくいんです.だってボクがチャングムを朝から晩まで観たといって,その楽しさはあなたには分からないでしょう.あなたには分からないかもしれないけど,やっているボクは確実に分かります.楽しいです.満足です.みんなに勧めたいくらい良い韓国ドラマです.しかも忙しかった時期なので,ひときわスリリングな時間でした(笑).まあ,多くの方は分からないでしょう.でも,そういったことを本人にとって大事なことができるようになることを作業療法では支援するので,他人には一見分かりにくい職業なんです」

student「なるほど...」



どうでしょう? 皆さんにもあるでしょう?
他人には分からないけど,自分にとっては大切で,楽しいことが.自分にしか分からないこだわりが.人には言えない夢が.もしくは役割としてやらなければいけないことが.

病気が有る無しではなく,自分にとって大切なことができるかできないか,
もしくは持てるか持てないかが健康を大きく左右するのではないでしょうか.

それを支援するのが作業療法です.

加えて言えば,病気になることは決してマイナスばかりではありません.
病気になることで,自分にとって本当に大切なことを見直す機会になるからです.

しつこいですが,「乙武さんは健康ですか?」

2010年12月4日土曜日

健康を決める力とは

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白湯を飲み始めました。tomoriです。

さて、先日といってもだいぶ前ですが、
 健康を決める力
というWebサイトを開設された聖路加看護大の中山和弘先生にお話を伺って来ました。

私自身ADOCに意思決定という単語は入れたはいいものの,意思決定について詳しい訳ではありません。
そんな素人の私にも、中山先生はとても丁寧に色々と教えてくださりました。ありがとうございました!!


健康をきめる力 では、意思決定、ナラティブとエビデンスなどについて、
「細かく」・「分かりやすく」説明されており、作業療法士なら一読の価値大ありです!

作業療法では、健康は自分でなるもの、と考えている割には、
その仕組みについて、本人にとって価値のある作業をすること、とばかり考えていて、
このようなヘルスコミュニケーション、ヘルスリテラシーに関する情報が入ってきていないような気がします。

中山先生からは、意思決定関連の研究の面白さって、
治療の意思決定⇨介入⇨成果 のプロセスの中で、
介入が同じでも意思決定が違えば成果が変わるところだよね、と教えていただきました。

なるほど!

健康を決める力の曖昧さと面白さ、
そして作業療法における意思決定の重要さを改めてを感じました。

私も意思決定について、もう少し勉強していこうと思います。

2010年11月19日金曜日

アメリカで急成長中かつ最も良い仕事は作業療法士!

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最近ブログまでが息苦しい とかみさんに言われたtomoriです.
11月は正念場なので,冗談を書く余裕もない感じです.
GTDでせっせと仕事をこなす毎日です.


さて,アメリカでは作業療法は良い評判らしいです.個人的にも作業療法は楽しい仕事だと思っています.この記事にも

Many of us have heard the phrase “do what you love and the money will follow.” This is particularly true for occupational therapy practitioners.

と書いてありますが,まさにその通り.私が就職した時は2000年で,ちょうど不景気まっただ中でした.「どこでもいいから勉強ができる病院を選んでくれ」と学校の先生に頼んで,就職してから早10年余,好きなことをして(嫌なことも沢山したけど)給料を頂いています.この仕事について良かったなと心から思っています.

でもこの記事に書かれてあることがそのまま日本にあてはまるわけではありません.日本で作業療法の認知度はかなり低く,作業療法士が飽和状態になる日もそう遠くないでしょう(つまり就職先がなくなるということです).アメリカとの違いはなんでしょうね? ボクも分からないのですが,協会上層部の方々もしっかり原因分析してほしいものです.



A Booming and Best Job: Occupational Therapy a Thriving Career
急成長中かつ最も良い仕事:作業療法は発展している職業である

By Stephanie Yamkovenko

(以下,おおざっぱな翻訳で,クラーク協会長のコメントなど省いています)

好きなことをすればお金はついてくる.これは作業療法士にとって事実であろう.作業療法はクライエントの生活も最大限に実現するだけでなく,仕事自体も好況である.CNN Money は「アメリカで最も良く,急成長するであろう」と取り上げた.Forbesでは女性にとって最も成長し,最も給料が良い仕事であると取り上げた.

作業療法のパワーと認識度は,高い失業率や緩やかな経済成長にも関わらず,成長し続けている点によって実証される.次の10年で26%の成長率が予測され,作業療法は他の専門職を大幅に上回っている.

CNN money はアメリカにおいて,作業療法を急成長中の仕事で9位,最も良い仕事で19位にランクした.Forbesは,女性にとって,最も給料が良い仕事で10位,急成長中の仕事で14位にランクした.

近年,作業療法士は不景気に影響を受けない仕事,最もストレスの少ない仕事,最も良い仕事,としてトップに立った.急成長中の専門職であるというニュースによって,一部の成人がキャリアを変えたり参加しようと思うかもれない.労働人口増加を助けるかもしれない.

我々の仕事は非常に多くの重要な社会的ニーズを満たすとクラークは述べている.作業療法は単に経済的混乱から生き残るのではなく,発展するだろう.

2010年11月15日月曜日

リハ医療におけるDecision-aidとShared decision-makingの可能性

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4歳になった娘に自転車の乗り方を教えました.tomoriです.
ホントにOTかと言いたくなるくらい教えるのが下手でした.

さて,今日もRCTではないですが(てかあまりいい論文が探せない),リハ医療におけるDecision-aid(DA)とShared decision-making(SDM)に関する論文を読みました.2010ですので,やはりリハも流れはDecision-aidに向いているのでしょうか? 目的は,ほうほういいんじゃない,と思ったのですが,方法で回収率が低いことに気づき,まあSDMに興味ある医者が回答したのか→リハの世の中の流れまではSDMやDAに向いていない→やっぱりボクはオタクか! と思ってしまいました.冗談ですが,今や情報はwebで手に入る時代です.そうなると患者さんも必ずいろいろ聞いてくると思います.また聞いてこない患者さんにもこちら側が分かるように説明する必要があると思います.今までは本人の価値観や経験によって行われてきた部分ですが,それではやる人とやらない人,出来る人と出来ない人に極端に分かれる.なのでDAを使って,その溝を埋めましょうという世の中の流れだと思います.リハは比較的SDMを実践してきたと思いますが,より一層のSDM実践に向けて,ADOCをブラッシュアップしていきたいと思います.


J Rehabil Med. 2010 Jun;42(6):598-604.

The potential for shared decision-making and decision aids in rehabilitation medicine.
リハ医療におけるDecision-aid(意思決定支援器具)とShared decision-making(協働的意思決定)の可能性

van Til JA, Drossaert CH, Punter RA, Ijzerman MJ.
HTRS, University of Twente, Enschede, The Netherlands. j.a.vantil@utwente.nl

Abstract
OBJECTIVE: Shared decision-making and the use of decision aids are increasingly promoted in various healthcare settings. The extent of their current use and potential in rehabilitation medicine is unknown. The aim of the present study was to explore the barriers to and facilitators of shared decision-making and use of decision aids in daily practice, and to explore the perceptions of physical and rehabilitation medicine (PRM) physicians toward them.
恊働的意思決定と意思決定支援器具の使用は様々なヘルスケア場面で徐々に促進されている.リハ医療における可能性と近年の使用範囲は不明である.本研究の目的は,日々の実践における意思決定支援器具の使用と恊働的意思決定の促進と障壁について調査すること,そしてそれに対する身体的・リハ医療(PRM)医の認識を調査することとした.

METHODS: A cross-sectional survey of 408 PRM physicians was performed (response rate 31%).
408名の臨床医に対する横断的調査研究(回答率31%)

RESULTS: PRM physicians expressed the highest levels of comfort with shared decision-making as opposed to paternalistic and informed decision-making. The majority reported that shared decision-making constituted their usual approach. The most important barriers to shared decision-making were cases in which the patient received conflicting recommendations and when the patient had difficulty accepting the disease. Key facilitators were the patient's trust in the PRM physician and the patient being knowledgeable about the disease and about treatment options. PRM physicians' attitudes towards the use of decision aids to inform patients were moderately positive.

PRM医はinformed decision-making(情報提供型の意思決定)とpaternalistic decision-making(父権主義の意思決定)と対照的に,恊働的意思決定に高い快適さを示した.大部分は恊働的意思決定は彼らの通常のアプローチに取り入れていると報告した.恊働的意思決定の最も重要な障壁は,患者が相反する勧告を受けた場合や,患者が障害を受け入れるのが困難な場合であった.促進の鍵となるものは,PRM医に対する患者の信頼と,治療の選択肢や疾患についての患者の知識であった.患者へ情報提供するための意思決定支援器具の使用に関するPRM医の姿勢は,適度に前向きだった.

CONCLUSION: Shared decision-making appears to have great potential in the rehabilitation setting. Increasing the use of decision aids may contribute to the further implementation of shared decision-making.

恊働的意思決定はリハの環境においてとても大きな可能性があるようである.意思決定支援器具の使用を拡大することは,恊働的意思決定の更なる実行に寄与するかもしれない.

PMID: 20549167 [PubMed - indexed for MEDLINE


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2010年11月12日金曜日

社会活動は独立的に脳卒中から3年後の生活満足度に貢献する

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今のところ生活満足度は高いtomoriです.どんな時に下がるだろうかな.
暇が嫌いなので暇な時だと思います.

さて,RCTではないのですが,ノルマ達成のために論文読みました.
OTは「作業ができるようになると健康になれる」という因果関係をいろんな手法で検証しています.それがOTの生命線だと言わんばかりに.しかしこのように人口統計学的な手法を用いてるコホート研究は沢山あるので,その因果関係にそんなに不安に感じなくてもいいかなと思っているのはボクだけでしょうか.これはサンプル数は少ないですが,公衆衛生の分野だとかなりの人数を集めて,社会生活とQOLや満足度との関係を調べているものは沢山あります.それを引用して,社会活動をする人は生活に満足する人が高い,だから社会活動ができるように支援する,だから作業療法が必要だ,というロジックでもいいような気がします.この研究のように中途半端なn数だといけないと思いますが.適当なコメントですみません.


Clin Rehabil. 2010 Nov 8. [Epub ahead of print]

社会活動は独立的に脳卒中から3年後の生活満足度に貢献する

Boosman H, Schepers VP, Post MW, Visser-Meily JM.
Rudolf Magnus Institute of Neuroscience and Centre of Excellence for Rehabilitation Medicine, University Medical Centre Utrecht, Utrecht, The Netherlands.
Abstract

OBJECTIVE: To determine social activity and life satisfaction three years post stroke and to investigate the contribution of social activity to life satisfaction controlled for the influence of demographic, physical and cognitive disabilities and social support.

目的:社会活動と脳卒中から3年後の満足度について検討すること,そして人口統計,身体機能,認知機能,社会的支援をコントロールした生活満足度に対する社会活動の貢献を調査することである.

DESIGN: Cross-sectional study.

デザイン:横断的調査研究

SUBJECTS: One hundred and sixty-five patients with a stroke.
対象:165名の脳卒中患者

MAIN MEASURES: The Life Satisfaction questionnaire (LiSat-9), the Social Support List - Interaction (SSL-12-I), the Barthel Index, the Mini-Mental State Examination (MMSE) and the Frenchay Activities Index.
測定:LiSat-9,SSL-12-I,バーサルインデックス,MMSE,FAI

RESULTS: In total, 165 stroke patients participated, of whom 112 (67.9%) reported that they were satisfied with life as a whole. Socially inactive patients were significantly less often satisfied (50%, n = 26) than socially moderately (74.4%, n = 64) and socially highly active (81.5%, n = 22) patients. Lowest satisfaction ratings were found for sexual life (40.6%, n = 58). The socially inactive group was most satisfied with their partner relationship (85.1%, n = 40), the moderately and highly socially active group with their self-care ability (87.2%, n = 75 and 96.3%, n = 26, respectively). ADL and social activity were moderately correlated with life satisfaction. Social activity was found to explain an additional variance of the LiSat-9 total score (6.9%) and overall life satisfaction item (5.2%) after controlling for demographic variables, social support, ADL and cognitive functioning.
結果:165名の脳卒中患者が参加,そのうち112名(67.9%)は,全体的に生活に満足していると報告した.社会的に活動的でない患者は(50%, 26名),社会的にやや活発な患者(74.4%, 64名)や活発な患者(81.5%, 22名)よりもかなり満足していなかった.最も低い満足度は性生活であった(40.6%, 58名).社会的に活動的でない群は配偶者との関係に最も満足しており(85.1%, 40名),やや活発,活発な群は彼らのセルフケア能力に最も満足していた(87.2%, 75名, 96.3%, 26名 ).ADLと社会活動は中等度に生活満足度と相関があった.社会活動は人口統計,社会的支援,ADL,認知機能で調整後,LiSat-9 合計点 (6.9%) と 全体的な生活満足度項目 (5.2%)のadditional variance?で説明できることが分かった. 

