2010年11月19日金曜日

アメリカで急成長中かつ最も良い仕事は作業療法士!

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最近ブログまでが息苦しい とかみさんに言われたtomoriです.
11月は正念場なので,冗談を書く余裕もない感じです.
GTDでせっせと仕事をこなす毎日です.


さて,アメリカでは作業療法は良い評判らしいです.個人的にも作業療法は楽しい仕事だと思っています.この記事にも

Many of us have heard the phrase “do what you love and the money will follow.” This is particularly true for occupational therapy practitioners.

と書いてありますが,まさにその通り.私が就職した時は2000年で,ちょうど不景気まっただ中でした.「どこでもいいから勉強ができる病院を選んでくれ」と学校の先生に頼んで,就職してから早10年余,好きなことをして(嫌なことも沢山したけど)給料を頂いています.この仕事について良かったなと心から思っています.

でもこの記事に書かれてあることがそのまま日本にあてはまるわけではありません.日本で作業療法の認知度はかなり低く,作業療法士が飽和状態になる日もそう遠くないでしょう(つまり就職先がなくなるということです).アメリカとの違いはなんでしょうね? ボクも分からないのですが,協会上層部の方々もしっかり原因分析してほしいものです.



A Booming and Best Job: Occupational Therapy a Thriving Career
急成長中かつ最も良い仕事:作業療法は発展している職業である

By Stephanie Yamkovenko

(以下,おおざっぱな翻訳で,クラーク協会長のコメントなど省いています)

好きなことをすればお金はついてくる.これは作業療法士にとって事実であろう.作業療法はクライエントの生活も最大限に実現するだけでなく,仕事自体も好況である.CNN Money は「アメリカで最も良く,急成長するであろう」と取り上げた.Forbesでは女性にとって最も成長し,最も給料が良い仕事であると取り上げた.

作業療法のパワーと認識度は,高い失業率や緩やかな経済成長にも関わらず,成長し続けている点によって実証される.次の10年で26%の成長率が予測され,作業療法は他の専門職を大幅に上回っている.

CNN money はアメリカにおいて,作業療法を急成長中の仕事で9位,最も良い仕事で19位にランクした.Forbesは,女性にとって,最も給料が良い仕事で10位,急成長中の仕事で14位にランクした.

近年,作業療法士は不景気に影響を受けない仕事,最もストレスの少ない仕事,最も良い仕事,としてトップに立った.急成長中の専門職であるというニュースによって,一部の成人がキャリアを変えたり参加しようと思うかもれない.労働人口増加を助けるかもしれない.

我々の仕事は非常に多くの重要な社会的ニーズを満たすとクラークは述べている.作業療法は単に経済的混乱から生き残るのではなく,発展するだろう.

2010年11月15日月曜日

リハ医療におけるDecision-aidとShared decision-makingの可能性

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4歳になった娘に自転車の乗り方を教えました.tomoriです.
ホントにOTかと言いたくなるくらい教えるのが下手でした.

さて,今日もRCTではないですが(てかあまりいい論文が探せない),リハ医療におけるDecision-aid(DA)とShared decision-making(SDM)に関する論文を読みました.2010ですので,やはりリハも流れはDecision-aidに向いているのでしょうか? 目的は,ほうほういいんじゃない,と思ったのですが,方法で回収率が低いことに気づき,まあSDMに興味ある医者が回答したのか→リハの世の中の流れまではSDMやDAに向いていない→やっぱりボクはオタクか! と思ってしまいました.冗談ですが,今や情報はwebで手に入る時代です.そうなると患者さんも必ずいろいろ聞いてくると思います.また聞いてこない患者さんにもこちら側が分かるように説明する必要があると思います.今までは本人の価値観や経験によって行われてきた部分ですが,それではやる人とやらない人,出来る人と出来ない人に極端に分かれる.なのでDAを使って,その溝を埋めましょうという世の中の流れだと思います.リハは比較的SDMを実践してきたと思いますが,より一層のSDM実践に向けて,ADOCをブラッシュアップしていきたいと思います.


J Rehabil Med. 2010 Jun;42(6):598-604.