CONCLUSIONS: Three years post stroke, many patients report ongoing dissatisfaction with various life domains. Social activity was related to life satisfaction.
結論:脳卒中から3年後,様々な生活領域で沢山の患者が進行中の不満がある.社会活動は生活満足度と関係していた.

PMID: 21059668 [PubMed - as supplied by publisher]

2010年11月10日水曜日

コンピューター化された意思決定支援は患者が複雑な治療を決定するのを援助することができるか? 個別化された更年期decision-aidのRCT

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注意散漫のtomoriです.
要領悪いのに同時に物事を進めようとすることが諸悪の根源です.

さて,今日は更年期の治療におけるDecision-aidのRCTに関する論文を読みました.Decision-aidといえば,カナダのO'Connorさんのグループでしょう(おそらく).ランダム化や患者からの同意の取り方?(面会前のやり取りなので案外難しそうだけど)の記述が少ないような気がするが,介入や統計処理などの方法はちゃんと記述されていました.アウトカムはDecisional Conflict Scale(日本語訳あり),満足度(意思決定プロセス評価の満足度のサブスケールを抜粋? だからその評価が何か教えて欲しいところだけど),治療等に関する知識,であった.Decision-aid(ADOC)によって介入(OT)がどう変わるかというより,患者の意思決定や満足度がどう変わるのか,という検証が良いでしょう.だってADOCは意思決定における患者と作業療法士の共同作業を促すものだから.
ただ,この研究は患者と医者で意思決定をするんだろうけども,リハビリテーションの場合はチームで動き,リハビリテーションチームで目標設定を行います.そこは交絡因子になるでしょう.確実に.そこらへんの複雑な介入をシンプルにしていくようなデザイン(アイデア)が求められると思います.

Med Decis Making. 2007 Sep-Oct;27(5):585-98. Epub 2007 Sep 14.

Can computerized decision support help patients make complex treatment decisions? A randomized controlled trial of an individualized menopause decision aid.

コンピューター化された意思決定支援は患者が複雑な治療を決定するのを援助することができるか? 個別化された更年期decision-aidのRCT

Col NF, Ngo L, Fortin JM, Goldberg RJ, O'Connor AM.

Abstract
PURPOSE: To compare the effectiveness of an individualized decision aid (DA) with standard educational materials on decisions about menopausal treatments and to assess the feasibility of integrating this DA into clinical practice, with and without coaching.

目的:更年期の治療の意思決定における標準的な教材として個別化されたdecision-aid(DA)の効果を比較すること,そしてこのDAを組み込んだ臨床実践(コーチングのある場合とない場合)の実現可能性を評価すること.

METHODS: We conducted a 3-armed randomized controlled trial in 3 clinics, enrolling menopausal women between the ages of 45 and 65 years with primary care appointments. Of the 145 women included, 99 completed a 2-week follow-up. The control group received generic educational materials, 1 intervention group received an individualized computer-generated DA mailed to patients and their clinicians before clinic appointment, and the 2nd intervention group received the same DA along with coached care before clinic appointment (DA + CC). Decisional conflict, satisfaction, and knowledge were measured 2 weeks after clinic appointment.

我々は3つのクリニックで3つの?RCTを実施した.そして45-65歳で初期治療のアポをとった更年期の女性を登録した.145名の女性のうち99名は2週間のフォローアップを完了した.対照群は一般的な教材を受け,1番目の介入はクリニックでの面会前に患者と担当医に郵送された個別化されたコンピューターによるDAを受けた.2番目の介入はクリニックでの面会前に指導されたケアと一緒に同じDAを受けた(DA+CC).意思決定の葛藤,満足度,知識はクリニックでの面会の2週後に測定された.

RESULTS: Participants' mean age was 52 years, and 97% were white. Most women (98%) read all or most of the documents. Decisional conflict was significantly lower in both intervention groups but not in the control group. DA reduced decisional conflict from preintervention to postintervention (pre-post change) by 0.70 (SD = 0.56) points (on a 1-5 scale), compared to reductions of 0.51 (SD = 0.51) and 0.09 (SD = 0.44) for the DA + CC group and the control group, respectively. Satisfaction with the decision made was significantly higher at 2 weeks in the DA v. control group. Self-reported knowledge significantly improved in DA + CC compared to controls.

患者の平均年齢は52歳,97%は白人.ほとんど(98%)の女性はその資料を読めた.意思決定の葛藤は有意に両方の介入群で低かったが,対照群はそうでなかった.DAは介入前から介入後までの意思決定の葛藤を0.70±0.56点(1-5点の尺度)減少させた(pre-post change);DA+CC群は0.51±0.51,対照群は0.09±0.44.DA群と対照群を比較して,2週間の時点で意思決定の満足度は有意に高かった.DA+CC群は対照群と比較して自己申告型の知識は高かった.

CONCLUSION: Our decision aid lowered decisional conflict and improved patient satisfaction; adding coaching provided little additional benefit.

我々のDAは意思決定の葛藤を低下させ,患者満足度を改善した;指導を追加することの効果はわずかであった.

PMID: 17873260 [PubMed - indexed for MEDLINE]

2010年11月9日火曜日

脳卒中後1・5年後の間の主観的健康の変化:通常リハ vs 早期から継続した訪問リハのRCT

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生活改善計画中のtomoriです.

さて文献を読んでいきます.
個人的に非常に興味ある内容でした.回復期リハ病棟で臨床をしていた頃,退院後の患者さんを追っかけていて,特に退院直後の患者さんはストレスが高そうだったので,早期から訪問リハとタッグを組んで在宅復帰の支援ができれば効果あるだろうなぁと思っていました.

残念ながらこの研究では有意な差は認められていません.サンプルサイズが少ないこともありますが,このRCTで小分けにいろいろ論文を書いているようです.孫引きしてみます.


J Neurol Sci. 2010 Jul 15;294(1-2):86-8. Epub 2010 May 5.
Changes in perceived health between one and five years after stroke: a randomized controlled trial of early supported discharge with continued rehabilitation at home versus conventional rehabilitation.

脳卒中後1・5年後の間の主観的健康の変化:通常リハ vs 早期から継続した訪問リハのRCT


Ytterberg C, Thorsén AM, Liljedahl M, Holmqvist LW, von Koch L.
Karolinska Institutet, Department of Neurobiology, Care Sciences and Society, Division of Physiotherapy, Fack 23 100, 141 83 Huddinge, Sweden. charlotte.ytterberg@ki.se
Abstract

BACKGROUND: Early supported discharge with continued rehabilitation at home (ESD) for patients with mild to moderate impairments has been compared to conventional rehabilitation in a randomized controlled trial. The aim of this study was to explore changes over time in perceived health status over the five years after stroke onset.

軽度〜中等度に障害のある患者に対して,継続した在宅リハを早期からサポートした退院(ESD)を,RCTによって通常のリハ(デイケアでのプログラム)と比較した.本研究の目的は,脳卒中発症から5年間の間,主観的(perceptive)健康状態の変化について調べることである.


METHODS: Of 83 patients enrolled in a randomized controlled trial of ESD compared to conventional rehabilitation, 50 (home rehabilitation group, n=28, conventional rehabilitation group, n=22) were followed up at one and five years after stroke with regard to perceived health using the Sickness Impact Profile. The Mann Whitney U-test was employed for statistical analysis of differences between the groups at one and five years, and the Wilcoxon sign test for differences within each group between one and five years.

ESDと通常のリハを比較するRCTに登録した83名の患者のうち,50(在宅リハ群 n=28,通常リハ群 n=22)は,脳卒中から1年後,5年間にSickness Impact Profileを用いて主観的健康に関してフォローアップされた.1年後と5年後に両群間の差についてMann Whitney U-test,群内の差についてはWilcoxon sign test を適用した.

RESULTS: There was no difference in perceived health between the groups at one or five years after stroke with regard to SIP total and the physical and psychosocial dimensions. Perceived health did not change significantly between one and five years in the home rehabilitation group whereas it had deteriorated significantly in the conventional rehabilitation group (p=0.05).

Sickness Impact Profileにおける総合的,身体的,心理社会的側面に関して,脳卒中から1年,5年後の両群間の主観的健康に差はなかった.通常リハ群は1年後,5年後の主観的健康が有意に悪化したにもかかわらず(p=0.05),在宅リハ群に有意な変化は認められなかった. 

CONCLUSIONS: We conclude that the long term outcome with regard to perceived health status is more favourable after ESD than after conventional rehabilitation. Our results suggest that the environment is a key component to be considered in the rehabilitation process of stroke patients.

主観的健康状態に関する長期的なアウトカムは,ESD後のほうが通常リハ後より良好である.本研究の結果から,脳卒中患者のリハプロセスを考えるには環境が重要な構成要素であると推察される.

2010年11月8日月曜日

研究をするときの参考文献の探し方

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涙もろいtomoriです.
ちなみに昨日は教え子(新婦)の結婚式で,初対面の新郎の挨拶で泣きました.


さて,卒論の時期なので参考文献の探し方について.

今朝はADOCの研究のために以下の論文を読みました.

大腸がん検診に関してあまり教養がない成人に対してインフォームドチョイスをサポートするためのDecision-aid:RCT

メモ;ADOCはクライエントを意思決定に参加させること,より良い作業選択(インフォームドチョイス)をすることが目的ですから,本当にその目的が果たせるかどうか,このようなRCTで検証してもいいでしょうね.ネガティブな結果が出たときにも参考になる書き方です(笑).この論文で参考にしているoutcomeや統計処理も参考になります.


以下,文献の読み方.
ボスから教えてもらった文献検索についてまとめてみます.臨床のための論文を探すということは,目の前の患者さんや自分の専門領域と近い論文を探す必要がありますが,研究をするための論文を探すというのは,まず自分の似たような方法論を探すことだと思います.それをベースに客観的で再現性の高い方法論を組み立てていきます.自分の分野で似たような研究がされてなければ,他の分野からとってこないといけません.ポイントは検索の時に「方法論」にこだわって検索することです.自分の「分野」にこだわってはいけません.ボクも今朝読んだ論文は大腸がんです.でも方法論は非常に参考になりました.作業療法分野の研究は他分野と比べて明らかに遅れています.そう自覚していれば積極的に他の領域から取り入れようとするはずです.もちろん作業療法士であることを忘れるわけではないですが,現状では,作業療法の領域にこだわってはレベルの高い研究できませんし,文献もヒットしません.

もう一つは,ヒット数が多くなるように検索をかけていきます.学生はだいたい,「文献探したけどありませんでした」と言います.ダメ学生だった自分の経験から分かるのですが,明らかに文献を読みたくないときの言い訳です.検索したけど無いというテーマだと,考察が書きにくくなります.つまり,自分のデータだけでは弱い主張しかできないので,主張の裏を取る意味でも,他の人の論文を補足的に引用しないといけません.検索したけど無いというテーマだと,それができません.

検索したけど無いという場合は以下の場合です.
 1)和文のみ検索している
 2)難しいから誰もやっていない
 3)誰も興味がない
 4)天才が偶然に見つけた新しい発見

ほぼ1〜3です.まず和文を参考にしていては良い方法論を参考にできません.

例えば,pubmedで
"Occupational therapy" and "Decision-aid" だと0件です.
"rehabilitation" and "Decision-aid" だと7件です.
"Decision-aid"だと513件です.
これをベースにRCTやメタアナリシスでlimitをかけていくと121件ですので,これを読んでいきます.おおよそ100件くらいひっかかれば読んでいいだろうという範囲だと思います.20件くらいだと少なく,300くらいだと多いかもしれません(根拠はないけど)

自分もそんなにできないので,
自分を叱咤激励したブログになってしまいました(笑)



以下アブストラクトの翻訳.

目的;低い教養や知識の成人のためにデザインされたdecision-aidが,大腸がんの検診に関する意思決定への参加やインフォームドチョイスをサポートすることができるかどうか検討すること.
デザイン;RCT
Setting; 社会経済的に不利なオーストラリアのNew South Wales 地区(低い教養,高い失業率,未熟な職業)
参加者;572名(年齢 55~64歳,低い教養,大腸がん検診資格者)
介入;紙ベースの対話型のブックレット(質問プロンプト(ユーザーに入力や操作を促すメッセージのこと)リストあり/なし)とDVD.これには大便潜在血液検査をした場合のポジティブな結果としなかった場合の結果のリスクが量的に示されている.対照群は,オーストラリアの全国大腸がん検診のプログラム用に開発された標準的な情報を受けた.全ての材料と大便潜在血液検査キットは人々の自宅へ直接送られた.
Main Outcome;インフォームドチョイス(適切な知識,意向と検診行動の一貫性),検診の意思決定への参加の選択.
結果;Decision-aidを受けた参加者は対照群に比べて高い知識レベルだった;Decision-aid群の平均スコア(最大12点)は6.50(95%CI 6.15-6.84),対照群は4.10(3.85-4.36; P<0.001).検診に対する意向はDecision-aid群でポジティブではなく,良好な意向を示している参加者は51%で,対照群は65%だった(14% difference,95% IC 5-23%; P=0.002 ).検診参加率はDecision-aid群で低下した;大便潜在血液検査の完了は59%と75%だった(16% difference 8-24%; P=0.001).Decision-aidはインフォームドチョイスした参加者の割合を,対照群12%から34%に増加させた(22% difference, 15-19%, P=0.001).Decision-aid群では対照群と比較して,大腸がん検診の意思決定に関する葛藤(decisional conflict)が無かった(51%,38%; P=0.02).両群とも一般的な不安や大腸がんの心配について差はなかった.
結論;調整した意思決定支援情報は,低い教養レベルの成人に対して,大腸がん発症に関する心配や不安を増加させることなく,大便潜在血液検査に関する意思決定への参加やインフォームドチョイスをサポートすることに有効的である.しかしながら,インフォームドチョイスするためのDecision-aidを使用することは検診への取り込みを低下させるかもしれない.
Trial registration ClinicalTrials.gov NCT00765869 and Australian New Zealand Clinical Trials Registry 12608000011381.

2010年10月31日日曜日

10月を振り返る

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昼は長崎ちゃんぽん,夜はキャベツ鍋でした.tomoriです.
お前はウサギか!と突っ込みたくなるくらいキャベツ食べました.


さて月末です.タスクの整理.
11月のやるべきことを整理して,こりゃ倒れるかもと思い,
10月にやったことを整理して,色々あったなぁと思い返しています.

ADOCに関するところでは,
1週目は
昔からの心友と品川で飲んで,回復期リハ病棟の今後について語り合いました.
2週目は
沖縄に行って㈱レキサスさんと打合せして共同プロジェクトのご提案をいただきました.
3週目は
ADOCのコンセンサスメソッドの研究会議,論文添削,OsiriXの研究会参加
ボスからの今後の方向性についてフィードバック
4週目は
のんびり科研費書類作成,Dr. Tickle-Degnenから共同研究OKのお知らせ.
5週目は
焦って科研費書類作成,

ですかね.
特にボスからのフィードバックはADOCの今後について
自分の中ですっきりしました.

でもこうやってみるともっと仕事できたのかな〜と思いますね.
エライ先生方のブログなど見てるとホント過密.

また先週から時間日記もつけていますが,
物書きに時間が取られて論文を読む時間がない.家族との時間も少ない.
Pubmedからのアラートメールもたまってるし,
もう少しサイエンスな活動をしないといかんなぁと反省.
11月はさらに過密スケジュールになるので,
重要な作業から実行して,時間を大切に使っていきたいです.

11月はOT学会の〆切がありますね.
今年の学会のテーマは「意味のある作業の実現」ということらしいので,
ADOC projectからも沢山演題発表しようと思っています.

がんばりましょう!

2010年10月30日土曜日

㈱レキサスが個人情報通信で国際認証を受けました

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昨日前夜祭で教員バンドしてきました.ベース担当のtomoriです.
ブルーハーツの「情熱の薔薇」は学生も知っていたけども,
イエモンの「SPARK」はさすがに知らず,
「教員だからどうにか盛り上げなければ!」 みたいな妙な空気を感じました(笑)
次は学生でも分かる曲をやるように提言しよう.

さて,ADOCを開発してくれた
沖縄のIT企業である株式会社レキサスさんがやってくれました! 

琉球新報の記事
情報関連サービスのレキサス(うるま市、比屋根隆社長)は27日、データの秘密分散技術を活用した同社のデータ通信・保管サービスが欧州連合(EU)のデータ保護指令を満たしているとして、国際的な第三者認証機関テュフラインランド・ジャパンの「個人データ保護認証」を国内で初めて取得したと発表した。(略)レキサスはグローバルフレンドシップ(東京)が開発した元データを複数の断片にして通信、保管する「GFI電子割符」による秘密分散技術をデータセンターに応用することで認証を取得した。電子割符は一般的に用いられている暗号化技術とは違い、元データを細分化して通信、保管するため、断片の一部が漏れたとしても元データを復元することができない。同社は「秘密分散技術は災害対策としての活用はもとより、クラウドコンピューティングとの親和性も高い」と説明した。



国内初だとか・・・ すごい.

ADOCはWebサイトでOTの支援内容の情報共有をすることや,
その他Webを通じていろいろな情報共有の展開をしていきたいなと思っていた矢先でした.
さすが沖縄から世界を目指している会社です.
知らなかったけど,結構すごい会社だったようです.

特に医療系の人たちは個人情報に過敏になっていて,IT化に猜疑心が強いです.
でもエンジニアさんたちはすごい努力をして情報を守る工夫をしています.
その努力を知らずに批判したり疑ったりするのは良くないと思います.

まあそれさておき,
ADOCを通してレキサスさんといいコラボができればいいな〜と思います.
また一歩前進.

2010年10月27日水曜日

作業療法の大きな役割とは

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3歳の娘に早くも無視されるtomoriです.
どうにかして,「洗濯物は別にして」と言われることだけは避けたいのです.


人が何か作業をするには理由があります.
コマンドを入力して動くならただのロボットです.

人が何かするには思いがあります.
「なぜそれをするのか」が分かってないと,人は動けません.
なので,タスクが先に決まるのではなく,
なぜそれをするのか,という理由が先にあります.

例えば,親がこどもに勉強しなさい,と言います.
タスク主義の典型例ですね.
大事なのは分かるけども,何でやるのか分からなければ動けません.

ボクの担当科目の運動学でも,ただ学問を教えるだけじゃなくて,
なぜ運動学が作業療法の臨床で必要なのか分かるような工夫を心がけています.
そうしないと学生は運動学の物理なんて勉強しませんし,したとしても忘れます.

こう言われてみると当たり前なんですが,
日常で我々は意外にまずタスクを押し付けます.

クライエントに「この練習をしてください」
学生には「勉強しろ」
こどもには「これはするな」
できなかったら,「できない相手が悪い」・・・ 「最近の若者は」・・・
という展開,見覚えありませんか? 人はロボットではありません.
やらないことを責めるのではなく,
ここで立ち止まって「なぜそれが必要なのか」説明する必要がありますね.

特に作業療法の役割って,クライエントがしている作業に,
「なぜそれが今必要なのか」という意味を吹き込むことだと思っています.

ADOCは人の作業に意味を吹き込むものであってほしいなぁと思います.
平行棒を歩く練習をしているクライエント.
10m歩くのが目標の人,孫と買い物することが目標の人.
その気持ち(目標)は周りから見えないけども,大きく異なります.

なぜそれが必要なのか聞きましょう.

洗濯物を別にして,というのは生理的に無理ということ.
それは努力をしても改善できないこと.
つまり一生嫌われるということだからです.

2010年10月25日月曜日

ヤギ食べにいきました.

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脳と身体が分離した感じがするtomoriです。
ただ日々が過ぎて行く...

さて、若松病院の玉城希さん。
先日認知症のあるクライエントにADOCを取って、
ビール飲みがらヤギが食べたいという希望に、
ノンアルコールビールを飲んでもらったという強者でしたが、
とうとうクライエントとヤギを食べにいったそうです。

では、物語スタート

なんと、主治医が前日に予約をとってくれ、かつ主治医、摂食Ns、休みのOT1名が協力してくれました。行く前には挨拶の時から満面の笑みを見せ、吸引の時にも合間に笑顔が見られていました。移動中の車や食堂でも良い姿勢を保ち続け、血圧も落ちず、覚醒も維持していました。山羊食べながらビールが飲みたいと希望でしたが、その時にはビールはクライエントが断りました(山羊の油とビールは油を固めてしまうから良くないという話があります。それで、自らリスク管理を行ったのかな?と推察しています)。

普段の私のリハビリでは15分から20分覚醒が持続できるくらいでしたが、なんと2時間以上覚醒が持続しその後もしっかり起きていました。作業の力の凄さを感じた瞬間でした。

その映像をビデオに収め、ご家族へ見てもらうととても喜んでいただけました。

次の日に、行った事は忘れていましたが、私が「何かクンチ(体力)ついてないですか?」と聞くと「ついてる」と話していました。

------------以上-------------

いや〜.DrもNsもOTもすげ~.
てか翌日忘れてて,しかも15分しか起きれない方を連れ出して,
ビール飲ませようとする破天荒なところが面白い(笑)

でも人として見れば,普通のことなんですよね.
これまでその方がしてきたように...
なんで普通に思えないんでしょう.
患者さんというイロメガネみちゃってるんでしょうね.

クライエントにとって,
普通のことが普通にできるように支援していきたいですね.


2010年10月21日木曜日

Dr. Tickle-Degnen L

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夜中2時からのmacbook air の発表後,
持ち前の優柔不断さで眠れないtomoriです.現在5時.
air 欲しかったけど,でもmacbook持ってるからいらないよな〜とか
air は物自体は軽いだろうけど,動作は重いだろうな〜 何てつぶやきながら
眠れないのでブログを書くことに.




さて,先ほど北里大学東病院(現さがみ緑風園)の髙橋さんから連絡があり,
タフツ大学のLinda Tickle-Degnen先生が,
正式にADOCの共同研究者になっていただけることになりました

Tickle-Degnen先生はパーキンソンの方へのRCTをやっていて,
今後ADOCを活用したRCTに向けて具体的なアドバイスをいただく予定です.

あとTickle-Degnen先生はコミュニケーションやラポール形成などの研究に精通しているので,
ADOCにおけるコミュニケーションの方法に関していろいろ意見をいただけたらと思いますし,
実際に髙橋さんとその件に関して研究を進めていくことになります

ボクのイメージとしては,
ADOCを使った面接はどうしても機械的,表面的な面接を助長してしまうこともあると思います

面接の際の,表情,タイミング,会話の内容,などなど,どこをポイントにコミュニケートすればいいのか,
ということを髙橋さんと一緒に研究していこうと思います.

(髙橋さんの仕事はこちら


そうすれば,
iPadのテクノロジカルなハード面と,
会話の職人技的なソフト面
良いところ同士が融合した評価になると思います.


それをRCTで検証するという流れ.
また面白くなってきたなぁという感じです.


いかんいかん.寝よう.



2010年10月17日日曜日

OsiriX が変える医療

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3週間ぶりに会う娘からラブラブ攻撃を受けて,ちょっと戸惑うtomoriです.
普段は近寄りもしないのに.昔女子学生が
父親は少し離れていたほうが優しくなれると言っていたのを思い出しました.

さて昨日は
The 1th OsiriX Japan User Meeting に参加してきました.
正直OsiriXが何かよく分からなかったのですが,飛び込んでいってみてよかったです.


wikiによれば,OsiriX (オザイリクス)は,DICOM 画像を参照することに特化したオープンソースの下で開発が行われている MacOSX および iPhone OS で動作する画像処理ソフトウェアである.と紹介されています.