The potential for shared decision-making and decision aids in rehabilitation medicine.
リハ医療におけるDecision-aid(意思決定支援器具)とShared decision-making(協働的意思決定)の可能性

van Til JA, Drossaert CH, Punter RA, Ijzerman MJ.
HTRS, University of Twente, Enschede, The Netherlands. j.a.vantil@utwente.nl

Abstract
OBJECTIVE: Shared decision-making and the use of decision aids are increasingly promoted in various healthcare settings. The extent of their current use and potential in rehabilitation medicine is unknown. The aim of the present study was to explore the barriers to and facilitators of shared decision-making and use of decision aids in daily practice, and to explore the perceptions of physical and rehabilitation medicine (PRM) physicians toward them.
恊働的意思決定と意思決定支援器具の使用は様々なヘルスケア場面で徐々に促進されている.リハ医療における可能性と近年の使用範囲は不明である.本研究の目的は,日々の実践における意思決定支援器具の使用と恊働的意思決定の促進と障壁について調査すること,そしてそれに対する身体的・リハ医療(PRM)医の認識を調査することとした.

METHODS: A cross-sectional survey of 408 PRM physicians was performed (response rate 31%).
408名の臨床医に対する横断的調査研究(回答率31%)

RESULTS: PRM physicians expressed the highest levels of comfort with shared decision-making as opposed to paternalistic and informed decision-making. The majority reported that shared decision-making constituted their usual approach. The most important barriers to shared decision-making were cases in which the patient received conflicting recommendations and when the patient had difficulty accepting the disease. Key facilitators were the patient's trust in the PRM physician and the patient being knowledgeable about the disease and about treatment options. PRM physicians' attitudes towards the use of decision aids to inform patients were moderately positive.

PRM医はinformed decision-making(情報提供型の意思決定)とpaternalistic decision-making(父権主義の意思決定)と対照的に,恊働的意思決定に高い快適さを示した.大部分は恊働的意思決定は彼らの通常のアプローチに取り入れていると報告した.恊働的意思決定の最も重要な障壁は,患者が相反する勧告を受けた場合や,患者が障害を受け入れるのが困難な場合であった.促進の鍵となるものは,PRM医に対する患者の信頼と,治療の選択肢や疾患についての患者の知識であった.患者へ情報提供するための意思決定支援器具の使用に関するPRM医の姿勢は,適度に前向きだった.

CONCLUSION: Shared decision-making appears to have great potential in the rehabilitation setting. Increasing the use of decision aids may contribute to the further implementation of shared decision-making.

恊働的意思決定はリハの環境においてとても大きな可能性があるようである.意思決定支援器具の使用を拡大することは,恊働的意思決定の更なる実行に寄与するかもしれない.

PMID: 20549167 [PubMed - indexed for MEDLINE


]

2010年11月12日金曜日

社会活動は独立的に脳卒中から3年後の生活満足度に貢献する

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今のところ生活満足度は高いtomoriです.どんな時に下がるだろうかな.
暇が嫌いなので暇な時だと思います.

さて,RCTではないのですが,ノルマ達成のために論文読みました.
OTは「作業ができるようになると健康になれる」という因果関係をいろんな手法で検証しています.それがOTの生命線だと言わんばかりに.しかしこのように人口統計学的な手法を用いてるコホート研究は沢山あるので,その因果関係にそんなに不安に感じなくてもいいかなと思っているのはボクだけでしょうか.これはサンプル数は少ないですが,公衆衛生の分野だとかなりの人数を集めて,社会生活とQOLや満足度との関係を調べているものは沢山あります.それを引用して,社会活動をする人は生活に満足する人が高い,だから社会活動ができるように支援する,だから作業療法が必要だ,というロジックでもいいような気がします.この研究のように中途半端なn数だといけないと思いますが.適当なコメントですみません.


Clin Rehabil. 2010 Nov 8. [Epub ahead of print]

社会活動は独立的に脳卒中から3年後の生活満足度に貢献する

Boosman H, Schepers VP, Post MW, Visser-Meily JM.
Rudolf Magnus Institute of Neuroscience and Centre of Excellence for Rehabilitation Medicine, University Medical Centre Utrecht, Utrecht, The Netherlands.
Abstract

OBJECTIVE: To determine social activity and life satisfaction three years post stroke and to investigate the contribution of social activity to life satisfaction controlled for the influence of demographic, physical and cognitive disabilities and social support.