簡単に言うと,DICOMという医療機器共通の画像データ,つまりCTとかMRIとかの2Dの画像をOsiriXで超たくさん重ねて処理を行って,3D(立体的)にしてしまう! という優れもののソフトです.オープンソースというのは,つまりOsiriXはタダでダウンロードできるし,世界中のエンジニアさんがOsiriXをベースに色んな機能を付け加えるなどのアレンジができるということです.

MRIの情報から,脳にある大きな血管を3D化して,その血管の中を内視鏡のように仮想環境で見えるようにする,といったことが,DICOMのデータがあれば現場の人間でもできる,ということです.すげー.

これまで主に放射線科の画像診断に使われていたのに対して,神戸大学の杉本真樹先生が手術に使ったことでイノベーションが起こったようです.
iPadを手術室に持ち込んでいるのはテレビでよく報道されています.

今はOsiriXで作った解剖学的階層構造を患者さんの術野にプロジェクターで投影してオペをするそうです.つまり画像で得られた腫瘍の場所を,実際の術野に投影しながらオペを進めることができます.かなり小さな腫瘍,血管でも同定できるようです.今回は乳癌の患者さんのセンチネルリンパ節を同定する方法を紹介していました.

リハビリテーションの分野では,iPadに手関節の骨折部位の動画を入れて,プラットフォームにiPadを置いて,それを見ながらROM訓練を行うということがありました.昔というか今も,体の中がどうなっているかイメージしながら動かしなさいと教えていますが,その考えはもう古いようです.体の中を視覚化しながら正確に動かしなさい,という時代がもうすぐ来るでしょう.

あとは,脳血管を3Dにして,なぜこの麻痺が起こるのか,この症状が出るのか,といったことをカンファレンスで教えるそうです.これはMRIの画像を見せられて,それがどこの何かも分からずただただ困った僕たちからすれば,非常にありがたい話です.しかもいちいちフィルムを取ってこなくても院内どこでもiPadで見れるという話.


やはり,動画や画像というのもは,医療を革新的に飛躍させる根源であるような気がします.ADOCはこれらのソフトとは果たすべき役割が違うとは思いますが,最新の医療画像の活用法を聞けて,今後のADOCの展開にも良いアイデアが浮かびそうです.

2010年10月15日金曜日

ADOCの目指すところ

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今日職場の帰り実家に帰っているかみさんに電話してて,
「今日何食べようなか〜」と話すと「すき家にすれば」と言われたとです.
もう週5回は牛丼なんです….ちなみにかみさんは実家で焼き肉でした...
もちろん牛丼食べました.tomoriです.

さて,先日ボスとADOCの今後の方向性についてディスカッションしていました.
そこでまた,自分の視野の狭さに気付かされました.

ボクはずっとADOCを用いたOccupation-based practice(OBP)の効果について検証したいと思っていました.本人にとって価値のある作業を実践することは,健康に寄与するという信念からです.

しかしボスは,OBPはOTにとって重要であるのは間違ってないけど,OBP至上主義はダメだときっぱり指摘してくださいました.カナダは協会をあげてコンセンサスをもってやって来たからそれでいいけど,日本は様々な理論や技術の輸入によって独自に発展している背景があるから,OBP至上主義ではコンセンサスが取れないと.

はっ! としました.

忘れていましたが,開発時のコンセプトは確かにそうでした.ADOCは支援方法までカバーするものではありません.あくまで目標設定をクライエントと共有することが目的です.なので,その目標を実現するプロセスは何でもいいんです.つまり,「釣り」が目標となった場合,それを実現する方法として,CIセラピー,mental practice,川平法,ボバース,認知運動療法,OBP,代償的な作業,何でもいいんです.

ADOCにクライエント中心のような特別な理論はありません.iPadの使い方は直感的ですぐ会得できるし,説明書もありません.必要なときにインフォメーションボタンを押せば説明文が出てきます.だれでも使えます.どの治療理論でも適用できます.

個人的にはOBPが好きですが,動物実験もしているので基礎的な訓練も好きです.てか作業の可能化のために基礎的な訓練は必要です.OTはOBPだ!というこだわりは全くありません.

クライエントもセラピストも,みんなちがってみんないい.

ADOCはそこを目指していきたいと思います.

2010年10月11日月曜日

株式会社レキサス

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沖縄滞在中のtomoriです.
特に行きたいところはなく昼間ホテルの部屋にこもって仕事してました.
ちょっと小説家気分です.観光地と言えども地元なので仕方ない.

先日,ADOCを開発していただいた株式会社レキサスさんと
アプリ修正の打合せをしてきました.
比屋根社長と担当エンジニアの宮里さん伊佐さんにご足労いただきました.

当初ADOCの修正箇所とか準備していましたが,
いやまてよ,そう言えばレキサスさんに
何でこのアプリが必要で,このアプリが今臨床でどんだけ役に立っているのか,
そもそも開発コンセプトを伝えたこと無かったなと思いました.

また,宮里さんは,普段PCの画面ばかり見ていて,
自分が作ったアプリが結構世の中のためになっていることを知らないだろうなと思って
感謝の意を示すためにも,使用感に関するデータとユーザーからの声をまとめました.

・健康とは「やりたい作業」ができること
・そのためには本人の希望を聴くこと
・しかしそれがリハビリテーションの現状では意外に難しいこと
・そのためにADOCが必要であること
・今モニターしていてとても良い感触を得ていること
・今後はADOCの英語版を作って世界中のクライエントが意思決定に参加してもらえるようにしたいこと
・世界中のOTがどうやってその作業を実現したか共有するwebサイトを構築したいこと

などを,説明しました.
(iPadのkeynoteでプレゼンしましたが,これは便利でした)


とかく,一人でも多くの患者さんとOTがhappyになるようにという「思い」のために
うちらのメンバーはいろいろと働いていることを伝えました.

比屋根社長,宮里さん,伊佐さんは,専門外の話でも
非常に真剣に話を聞いてくださいました.

そうすると,これまでは修正箇所や工数,契約金の話ばかりでしたが,
なんと比屋根社長から,「共同プロジェクトもあるね」とご提案いただきました.
まだ話は具体的には進んでいませんが,
OTに対する「思い」しかなく,
プログラミングのプの字も知らないうちらにとって,
これは非常にありがたいお話です.

沖縄から世界と勝負するんだ! 
という熱いレキサスさんとお仕事できるなんて,
同じ県民として光栄に思います.

また一歩ADOC project が前進しました.

2010年10月2日土曜日

認知症者とADOC

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仕事の逃げ道はブログ.tomoriです.
今日はいまいちはかどらないな〜.

さて,今日もADOCにまつわる面白い物語を紹介します.
今日は非常にユニークで素晴らしい支援と,それに対するOTの気持ちの変化もあります.

若松病院(沖縄県) 玉城希さん より.

私の担当の方は、ADOCで旅行がしたいと話していました。また、花も好きという事を教えてもらいました。終了後も、他にやりたい事はないかという質問に「ヒージャー(ヤギ)を食べながらビール飲みたい」と話してくれました。摂食Ns、Drに相談しノンアルコールではありますが、缶から飲む作業が実現できました。本気で飲みたい物は、とろみ剤は必要ないみたいです! 上手に飲んでほろ酔いになっていました。


今回、聴取させてもらった方で認知症を持つ方の共通する事は、ADLやIADLは家族や誰かに手伝ってもらうという認識を持っているように思いました。余暇的な作業については、「やりたい」と話す傾向にあるようでした。

障害を問わずどんなクライエントととも、ADOCを実施してからのOTとクライエントが話す内容は、「やりたい作業について」のテーマが多くなっています。また、担当以外の方に聴取させてもらった後に、担当OTへ「こんな事がしたいと言ってましたよ」と伝えると、担当のOTも「やりたい作業について」をテーマとする会話が増えたように感じました。
何より私自身が、いかにしてクライエントのやりたい事を実現できるか?を常に考えるようになっています。また、機能改善目的に機能訓練を行うのではなく、作業の効率性と正確性、安全性を高めるために機能訓練も行うというスタンスをクライエントとOTが協業出来ているように感じます。クライエントからPTは立つ練習、STは言葉の練習、摂食Nsは飲みこみの練習、OTは何でもする人と感想を頂きました

-------以上--------

このメールをいただいたときには,正直鳥肌が立ってしまいました.
まず,ノンアルコールビールを用意した,玉城さんの知恵と勇気と行動力.素晴らしい!
玉城さんのように,クライエントのやりたいことをいかにして実現できるか?と作業療法士が思えるようになると,解決策はきっと見つかると思います.ヤギも食べることになるのかな.楽しみです.

ADOCで聞き出した作業は,実現しないと意味がない.そのために我々作業療法士がいるんだと思います.実現できないなら目標にしてはいけない.聞いたからには実行するんだ,という責任感をもつべきですね.我々も政治家も...


ちなみにヤギを食べたいというのは認知症の症状ではありません.
宮古島ではお祝いのときのれっきとした高級料理で,ボクやかみさんも好きです.
とろっとろでおいしいです.緑の葉っぱは,よもぎです.




2010年10月1日金曜日

臨床実習に向けて...

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読んでない本があるのにAmazonの古本を見るとついつい買ってしまうtomoriです.
ざっと積み上げて8冊でした.週末がんばろう.
でも読んでる時間を楽しむというよりは,ノルマと感じてしまうのがボクらしいなと思います.自分で買ったくせに(笑)


さて,2ヶ月の夏休みが明け,今日から後期スタートでした.

今日は3年生に臨床実習に向けてのオリエンテーションを行いました.

言ったことは3つだけです.
1.実習は遊びではないこと.
2.実習は患者さんと指導者の厚意によって成り立っていること.
3.固定観念を持たないこと.

焦らせるつもりなんて毛頭ないです.

緊張感を持って,感謝の心を忘れずにいてほしい.
そして特に3番目が重要です.

言いたいことは,

「常に自分の体験から出発して正直に考えてゆけ」

    君たちはどう生きるか(吉野源三郎著)に書かれている言葉です.

具体例を引用します
君は水が酸素と水素から出来ていることは知ってるね.それが1と2との割合になっていることも,もちろん承知だ.こういうことは,言葉でそっくり説明することができるし,教室で実験を見ながら,ははあとうなずくことができる.ところが,冷たい水の味がどんなものなのかということになると,もう,君自身が水を飲んでみない限り,どうしたって君に分からせることが出来ない.誰がどんなに説明をして見せたところで,その本当の味は飲んだことのある人でなければわかりっこないだろう.

臨床実習も同じで,色んな固定観念にしばられることなく,
色んなことを自ら率先して体験し,
自分が感じたそのままをベースに自分で考えられる人間になってほしい.
そう思います.

来年の今頃,成長した皆の顔を見るのが楽しみです.

2010年9月30日木曜日

玄侑宗久さんの洞察力

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先日,朝昼晩と冷凍うどんを食べました.tomoriです.
もちろん翌日も翌々日も晩は食べました.
趣味は料理と豪語しているのですが,
正確には「ご飯を作ってあげること」なんだろうと思います.


さて,福島に打合せ+勉強会で伺った際,
侍OTさんの計らいで,芥川賞作家でお坊さんの玄侑宗久さんにお会いすることができました.法事の関係で朝の8時半から少しだけ.

朝からあいにくの雨でした.お寺の隣のご自宅にお邪魔しました.
シンプルな応接間.広い床の間には1枚の掛け軸,お線香が炊いてありました.

玄侑さんは非常に豊富な知識をお持ちの方でした.
歴史,昔の言葉,精神病,介護保険制度,祖霊神の話など,
非常に様々な話を次々してくださいました.

それで,ADOCのホームページもご覧いただいていました.
ボクは玄侑さんの著書,しあわせる力の中で,
「システム化するということは心が死ぬこと」という主張を読んでから,
ADOCでクライエント中心をシステム化することでOTの心が失われるのではないかと危惧していました.それを玄侑さんに尋ねると,非常にシンプルなお答えをいただきました.
「個を無くすシステムはダメだけど,これは個を追求するシステム化だからいいんじゃないの?」ということでした.なるほど…

さらに,「洗濯なんて本当にやりたいコトのはずがない.それは本当のより高次な欲求を支えるための課題だと思う.ADOCは本当の欲求を支えるものを探すために使われるものではないか」と非常にシンプルかつ的確なコメント….すばらしい洞察力だと思いました.

ボクに置き換えても,料理が好きなら一人でも料理をするでしょう.
でも一人だと料理しないということは,
誰かに食べてもらうことが本当の欲求のような気がします.

ADOCでは,本当の欲求を叶えるための作業の構成,作業探し,
ということになるんでしょう.


帰りに新作 四雁川流景 をいただきました.
短編集なんですが,認知症患者の描写が素晴らしい.

特に Aデール は臨床現場で認知症患者と接しているかたなら,ぜひお勧めです.個人的には 地蔵小路 も面白かったけど.

お勧めです.






2010年9月26日日曜日

ADOC→ワクワク感

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ブログの最初の2行が好きー! と皆さんからお誉めの言葉をいただきます.
ありがとうございます.でも,たまには内容も誉めてもらいたいtomoriです...

いやいや,ボクの文章はどうでもいいんですが,
最近はADOC project のメンバーさんのメールを紹介しています.

これがホント面白いんですよ.

今日はADOCのワクワク感が伝わるメールです.

ごきげんリハビリクリニック(沖縄県)
田中裕子さん(作業療法士)からの物語...


昨日、初めてADOCをデイサービスの利用者さんにとりました!!
初めてで試行錯誤でしたが、感激しました。
やはりADOCは良い!ですね。

今回評価させて頂いた方は、
内科疾患より、廃用症候群のあるAさんです。
評価中、「すごい!!何これ!!上等!」と興奮気味に話すAさん。
いつも受身的なAさんが、身をのりだし、
「私がタッチして良い!?」と、クリックしまくっておられました。
(いつもなら、巧緻性低下でエレベータのボタンも押してくれないのですが…。)
巧緻性が低下していても、一生懸命自分で操作しながら、
やりたい作業や重要な作業などを考えていました。
評価後のアンケートでも、「この評価良いね。目標がはっきりした!」と興奮気味。

そうえいば以前、この方にある面接評価をしたことがあります。
このときは、評価したことで、
今まで見えてこなかった本人さんの想いや作業有能性などに気づいたのですが、
具体的なやりたい作業まで上がってきませんでした。

今回、ADOCで評価する中で、今まで作業剥奪の状態にあったであろう彼女が、
「新聞読みたいけどぐちゃぐちゃにしちゃうの。」
「選挙にいかないとね。」などの語りも出てきました。
さらにさらに、色々な話も聞け、充実した時間でした。

まだ1人にしか評価できていないのですが、感激してメールしました。

ーーーー終ーーーー

ADOC project では,
1)一人でも多くのクライエントが目標設定の意思決定に参加すること
2)それによって作業療法士が楽しく仕事できること

を目標としています.
まさにその通りの物語だったと思います.

作業療法の自信,やりがい,ワクワク感って,
「クライエントのやりたいことを支援できている!」 
と実感した時ではないでしょうか?   私はそう思います.

2010年9月25日土曜日

「作業の始まり」を支援するADOC

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胃薬をビールで飲むtomoriです.
なかなか体調が良くならないのを,
薬の副作用だとか,医者が生活指導をしないからだとか言ってます.
そろそろ言い訳やめよう.

さて,今日もADOCによって生まれた物語を紹介します
ごきげんリハビリクリニック(沖縄県) 原田伸吾さん(作業療法士)からです。

これは読みごたえあります! 面白い.
ADOCの魅力を感じることができると思いますので,ぜひ最後までお付き合いのほど.


今日は新規の利用者さんの初期評価にADOCを使用しました。
ADOCの前に面接をしていたのですが、その方はお家の中でだいたいのことはご自分でされていたので「今の生活で満足している。」と話され、具体的な作業は抽出できませんでした。その後ADOCを使用しました。

そうするとドライブや旅行、外食、友人との交流、家族との交流、会話が抽出できました。その後、利用者さんが満足する作業形態が知れました。また、発症して10数年経つのですが、発症してから失語症や片麻痺の自分に引け目を感じて、友人と会ってもいないし、連絡もとっていないことがわかりました。そして利用者さんが友人と会いたいと切に願っていたことも。

今回、ADOCを実施させていただいた方、皆さんを通して言えることですが、やはりイラストがあることと、作業がイラストで明確に挙げられていることで、クライエントの中でやりたい作業が明確化されやすいと思いました。また、生活全般の作業に目を向けることもされやすいと思いました。

しかし、逆に言えば作業が94項目とすでに挙げられているというところが、真のクライエント中心なのか? のような批判をもたれるところにもなるのかもしれないなと思います。でも僕はADOCの各カテゴリーに用意されている「その他」がこのような批判の答えになっているように思っています。今回、数名にADOCをとっていて、「その他」の作業は、よっぽど自分の中で明確な作業を持っている方以外は出てきませんでした。

しかし、僕はADOCで抽出された作業が可能化されていく中で、クライエントはより多くの作業を求めていくと思います。こういった意味で、ADOCはクライエントの「作業の始まり」を支援できるのだと思います。ですからクライエントによっては、作業療法を行なっていく中で「その他」が増えていくことになるのではないかと感じています。このようなことからも、ADOCはクライエント中心だと説明できるなと自己解釈してます。

まとめると、ADOCはクライエントの望む作業を、面接のみで行なうよりも数段抽出しやすかったということです。


以上です。原田さんありがとう!

2010年9月24日金曜日

有言実行の使い方

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最近元気がないtomoriです。
持論では「元気は出すもの」なので、
正確に言えば、元気が出せないtomoriなんだと思います。

これまで、たくさんの方々との出会いによってADOC project が急激に発展しています。
ついに作業療法の効果に挑戦することまで...
初めて作業科学のClarkさんたちのRCTの論文を読んでから7年。
いつかは自分でもやってみたいなとずっと想っていました。

ADOCを介したたくさんの出会いは、有言実行から生じたものであることは間違いないです。
でも有言実行にはプレッシャーが伴います。言ったからにゃやらねばという。
これまで、ナマケモノの僕はそのプレッシャーを利用して自分で自分の尻を叩いて来たわけですが、
最近、お前にホントにできるのか? 言ったからには計画どおりに進めないといけないのでは?
という観念に縛られつつあります。それで元気がだせないのでしょう。
つまり、周りから何か言われたわけでもないのに、
自分で無駄にブレーキをかけて、元気が出せずにいます。
でもこうやって書いてみると、つまらない悩みに見えてくるから不思議です。

僕は有言実行でいきたいと思います。
だってナマケモノかつ無能なので、一人じゃ何一つできないから。
有言実行→ 自分にプラスになる言葉を並べて、自分の未来を創っていこうと思います。
7年前はただの幻想だったのが、
今では、できるかできないか分からないけど頑張ればできるかもしれない
というところまできてます。
その大事な局面で、自分でブレーキかけるという非効率な行動がいかにも僕らしい(笑)

有言実行の上手な使い方を忘れないためにも、もっと書いていこう、話していこうと思います。

この件に関係しているわけではないですが、
10月に沖縄に打ち合わせに行くことにしました。
沖縄の皆さんとADOC projectについて語り合って、いちから出直し。

毎日、今日から出直しだと言ってるtomoriでした。

2010年9月21日火曜日

失語症のクライエントとADOC

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3歳の娘と相撲を取っても絶対に負けてあげないtomoriです.
「自分が負けるまでやめない!,ぱっきょーい,のこった----!!」
と向かってくる突っ込みどころ満載の娘です.
勘違いと粘り強いという点では父親似ですね.

さて,ADOCによって生まれた物語を紹介します.
あるADOC projectのメンバーからです.

クライアントは右麻痺,男性,失語のため理解力に問題あり.

詳しいコミュニケーションが困難.
どんな思いを秘めているのか・・
それを共有したく、本日ADOCを施行してみました。
単語・短文で伝えながら、ゆっくりと進めていくと、

* 家族との団欒が恋しいこと
* 毎日ラジオで歌謡曲を聞くのが楽しみだったこと
* 新聞やニュースを見るのが大切な日課であったが、
今は見ても内容が良く分からなくてつまらないこと
* お風呂が元々大好きで、ジムではサウナやミストシャワー
などを長時間楽しんでいたこと
* カメラが昔から好きで、高価なレンズを二本もっていること

などなど、色々な語りが聞かれました。
当初、認知・高次脳に問題が無いクライアントでなければ実施は難しいのではないか?
という印象を持っていましたが、沢山の語りの表出に正直驚きました。
ということでした.

このお話を寄せてくれた作業療法士さんはインタビューがかなりうまいので,
正直ADOCを使えば誰でもこうなるというわけではないと思います.
ただADOCは,当初作業ベースのインタビューが難しい!
と感じている若いセラピスト向けに開発したものでしたが,
今までインタビューだけでは限界があったクライエントにも適用できそうです.
つまりADOCはインタビュー上手な玄人向けにもなりうる,ということ.

失語症を持つクライエントもどんどん意思決定に参加してほしいですね.
自分の人生の目標をかなえるために...

2010年9月18日土曜日

股関節疾患に対するOT

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沖縄出身なので冬が嫌いと思いきや,夏も嫌いなtomoriです.
春と秋が好きです.つまりはわがままなんです.
少し涼しくなってきたので,嬉しいですね.

さて,iPad 6台を全国に送って,データ取りをしています.
ADOCを使うなかでクライエントとのエピソードをメールでいただくのですが,
これから,そのエピソードを少しご紹介していこうと思います.

あるメンバーからです.
「私個人でいえば、とても楽しい時間でした。
股関節疾患をもつ若い方でしたから
そんなに私のイメージと差がないかもしれないと思っていました。
その前に、買い物に行きたいと聞いていたので。
でも、実際ADOCで面接してみて、PTAの活動に参加できなかったから
ずっと気兼ねしてたとか、
一人娘さんと旭山動物園に行く約束をしているから
地元の遊園地に変わったらきっと怒るよね、とか。
これまでも作業に焦点を当てることを意識してきたのに、
とても新鮮な気持ちでした。」

ということでした.
このクライエントは急性期病院に入院中ですが,
急性期でも,ちゃんと話をすればやりたい作業は本人から出てくると思います.

結構,上肢はOT,下肢はPTという考え方が未だに根強いですが
作業に焦点を当てて話しを進めることで,
股関節疾患のクライエントでもやるべき事は沢山見えてきます.
この方だと,PTAの活動について話を深めていってもいいし,
旭山動物園に行くことを目標としてもいい.
旭山動物園にいくことが目標にある場合と,無い場合では,
同じ平行棒内歩行訓練や四頭筋訓練でも本人のモチベーションはだいぶ違うと思います.

クライエントの目標を明確にして,
いかに今の作業に意味づけや価値を吹き込むかが
作業療法の重要な役割だと思っています.

股関節だからPTとか,上肢骨折だからOTとか
疾患ベースで人を観るのは再考が必要だと思います.
人の作業はそんな単純なものじゃないと思います.

2010年9月16日木曜日

作業療法に挑戦!

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夜更かし中のtomoriです.
ていうかだいぶ疲れているけど興奮して眠れないのです.

今日は共同研究者と打合せでした.
もともとは作業療法の主観的な部分の効果を測定するための指標を作ろうと
なんとなくガストで集まった3人でした.

それが4時から9時までの5時間ノンストップで話しました.
最後のころ,ようやく3人のwin-winが見えてきました.
不思議ですよね.
7つの習慣に書いていましたが,
じっくり膝を突き合わせて話し合えば絶対にあるんですね.
お互いにwinになる場所が.そして1+1が4にも5にもなる場所が.
今日もそれを実感することができました.
ADOCを作ってから,そんなことばっかり経験します.

昔からボクを知ってる方はご存知でしょうが,
ボクは専門学校卒のあまり頭はよくないOTです.
でも作業療法は好きです.
だから作業療法に効果があるのかどうか,
難題に挑戦してみたいと思います.

どうぞよろしくお願いいたします.

2010年9月13日月曜日

関東労災病院に行ってきました!

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葉山に出かけて店を探せず,結局横須賀に戻ってご飯屋さんに歩いて行くという
無計画性ならNO.1のtomoriです.こりゃライフハックとか言ってる場合じゃないな...