目的:社会活動と脳卒中から3年後の満足度について検討すること,そして人口統計,身体機能,認知機能,社会的支援をコントロールした生活満足度に対する社会活動の貢献を調査することである.

DESIGN: Cross-sectional study.

デザイン:横断的調査研究

SUBJECTS: One hundred and sixty-five patients with a stroke.
対象:165名の脳卒中患者

MAIN MEASURES: The Life Satisfaction questionnaire (LiSat-9), the Social Support List - Interaction (SSL-12-I), the Barthel Index, the Mini-Mental State Examination (MMSE) and the Frenchay Activities Index.
測定:LiSat-9,SSL-12-I,バーサルインデックス,MMSE,FAI

RESULTS: In total, 165 stroke patients participated, of whom 112 (67.9%) reported that they were satisfied with life as a whole. Socially inactive patients were significantly less often satisfied (50%, n = 26) than socially moderately (74.4%, n = 64) and socially highly active (81.5%, n = 22) patients. Lowest satisfaction ratings were found for sexual life (40.6%, n = 58). The socially inactive group was most satisfied with their partner relationship (85.1%, n = 40), the moderately and highly socially active group with their self-care ability (87.2%, n = 75 and 96.3%, n = 26, respectively). ADL and social activity were moderately correlated with life satisfaction. Social activity was found to explain an additional variance of the LiSat-9 total score (6.9%) and overall life satisfaction item (5.2%) after controlling for demographic variables, social support, ADL and cognitive functioning.
結果:165名の脳卒中患者が参加,そのうち112名(67.9%)は,全体的に生活に満足していると報告した.社会的に活動的でない患者は(50%, 26名),社会的にやや活発な患者(74.4%, 64名)や活発な患者(81.5%, 22名)よりもかなり満足していなかった.最も低い満足度は性生活であった(40.6%, 58名).社会的に活動的でない群は配偶者との関係に最も満足しており(85.1%, 40名),やや活発,活発な群は彼らのセルフケア能力に最も満足していた(87.2%, 75名, 96.3%, 26名 ).ADLと社会活動は中等度に生活満足度と相関があった.社会活動は人口統計,社会的支援,ADL,認知機能で調整後,LiSat-9 合計点 (6.9%) と 全体的な生活満足度項目 (5.2%)のadditional variance?で説明できることが分かった. 

CONCLUSIONS: Three years post stroke, many patients report ongoing dissatisfaction with various life domains. Social activity was related to life satisfaction.
結論:脳卒中から3年後,様々な生活領域で沢山の患者が進行中の不満がある.社会活動は生活満足度と関係していた.

PMID: 21059668 [PubMed - as supplied by publisher]

2010年11月10日水曜日

コンピューター化された意思決定支援は患者が複雑な治療を決定するのを援助することができるか? 個別化された更年期decision-aidのRCT

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注意散漫のtomoriです.
要領悪いのに同時に物事を進めようとすることが諸悪の根源です.

さて,今日は更年期の治療におけるDecision-aidのRCTに関する論文を読みました.Decision-aidといえば,カナダのO'Connorさんのグループでしょう(おそらく).ランダム化や患者からの同意の取り方?(面会前のやり取りなので案外難しそうだけど)の記述が少ないような気がするが,介入や統計処理などの方法はちゃんと記述されていました.アウトカムはDecisional Conflict Scale(日本語訳あり),満足度(意思決定プロセス評価の満足度のサブスケールを抜粋? だからその評価が何か教えて欲しいところだけど),治療等に関する知識,であった.Decision-aid(ADOC)によって介入(OT)がどう変わるかというより,患者の意思決定や満足度がどう変わるのか,という検証が良いでしょう.だってADOCは意思決定における患者と作業療法士の共同作業を促すものだから.
ただ,この研究は患者と医者で意思決定をするんだろうけども,リハビリテーションの場合はチームで動き,リハビリテーションチームで目標設定を行います.そこは交絡因子になるでしょう.確実に.そこらへんの複雑な介入をシンプルにしていくようなデザイン(アイデア)が求められると思います.

Med Decis Making. 2007 Sep-Oct;27(5):585-98. Epub 2007 Sep 14.

Can computerized decision support help patients make complex treatment decisions? A randomized controlled trial of an individualized menopause decision aid.