今日は関東労災病院の先生がADOCを見てみたいということで,お邪魔してきました.
実際に患者さんにデモをしてもいいよとなぜか強気で言っていて,
USNと老眼でADOCのイラストがよく見えず,
また左麻痺特有の注意障害がある患者さんで,難航も難航でした.
OTのスタッフみんな見てたので,ちょっと恥ずかしかったのですが,
ADOCはどんなクライエントにでも使える訳はない
そう実感させられました... これも大きな収穫です.

まだまだ改良の余地がありますね.
いろんな作業療法士からコメントをいただいて,
臨床の作業療法士が使いやすいツールになればと思っています.

興味がある方は遠慮なくメールください.
動画もあります
http://www.youtube.com/watch?v=rBz94iNRxes&feature=youtube_gdata

ではでは,今日は寝るか.

2010年9月12日日曜日

福島のOTが熱い!

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ホテルの朝食バイキングでカレーを見るとどうしても食べてしまうtomoriです.
もちろん今日も後悔しました.でもきっとまた食べるでしょう.

侍OTさんとの研究打合せをかねて,郡山で勉強会をしました.
ボクはクライエント中心が作業療法になぜ必要かを話しました.
そして侍さんの回復期病棟の事例を4例紹介していただきました.

これが素晴らしかったんです!
内容違っていたらすみません.
  1. 片麻痺,USNのため不安だらけのおばさん.不安とやりたい作業の葛藤の中でチーズケーキを作ったことが,「やってみればできる,作業は継続できる」という自信になり,退院時の日記では「人間すてたもんじゃない! (色々すると歩く練習の時間が減るとの他人の意見に対して) こんなに自分が変われるのに,何てもったいないことを言うんだろう」と書いていたそうです.
  2. 座位もとれないくらい重度片麻痺を抱えているおばあちゃん.色々話しを聞くと柏餅を孫に作ってあげたい!という希望があり,まず柏餅のレシピを作った.そしてそれを掲示して,皆で作ろうと盛り上げて,実際に作ったところ,「片手効かないの忘れてたー(爆笑)」というくらい笑顔が見られたそうです.もちろん片手だったので形は崩れたけども,味は変わらない柏餅だったそうです.退院時には,「ここまで元気になれると思わなかった.一人で出来ないけど手伝ってもらえればできる」と話していたそうです.
  3. 認知症でMMSE4点のおばあちゃん.病棟もちょっと手に負えないくらいの症状だったけども,作業療法士は環境の変化によって混乱していると判断し,本人の語りの中から野菜作りを導入.やがて落ち着き,非現実的な言動は激減.最後には「相棒はどこだい?」と言われるようにまでなったそうです.
  4. 軽度の片麻痺の頑固おじさん.作業を重要性と緊急性で振り分け,畑仕事,草むしり,色々な作業ができるようになってきたものの,車に乗れないと何も出来ないと思うようになってきた.しかしそこで焦らず,促さず,本人の自己決定を尊重し,作業の価値についてじっくり話していった.いつかしら,本人の語りが現実的,前向きに変わってきた.そして車ではなく,電動車を本人が選択した.googleマップで経路を確認して,電動車で畑まで移動できるようになった.
FIMやAMPSでの量的評価もいれつつ,本人の語りをふんだんに織り交ぜながら,
いかにもその場面が想像できるような質感の発表でした.

しかも侍OTさんの病院は整形疾患が少ないのに自宅復帰率は85%だそうです.
つまりADLもしっかり介入した上で,これらの作業遂行へも着目しています.
そんなこともつゆ知らず,わざわざ「クライエント中心がなぜ必要か」何て,
ボクが話さなくても良かったんじゃ・・・と後悔(笑)

翌日は侍OTさんと一緒に玄侑宗久さんのお話を伺ったあと,
作業療法作品展に連れていってもらいました.


この作品展は,福島全県において,作業療法の患者さんが作った
選りすぐりの作品を紹介するとともに,啓蒙活動を行っていました.
毎年実施されているので,患者さんによっては,
賞をもらうためのモチベーションにもなっているようです.
良い取り組みだと思いました.

福島のOTは熱かったなぁ.



2010年9月9日木曜日

郡山で勉強会します

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右脳左脳脳幹とも雑念だらけのtomoriです。
何も考えずにただ座る坐禅。したことないけど人生でもっとも苦痛かもしれません。
あー、できることならぼーっとしたい!


さて、ADOC仲間の侍OTさんとのコラボ企画で、
今週の土曜日に、研究打ち合わせを兼ねて郡山でクライエント中心の勉強会をやります。
いつもは事例を通してクライエント中心の面白さを話していたのですが、
今回は強者の侍さんとその仲間たちが事例を紹介してくださるので、
僕はクライエント中心が作業療法になぜ必要なのか? ということと、
具体的にどう実践するかということで、ADOCを紹介する予定です。


今思えば、学生だった10年くらい前に、クライエント中心を知って衝撃を受けました。
その論文は、障害や病気を見ているのではなく、その人の作業遂行を見ているのです
といった内容でした。

そんなことを言ってると、当時はあいつはヤバイという目で見られました。
今でこそクライエント中心という言葉をかなり耳にするようになっていますし、
作業療法はクライエント中心であるべきだ、という考えを全面的に否定する方はいないと思うのですが、
でもちょっと待ってください。今でも結構臨床で実践されてないと思いませんか?

クライエント中心は大事だと思っているのに、実践できないってどうしてだろう?

無理矢理実践してきた僕にとって、
昔は何が何でも実践するんだという意思が弱いからだ、
もしくはクライエント中心の理論をよく知らないからだと思っていました。
でも色んな方と話したり、調べたりしていくなかで、
それはクライエント中心をやっている仲間同士のマイノリティな考えだし
理論を知ったからといってそう簡単に実践できるものではないと思うようになりました。


なぜクライエント中心が必要なのかという問いに正解はないと思います。
色んなディスカッションから自分たちで最適な解を創っていかなければいけないと思います。
そういう意味を込めて、今回は侍OTさんにコラボをお願いしました。

ちなみに僕はクライエント中心の宣教師ではありませんw
いい作業療法を常に求めているだけで、
もし今後クライエント中心よりいい考えがでてくれば、簡単に考えを変えると思います。

郡山の作業療法士、学生の皆さん、どうぞよろしくお願いします。

2010年8月29日日曜日

IPad、MacBook、iPhoneでシームレスに文献管理

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健忘力は3歳の娘並み。tomoriです。
しかし人は嫌な記憶にしばられて苦悩が生じるようです。


今までiPapersというフリーソフトを使っていました。私は今年の1月にiPaperのためにmacに乗り替えました。
このiPapersはPDF名をPMIDにすれば自動的にタイトル、著者名、雑誌名とか自動的に入れてくれます。
このおかげでデスクまわりがホントキレイになりました。
文献200編以上持ち歩けますし、検索もできます。文章のコピペもできます。

それからiPhoneとiPadが出てきて、どうにか全部のデバイスで読めないものかと思っていました。

Evernoteで管理を試みましたが、iPadでPDFが読みにくい。検索はばっちりですが。

で、前から気になっていたPapersを買ってみました。
1700円と高めですが、iPhoneとiPadの両方でつかえます。
文献管理専用ソフトですからPDFを読むのも、検索も、操作性もばっちり。なんとIPadではマーカーも引けますし、メモも取れます。Pubmedやその他の検索サイトから新たに検索もできます。なにより、文献の1ページ目が常に表示されていることです。やはり文字よりは1ページ目の感じで覚えているものです。

難をいえばMacBookでマークができないことかな。
僕が使い方を知らないかもしれませんが。

良質なinputがなければ、良質なoutputもできないと思います。
Inputの管理は僕にとっては生命線です。さらにイイoutputができるようにがんばります。

2010年8月27日金曜日

論文がアクセプトされました!!

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といっても動物実験ですが.tomoriです.

Low-intensity electrical stimulation ameliorates disruption of transverse tubules and neuromuscular junctional architecture in denervated rat skeletal muscle fibers.
(低強度の電気刺激はラット除神経筋の神経筋接合部の構造および横行小管の障害を改善する)


博士の学位論文です.実はこの論文,95%くらい投稿することを諦めていました.最後まで指導してくださった先生をはじめ,様々な方に感謝申し上げます.科研費からも助成をいただきました.本当にありがとうございました.ボクの人生って,本当に最後の最後で様々な方に救っていただいています.最後まで追いつめられないよう,事前事前に予防しながら頑張っていきたいと思います.

今,ADOCでも書いています.これも夏休み中にはけりをつけたいなと思っています.
がんばるぜ〜.

2010年8月25日水曜日

教育ってあきらめちゃだめだなー

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かみさんの一言。
あんたはいっつも仕事効率化の本ばっか読んでるけど、
いつになったら効率よくなるとねと真顔で言われたtomoriです。
こ、これは趣味だよ、とよく分からない事を言いました。


今日会議から帰ると廊下に学生Aさんが立ってました。
なんか泣きそうだったので研究室で話を聞きました。

Aさんはあまり真面目な学生ではなく、怒っても誉めても何をしても響きませんでした。
でも近頃は、心を入れ替えて頑張っていました。
それだけでも僕は嬉しかったのですが、
今日、Aさんは自分なりに授業で頑張ったのに、
それをうまく認めてもらえずに悔し涙していたのでした。

今までは何を言われたとしても受け流していた感じでしたが、
とめどなく涙がでて来るくらい頑張ってたんだなと思って、
僕も諦めずに応援してよかったなと思いました。
きっとその一生懸命努力した経験は、
Aさんの将来のためになるでしょう。諦めずにがんばれ!


今の学生は昔とは違う、といろいろと避難されることが多いですが、
彼らは本当に成長できるチカラを持っています。
変える、じゃなくて、信じて、適宜水を与え、芽が出るまで待つしかないのです。
彼らはどう動けばいいのかが分からないのです。
よって行動を注意すべきで、人格を否定することがあってはいけません。

僕も若いころは感謝もしらない本当にバカな人間でした。
親、親戚、友達、教員、先輩、後輩、かみさんは、そんな僕を信じてくれました。

きっと皆さんもそうではないでしょうか。
今になって気づくことばかり。
あの頃は何も分からなかったけど…
思い返すだけで、穴を掘ってでも入りたい気持ちです。

そう思って、教育の奥深さと、もどかしさと、楽しさを今日しみじみと感じました。
この仕事について良かったなぁ。

2010年8月22日日曜日

まず渦に飛び込んでみる

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最近,どれ西川君の顔が見たい と言われることが多いtomoriです.
似ているのは髪型で,顔ではありません.

先日,すてっぷなな という作業所を見学してきました.
作業療法士の野々垣睦美さんが7年前に開設した施設です.

すてっぷなな では,「後天性脳損傷による高次脳機能障害のある方に,地域で安心・安定した時間が過ごせるよう生活支援を行っています」ということです.

作業所と聞くと固いイメージだったのですが,全面ガラス張りのおしゃれなお店でした.
日の光が入って店内は明るいし,なにより野々垣さんが明るかったです.


すてっぷななでの仕事は犬用のクッキー販売がメインで,そのほかの物の販売(かぶとむしの幼虫も売っていたw),宅急便の発送,オークション出店,などでした.たまにレク活動もしているようです.これらの仕事は基本的に利用者さん主体で行われていて,作業療法士の指示は最小限にしている,そんな印象でした.

あくまで通過施設ということで,従来の作業所のように,すてっぷななに就職してこれらの仕事を身につけて就職するというより,これら仕事を「通して」社会性や作業能力を高め,社会参加を支援するということでした.よって,利用者さん個々に細かい目標や支援プランがあります.その目標の決定や修正は,利用者さん,ご家族,作業療法士で,半年に1回の個別面接で行われています.



作業所としていろいろと面白い話を伺ったのですが,
私はそれを楽しそうに話している野々垣さんの「いろいろ試す力」,「バランス力」,そして「受け入れ力」にとても興味を感じていました.

野々垣さんは,とにかく色んなアイデアを試しています.はじめから明確に目標を立てて,それを一つひとつ達成するというよりは(違ってたらすみません),毎日のように色んなことを試して,動きながら全体のバランスを考えていく,そんな感じがしました.自転車は止まっているより,動いているほうがバランスが取りやすい,そんな感じです.

また,今回は,1週前の急なお願いにも関わらず快く見学をお引き受けくださいました.野々垣さんは普段会っても,とても明るく丁寧に接してくださいます.そんな,どんな方でもきっと受け入れるであろうグランマンマーレ的な包容力が,きっと色んな人を巻き込んで,巨大なパワーを生み出している,そんな感じでした.私も何か協力できればなあと思っていろいろ提案してしまいました.

最後に,「日々大変ですか?」と私が質問したところ,
野々垣さんは「良く聞かれるけど,楽しい」と答えられました.
また,皆から「所長は台風の目だよと言われたことがある,私はそうでもないけど周りは結構大変らしいよ〜(笑)」なんていうジョークも聞かれました.

まず渦に飛び込んでみる,そして動きながら考える,そこは逆に安全なのかもしれない.
私に足りないのは,その行動力なのかな〜と思いました.

2010年8月18日水曜日

回復期リハ病棟の作業療法

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ノマドワーカーのtomoriです.
今日の午後は眠たくて眠たくて作業がはかどらなくなったので,16時くらいにマクドナルドに行きました.アイスコーヒー片手に1時間で20枚くらいスライド作れました.1枚3分ですよ.もちろん個人研究室はいただいているのです.ホント贅沢な悩みだとは承知しているのですが,同じ環境だと,どうも集中力が切れますね.まあどうにかこうにか,今日のノルマは達成です.ノマドさいこー.

さて,23日に新戸塚病院でプレゼンがあるので,今日はそのスライドを作っていました.
テーマは要望あって「回復期リハ病棟における作業療法」.
また大した臨床もしていない奴が,壮大なテーマにしたもんだと反省.

そこで「作業」についても話して欲しいという要望がありました.
ボクは作業科学とかの作業の意味や文脈とか,大好きです.
ADLよりもQOLをというIL運動も,COPMも,初めて聞いたときには衝撃を受けました.
ADLが人生の目的になるなんてあり得ない,クライエントは障害によってやりたいことが見えてないんだ,と心から思います.

でも,それはボクがADL訓練をやりつくして,見えてきたものだと思います.
最初からADLを迂回して,QOLに向かうのが危険なような気がするのはボクだけでしょうか.「回復期」ならなおさら.

回復期リハ病棟に求められている基本的なことは,
「ADL向上による寝たきり防止」と「家庭復帰」
社会的に求められていることには応えましょう.

そんなこんなで,回復期では,
本人のやりたいこと+生活の安定(廃用の予防)が求められます.
在院日数が縮小されるなか,このバランスを保ちながら臨床するのは非常に難しい.

でも,カレーにライスが必要なように,どっちも必要なんです.

そう考えると,作業療法は忙しい.
なので役割分担として,理学療法でもしているような機能訓練は理学療法に任せたほうがいいのではないかと思っているのですが・・・.

23日はそんな話をしようかと思います.
コンテンツがすでに多いので,90分で話すには胃もたれ必至,消化不良確実でしょうが,
なるべくそうならないようにと頑張っている,胃潰瘍持ちのtomoriでした.


2010年8月15日日曜日

リッツ・カールトンのサービス

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今日,美容室なるものでcutしてもらったのに,
かみさんに「あるあるの西川君みたい」と言われました.tomoriです.
ショックです.


今週は,リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間
という本を読みました.

これが本当にホテルのサービスなのか,というくらい,
信じられないエピソードがたくさん描かれていました.

スタッフ全員が,クレドというホテルの理念や使命,サービス哲学を凝縮した普遍の価値観を共有し,自分ができる最高のおもてなしとは何なのかを常に考えているそうです.

また,みんなでスタッフが自由にのびのびと働ける職場環境作りをしているようです.
たとえば2000ドルまではスタッフに決裁権(サービス上必要と思えば使って良い)など
現場の判断を最優先することが認められているそうです.

それでスタッフ個々が責任を持って仕事をするし,
個々がお客様に最高のサービス,感動を提供し,感謝されることで,
また楽しく誇りをもって仕事をするそうです.

でも,待ってください.
これらのサービスはホテルでは滅多にできないことかもしれませんが,
リハの世界では可能です.ていうかよくあります.

うちらリハの仕事は,セラピスト一人ひとりにクライエントを担当させていただいて,
クライエントへのサービスはセラピストが責任をもって行います.
そして感動も生まれます.すぐそば,すぐ近くで.

自分とクライエントの手を合わせることで.

日本一のホテルでなくても,
同じ仕事,同じ感動を共有できる機会は目の前に沢山ある.
てかうちらのほうが感動は沢山ある.

そう思うOTバカのtomoriでした.

2010年8月11日水曜日

ADOC project start!!

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3歳の娘に,「早く論文かかないと,仕事してないでしょ」と言われました.tomoriです.
うちの娘は生まれながらにして物事の本質を見抜ける眼力があるようで,親として嬉しいです・・・



さて,ADOCの信頼性と妥当性の検証が始まりました.
これまで分からなかった,
クライエントのやりたいことが聞き出せたという声を結構聞きます.

どうなるか分かりませんが,
一人でも多くのクライエントが意思決定に参加してくれること
一人でも多くのセラピストが楽しく,自信を持って臨床をすること

この2つを目標に,このプロジェクトを推進していきたいと思います.

2010年8月8日日曜日

ADOC 納品!!

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今日3回昼寝しました.tomoriです.
北海道の疲れが取れていないのでしょう.てか消化不全かな・・・

今日,ADOCが納品されました.
1週遅れましたが,諸手続きをして今週からデータ取りに入ります.
上江洲くんが動画を作ってくれました.
http://www.youtube.com/watch?v=rBz94iNRxes

若干使いにくいところはありますが,まあこれでOK
いよいよADOC project 始動

どんな未来が待っているのか楽しみです.
ADOC project できっと良い方向に変わってくれるだろうと信じています.

2010年8月7日土曜日

北海道 三昧!

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娘に「黒い恋人買ってきて!」と電話でせがまれたtomoriです.
チョコが黒い版もあるようですが,
黒い恋人に捕まらないようにと願いながら,白い恋人を買って帰りました.

釧路に行ってきた.
ADOCの研究打合せだった.
いつもの通り,オーディエンスの冷たい視線を横目に,
僕だけ熱いプレゼンをしてきた.夜においしいビールを飲むために.

しかし北海道は熱かった.それ以上にうちらも熱かった.
ADOC projectの話で盛り上がった.
ここでも,自分たちの世代でやろう!という話で盛り上がった.
ADOC projectの醍醐味だ.

友達の瀬下くんは,僕がナマケモノだということを信じられないようだったが,
僕は正真正銘のナマケモノだと自負している.
チャングムを朝の八時から夜中の1時までぶっ続けで見てしまうような男だ.
だから,ドラマには近づかないようにする,
それがナマケモノを自負するということなのかもしれない.

金城くんとは,将来の話をした.
一緒に夢を語り合える友達がいることはとても良いことだ.

昨日ADOCも納品されたし,ようやくADOC projectも動き出した

でもまあ,今回はそんなことはおいといて,
北海道と言えば食い物だ.
イクラ,ホタテ,刺身など魚介類はおいしかった.
横須賀も市場はある.しかしあきらかにランクが違うし,値段も安い.


また講演した夜に,焼き肉をごちそうになった.
なんとA5級!.グラム5000円という目ん玉飛び出る値段.
旨い肉は結構食ったけど,生まれて初めて.こんな肉食ったって感じだった.
さしが入りまくりのカルビ,肉厚牛タン(仙台よりおいしかった),
イベリコ豚,レバ刺しなど食す.
とにかく油がのりまくりで,初めて焼き肉でギブアップした.

そして翌朝,性懲りずに勝手丼の朝食.
アツアツのご飯を買って,イクラや中トロ,カンパチ,たこ,など乗せて食べた.
調子のるとえらい高くなるけど,でも旨い.

自分に胃潰瘍があることも忘れて食べてしまって・・・.
胃もたれなう.

少し休んで,また明日から早起きして頑張るぞぉ〜.

2010年8月1日日曜日

7つの習慣と作業療法3

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薬の副作用か.酒を飲むとじんましんが出始めました.tomoriです.
これを期に酒やめようとして,1日しか我慢できませんでした.

P87
主体的な人は,自分の天気を持ち合わせている.雨が降ろうが陽が照ろうが関係ない.彼らの行動は価値観に導かれており,質の高い仕事をする価値観を持っていれば,天気がどうであろうと関係ない.反応的な人は社会的な環境(社会の天気)にも大きく影響される.人が親切にしてくれると気分がいい.そうでないときは,不機嫌になったり落ち込んだりする.反応的な人の精神状態は他人の行動や言葉に左右され,振り回されることになる.

と7つの習慣に書いてあります.
非常によく分かります.
イチローは,弱小チームのマリナーズですごい.
本当のプロだなと思います.

でもこれは作業療法にも必要です.
作業療法は心身に病を抱えたクライエントを支える仕事です.
落ち込む患者さんに反応して,こっちも一緒に落ち込む訳にはいきません.
つねに明るいところで,安定して,一定で,
自分の作業療法の価値観にしたがってクライエントと接することが求められます.

クライエントに左右され,東奔西走しているようでは,いけないと思うのです.
心は熱く,頭はクールに,と昔教えられたような気がします.






2010年7月30日金曜日

オープンキャンパス

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意外と胃腸が弱いtomoriです.
今日人生初の胃カメラを飲んできました.
キツいよーと医者に脅されて,「やります」といったものの,
もう二度と受けたくありません.辛すぎる.なんだよ.あの検査.

明日,明後日は,うちの大学でオープンキャンパスです.

僕は模擬授業の担当です.
作業療法の楽しさについて,
聞きに来てくれた人に少しでも伝わればいいなぁと思います.

胃カメラでのどを痛めてしまったのですが,がんばります.


7つの習慣と作業療法2

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便秘気味なかみさんが,ADOCで選んだ重要度の高い作業は排泄でした...。tomoriです。
健常人でも使えるというADOC... 

以前,ADOCはあくまでテクニックという話をしました.
あくまで,ADOCはクライエントとセラピストのコミュニケーションを円滑にするだけであり,何よりセラピストのクライエントに対する姿勢が問われます.

P354
話をしているとき,ほとんどの人は,理解しようとして聞いているのではなく,答えようとして聞いているのだ.話しているか,話す準備をしているか,二つに一つである.聞いている話をすべて,自分のパラダイムというフィルターを通して,自分の自叙伝を相手の生活に映し出しているだけである.例えば,「そうだ,そうだ.気持ちはよく分かるよ」とか,「私も同じ経験をしたんだよ.それはね・・・」といった具合である.中略

開発者の一人として,皆さんに一つだけお願いがあるとすれば,

本当にこのクライエントのことを知りたい! 
もっとクライエントに作業療法に参加してほしい!

という気持ちで,ADOCを取って欲しい.

時間短縮のためにとか,さっさと問題を解決するためにとか,
もちろんその目的の場合もあると思うけども,
それではADOCの可能性が半減したようなもんだと思う.

こちらが返事の言葉を考えながら聞くと,
クライエントの本当の気持ちを話してくれないような気がする・・・.

2010年7月25日日曜日

ADOC試す

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猛暑,とうとう扇風機が寿命を迎えました.tomoriです.













どうぞ安らかにお眠りください,と言いたいところですが,
新しい扇風機が来るまで,働いてもらいます.

とうとうiPad版のADOCを受け取りました.検収期間です.
動画→http://blogs.yahoo.co.jp/uezu_s2000/35767911.html


画像 重要度を選ぶ


お勧めの重要度ー緊急度のマトリクス












バグがありますが,今月末には受け取ると思います.
それから信頼性と妥当性と検証し,ある程度世に出せるだろうと判断できたときに,
appleのapp storeから配信します.

乞うご期待.