コンピューター化された意思決定支援は患者が複雑な治療を決定するのを援助することができるか? 個別化された更年期decision-aidのRCT

Col NF, Ngo L, Fortin JM, Goldberg RJ, O'Connor AM.

Abstract
PURPOSE: To compare the effectiveness of an individualized decision aid (DA) with standard educational materials on decisions about menopausal treatments and to assess the feasibility of integrating this DA into clinical practice, with and without coaching.

目的:更年期の治療の意思決定における標準的な教材として個別化されたdecision-aid(DA)の効果を比較すること,そしてこのDAを組み込んだ臨床実践(コーチングのある場合とない場合)の実現可能性を評価すること.

METHODS: We conducted a 3-armed randomized controlled trial in 3 clinics, enrolling menopausal women between the ages of 45 and 65 years with primary care appointments. Of the 145 women included, 99 completed a 2-week follow-up. The control group received generic educational materials, 1 intervention group received an individualized computer-generated DA mailed to patients and their clinicians before clinic appointment, and the 2nd intervention group received the same DA along with coached care before clinic appointment (DA + CC). Decisional conflict, satisfaction, and knowledge were measured 2 weeks after clinic appointment.

我々は3つのクリニックで3つの?RCTを実施した.そして45-65歳で初期治療のアポをとった更年期の女性を登録した.145名の女性のうち99名は2週間のフォローアップを完了した.対照群は一般的な教材を受け,1番目の介入はクリニックでの面会前に患者と担当医に郵送された個別化されたコンピューターによるDAを受けた.2番目の介入はクリニックでの面会前に指導されたケアと一緒に同じDAを受けた(DA+CC).意思決定の葛藤,満足度,知識はクリニックでの面会の2週後に測定された.

RESULTS: Participants' mean age was 52 years, and 97% were white. Most women (98%) read all or most of the documents. Decisional conflict was significantly lower in both intervention groups but not in the control group. DA reduced decisional conflict from preintervention to postintervention (pre-post change) by 0.70 (SD = 0.56) points (on a 1-5 scale), compared to reductions of 0.51 (SD = 0.51) and 0.09 (SD = 0.44) for the DA + CC group and the control group, respectively. Satisfaction with the decision made was significantly higher at 2 weeks in the DA v. control group. Self-reported knowledge significantly improved in DA + CC compared to controls.

患者の平均年齢は52歳,97%は白人.ほとんど(98%)の女性はその資料を読めた.意思決定の葛藤は有意に両方の介入群で低かったが,対照群はそうでなかった.DAは介入前から介入後までの意思決定の葛藤を0.70±0.56点(1-5点の尺度)減少させた(pre-post change);DA+CC群は0.51±0.51,対照群は0.09±0.44.DA群と対照群を比較して,2週間の時点で意思決定の満足度は有意に高かった.DA+CC群は対照群と比較して自己申告型の知識は高かった.

CONCLUSION: Our decision aid lowered decisional conflict and improved patient satisfaction; adding coaching provided little additional benefit.

我々のDAは意思決定の葛藤を低下させ,患者満足度を改善した;指導を追加することの効果はわずかであった.

PMID: 17873260 [PubMed - indexed for MEDLINE]

2010年11月9日火曜日

脳卒中後1・5年後の間の主観的健康の変化:通常リハ vs 早期から継続した訪問リハのRCT

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生活改善計画中のtomoriです.

さて文献を読んでいきます.
個人的に非常に興味ある内容でした.回復期リハ病棟で臨床をしていた頃,退院後の患者さんを追っかけていて,特に退院直後の患者さんはストレスが高そうだったので,早期から訪問リハとタッグを組んで在宅復帰の支援ができれば効果あるだろうなぁと思っていました.

残念ながらこの研究では有意な差は認められていません.サンプルサイズが少ないこともありますが,このRCTで小分けにいろいろ論文を書いているようです.孫引きしてみます.


J Neurol Sci. 2010 Jul 15;294(1-2):86-8. Epub 2010 May 5.
Changes in perceived health between one and five years after stroke: a randomized controlled trial of early supported discharge with continued rehabilitation at home versus conventional rehabilitation.