2010年7月18日日曜日

7つの習慣と作業療法1

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ブログやツイッターでは積極的なのに、オフ会だとがぜん小心者のtomoriです。
このブログを読んでくださっている方も、強気の僕を想像しないでください。優柔不断の怠け者です。
昨日は渋谷であったGTDセミナーに参加して、沢山の著名ブロガーに会いました。
ちなみに僕がリスペクトするmehoriさんのセミナーでした。


さて、7つの習慣 って本はご存知でしょうか。
スティーブン・コヴィー著、キング・ベアー出版、1942円。
古い本ですが、ADOCのマトリクスを作る過程の参考になった有名な本です。

しばらく、この本で作業療法に関係しそうな点をピックアップしていきたいと思います。


P373
「本当の問題に向き合っていなければ、どんなに優れた助言をしたとしても意味がない」
という文章があります。これを作業療法に置き換えると、
「本当の問題点に向き合っていなければ、どんなに優れた訓練をしたとしても意味がない」
になりませんか?
これは作業療法評価が非常に重要であることを訴えています。

本当の問題点とは、
クライエントができるようになりたいと認識していて、
作業療法士が対応できる作業だと、個人的には思っています。


作業療法評価は、自由度が高く、クライエント個々に柔軟に対応できるようになっている反面、
セラピストの価値観に非常に左右されてしまいます。

それをどうにかしようと思いついたのがADOCです。
自由度は保ちながら、手順は明確に、
という両極端な考えをどうにか実現できないものかと考えた末の産物です。

でもADOCはあくまでもテクニック。
いくらテクニックをもっていても、
まずは信頼されるセラピスト、話が聴けるセラピストにならなければいけません。
次はそんな話をしたいと思います。

2010年7月16日金曜日

精神科でのADOC

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最近iPhoneがあまりに落ちるので、ちょっとイリイリtomoriです。
あと、僕、かみさんもともシュタイナー教育が好きなので、
娘を預ける幼稚園をどこにするかでかみさんと議論中です。

さて、今日はウエズくんが、精神科の病院にADOCの説明に行ってくれたそうです。
ありがとうございます。

その病院も、ちょうど個別OTのプログラムを検討していたのと、
研究活動も始めようというところだったらしく、
ADOCはちょうどその両方を満たしてくれるような予感がします。

海外の論文を見ても、ADOCのようなdecision aidは精神科に多い様な気がします。

勝手な妄想ですが、長期入院の方とかが、ADOCを通して、
自分のやりたいことを意識出来る様になり、
それが達成出来たなら、こんなに嬉しいことはありません。

研究研究というよりは、ADOCを使うことで、
まずは目の前の患者さんが「本当に」幸せになるかどうか、
事例単位で検討したいものですね。

皆様方、どうぞよろしくお願いします。

2010年7月14日水曜日

ADOCで広がる友達の輪

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iPhoneのカバー3枚目ですが,また気泡が入ってしまいました.tomoriです.
この間学生に,どうやって貼ったの?と聞いたら,「誰でも出来ますよ」と言われました.
それ,質問に答えてないし・・・


さて,昨日は北里大学の長山洋史さんと研究打合せをしました.
長山さんは医療経済で修士を取られてて,統計に詳しく,
デルファイ法でADOCの内的妥当性について検討しようということになりました.

身障,地域,老人関係に従事している,
作業療法士200名程度にアンケートをお願いすることになると思います.
アンケートの項目が多く,回答するのにちょっと大変かと思いますが,
ぜひ,その回答をする「労働力と時間」をADOCに投資していただきたいと思います.

その後長山さんとサシ飲みしました.
お互い大学教員ということもあり,研究で作業療法に貢献しようぜ!
と2人でいろいろと盛り上がって,熱く語り合いました.
学会で挨拶したくらいのだったのですが,意気投合.意見も合いまくり.
いい刺激をいただきました.
最後はマティーニで,論文書くぞーと乾杯


そのときも話したのですが,
僕たちはADOCを作ることがゴールではなくて,
患者さんがhappyになり,それを見た作業療法士がhappyになることが最終的なゴールでで,そのためにはADOC以外にもいろいろとやるべきことがあります.
作業療法の効果を数字で客観的に示すことも必要ですし,
目の前の患者さんにも分かりやすく説明することも必要.
ADOCでやりたいことを聞き出すだけではダメで,それを実現するための工夫も必要...
アイデアや,やりたいことはたくさんあっても,僕は一人,手は右と左しかありません.
できることは限られています.

んー,人手不足!

でも,これからは本当にインターネットの時代になって,
日本全国のOTはもちろん,世界中のOTがつながります.
幸い,ADOCを通じて,たくさんの方が自分もやってみたい!
と共同研究に参加してくれます.非常に嬉しく思います.
まだお会いしたことはないですが,メールだけでかなりやり取りしている方もいます.

ADOCに興味がある方は誰でも結構ですので,共同研究しましょう!
メールください.

僕一人では何もできませんが,皆がコラボレーションすることによって
作業療法の未来が明るくなればいいなと思います.それが僕の仕事かなとも思います.

ADOCで広がる友達の○ 

2010年7月10日土曜日

ADOCのインターフェイス

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朝早く起きて日中うとうとするという,相変わらず無駄の多いtomoriです.
昨日は家族で8時過ぎに寝ました.起きたのは3時です.
まあ7時間は寝ていますので,今4時ですが気分はすっきりです.


さて,久々にADOCに関する内容です.
エンジニアさんに無理言って修正してもらい,より使いやすいインターフェイスにしてもらっています.やっぱiPadは偉大だ.OT学会でお見せしたときより,地味だけど大きく変わっています.

まず「重要なイラストを選ぶ画面の最初の説明」です.













説明文章がつきます.誰でも同じような説明ができるようになるためです.
新人さんとベテランでもインタビュー技術に差がないようになればと思っています.
学生さんや,もう作業療法士でなくても,重要な作業を引き出せるような
インタビューができるようになるといいですね.

次は実際に重要な作業を選ぶ画面です.
上は当初予定していたもの.左上にカテゴリが表示されています.




下が修正した画面













これは上のほうにカテゴリーが表示されており,
また今どのカテゴリーを聞いているか分かりやすいです.
しかも横にフリックするだけでカテゴリが移動できます.
重要な作業には赤のタグをつけてみました.

ほんのちょっとした細かいことが,操作性に大きく影響します.
最初にこうしてほしい,とエンジニアさんに提案していて,エンジニアさんはその通りに作ってくれるのですが,僕らが実際に使ってみてやっぱいまいちだった,ということが多々あります.そこで,修正の交渉です.何度も何度も修正してもらいました.最初の契約にない画面までも無理に作ってもらいました.また先方からもこうしたほうがいいと,たくさん修正してくれました.沖縄のレキサスさんには感謝感謝です.

そして,アイコンです.






2本の矢印が1本になるイメージです.1本はクライエント,1本はセラピスト,両者が目標に向かって一つになるという意味です.朝ご飯中に思いつきました.アイデアは逃がさないことがポイントです.

今後の予定ですが,7月いっぱいでアプリ完成予定で,8月から共同研究者と一緒に信頼性と妥当性の検証を行います.まずまずの結果がでれば,論文を書き,apple app storeから配信します.年内に配信できればいいな〜と思います.アプリの価格は未定です.無料にして,たくさんの人に使ってもらいたいのはやまやまなんですが,バグの修正をエンジニアさんに依頼できるくらいの予算は確保したいと思っていますし,バージョンアップもしていきたいなと思っています.どうぞADOCの未来に投資してください.

よろしくお願いいたします.

2010年7月8日木曜日

臨床実習で求められるスキルとは?

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胃痛も治まり,ようやくビールを飲めるようになりました.tomoriです.
最近はいろいろな仕事がたまってきて,overworkぎみだと思ってましたが,
いろんな人のブログを見ていると,自分もまだまだまだだなぁと思います.

さて,今現在4年生が臨床実習に出ております.
患者さん,指導されている先生方,ありがとうございます.

臨床実習で求められるスキルとは何か?

僕がもし実習指導者なら,あきらめないこと だと思います.
がんばる元気が無いときでも,何を言われても,
どんなに自分の無力さを感じても,決してあきらめない,

良い評価,良い治療,論理的な思考,ラポールを形成する
協調性があるか,職業人としての適正はどうか・・・

いろいろとやるべき課題は山積みでしょうが,
これらすべてに共通する大切なことは,

「あきらめなければ,道は必ず開ける」

ということだろうと思います.

2010年7月4日日曜日

作業療法の苦悩と自信

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胃痛に悩むtomoriです。鈍感力だけは人一倍あるはずなのになぁ。
おそらくただの暴飲暴食だと思います。

さて、ボクの担当している身体機能評価の授業では、
なるべく臨床実習や現場に近い経験ができるようにと、
ボクが模擬患者役兼ファシリテーター役でPBLに近い授業をしています

先週末、学生が研究室に来ました。

先生! やればやるほど分かりません。
こんなにハテナだらけでいいんですか?
調べても書いてないし、
どうやって解決したらいいか分からない。
やるほど自信が無くなる。

といった感じの訴えでした。
そう思ってくれれば、とりあえずこの授業をしたかいがあったと思っています。
だって、このすっきりしない感じ、作業療法士なら日々経験していることでしょう。
でもすっきりしないから勉強するし、すっきり満足したら、成長はストップするのでしょう。
だから、すっきりしないことはいい事だと個人的には思っています。
あと,簡単にすっきりしないからこそ,面白いのであって,
不確実なもの,不安定なもの,
だからこそ「やりがい」があって,
逆にそこにはチャンスがたくさん落ちている,そんな気がします.


ちなみに、世の中のサービスで医療が最も不確実だそうです。
一番確実なのは何か物を買うことです。有形だし、そこに無くてもネットでも買える。
次に食事。有形ですが、好みによっても違います。
だんだんと無形的になると曖昧さが増して来ます。
たとえば美容室。次にテレビの修理。車の修理。弁護士。
そして、最後に医療です。

ヒトの体も心もただでさえ複雑なのに、
医療者ー患者間の信頼関係によっても効果が変わる可能性のある、
もともと非常に不確実なサービスなんです。

また、医療でも薬とかオペとかになるとまだサービスを実感できますが、
作業療法はどうでしょう?
さらに複雑性、不確実は増します。


じゃあ自信をもって、作業療法をやっている作業療法士はいないのでしょうか?

います。

自分の作業療法は患者さんの役にたっていると感じている作業療法士です。
そんな作業療法士は、おそらく患者さんの意見を最優先にしているでしょう。
客観的な事も確実だけど、患者さんの感じる見えないことが逆に確実だ、
と信じている作業療法士でしょう。
患者さんと共に患者さんの人生をどうにかこうにか再構築できたときは、
作業療法やっててよかったと心から思える瞬間でしょう。
その積み重ねが作業療法の自信になると個人的には思っています。

そんなボクの個人的な考えから、ADOCを創ろうと思いました。
ADOCで作業療法士と患者さんとの意思疎通がうまくいって、
作業療法士が自分の作業療法の役割を実感できて、
作業療法の自信につながってくれたらいいなと密かに思っています
(じゃブログに書くなよって感じですが)

2010年6月26日土曜日

ADLの評価表ってちゃんとADLを測れてるのか?

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Do it yourself(DIY) のtomoriです。
かみさんの強い希望で、今日3歳になる娘の棚を作りました。

自宅でせっせと作りましたが、棚を作るだけではDIYとはいえません。
板をホームセンターで買って、家まで運んでくる工程が必要です。
我が家は車をもってないので、重たい板を持ち歩き、むしろ作るより大変でした。

いくら職人なみに棚を作る能力があっても、
板と釘とネジとドライバーを準備して、
広い場所でないと、棚は作ることはできません。

それと同じことが,ADL評価にも言えるのではないでしょうか。

ハブラシを準備できなければ歯は磨けませんし、
洗面台でなければうがいはできません。

でも、既存のADL評価って、ハブラシ持ってきてもらっても、
ハミガキ自体ができれば点数は高くなるし、
実際の生活場面でできなくても、まぁよしとする傾向にあると思います。

だから学生も,
評価表で高い点数だったらこの方に介入することがない、と思いがちになります。

その項目で満点とっても,実生活ではできない
そんな評価って妥当性が高いと言えるのでしょうか.

また環境面においても,ハミガキって自宅でも、病院でも、
学校でも、出張中のホテルでもできて、自立ではないでしょうか。

まとめますと,実際のADL能力を測るには、物や段取りの準備、
環境を考慮した評価表があってもいいんじゃないでしょうか.
(AMPSがありますが、資格がいりますので今回は除外させていただきます)

皆さんはどう思いますか?
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