脳卒中後1・5年後の間の主観的健康の変化:通常リハ vs 早期から継続した訪問リハのRCT


Ytterberg C, Thorsén AM, Liljedahl M, Holmqvist LW, von Koch L.
Karolinska Institutet, Department of Neurobiology, Care Sciences and Society, Division of Physiotherapy, Fack 23 100, 141 83 Huddinge, Sweden. charlotte.ytterberg@ki.se
Abstract

BACKGROUND: Early supported discharge with continued rehabilitation at home (ESD) for patients with mild to moderate impairments has been compared to conventional rehabilitation in a randomized controlled trial. The aim of this study was to explore changes over time in perceived health status over the five years after stroke onset.

軽度〜中等度に障害のある患者に対して,継続した在宅リハを早期からサポートした退院(ESD)を,RCTによって通常のリハ(デイケアでのプログラム)と比較した.本研究の目的は,脳卒中発症から5年間の間,主観的(perceptive)健康状態の変化について調べることである.


METHODS: Of 83 patients enrolled in a randomized controlled trial of ESD compared to conventional rehabilitation, 50 (home rehabilitation group, n=28, conventional rehabilitation group, n=22) were followed up at one and five years after stroke with regard to perceived health using the Sickness Impact Profile. The Mann Whitney U-test was employed for statistical analysis of differences between the groups at one and five years, and the Wilcoxon sign test for differences within each group between one and five years.

ESDと通常のリハを比較するRCTに登録した83名の患者のうち,50(在宅リハ群 n=28,通常リハ群 n=22)は,脳卒中から1年後,5年間にSickness Impact Profileを用いて主観的健康に関してフォローアップされた.1年後と5年後に両群間の差についてMann Whitney U-test,群内の差についてはWilcoxon sign test を適用した.

RESULTS: There was no difference in perceived health between the groups at one or five years after stroke with regard to SIP total and the physical and psychosocial dimensions. Perceived health did not change significantly between one and five years in the home rehabilitation group whereas it had deteriorated significantly in the conventional rehabilitation group (p=0.05).

Sickness Impact Profileにおける総合的,身体的,心理社会的側面に関して,脳卒中から1年,5年後の両群間の主観的健康に差はなかった.通常リハ群は1年後,5年後の主観的健康が有意に悪化したにもかかわらず(p=0.05),在宅リハ群に有意な変化は認められなかった. 

CONCLUSIONS: We conclude that the long term outcome with regard to perceived health status is more favourable after ESD than after conventional rehabilitation. Our results suggest that the environment is a key component to be considered in the rehabilitation process of stroke patients.

主観的健康状態に関する長期的なアウトカムは,ESD後のほうが通常リハ後より良好である.本研究の結果から,脳卒中患者のリハプロセスを考えるには環境が重要な構成要素であると推察される.

2010年11月8日月曜日

研究をするときの参考文献の探し方

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涙もろいtomoriです.
ちなみに昨日は教え子(新婦)の結婚式で,初対面の新郎の挨拶で泣きました.


さて,卒論の時期なので参考文献の探し方について.

今朝はADOCの研究のために以下の論文を読みました.

大腸がん検診に関してあまり教養がない成人に対してインフォームドチョイスをサポートするためのDecision-aid:RCT

メモ;ADOCはクライエントを意思決定に参加させること,より良い作業選択(インフォームドチョイス)をすることが目的ですから,本当にその目的が果たせるかどうか,このようなRCTで検証してもいいでしょうね.ネガティブな結果が出たときにも参考になる書き方です(笑).この論文で参考にしているoutcomeや統計処理も参考になります.


以下,文献の読み方.
ボスから教えてもらった文献検索についてまとめてみます.臨床のための論文を探すということは,目の前の患者さんや自分の専門領域と近い論文を探す必要がありますが,研究をするための論文を探すというのは,まず自分の似たような方法論を探すことだと思います.それをベースに客観的で再現性の高い方法論を組み立てていきます.自分の分野で似たような研究がされてなければ,他の分野からとってこないといけません.ポイントは検索の時に「方法論」にこだわって検索することです.自分の「分野」にこだわってはいけません.ボクも今朝読んだ論文は大腸がんです.でも方法論は非常に参考になりました.作業療法分野の研究は他分野と比べて明らかに遅れています.そう自覚していれば積極的に他の領域から取り入れようとするはずです.もちろん作業療法士であることを忘れるわけではないですが,現状では,作業療法の領域にこだわってはレベルの高い研究できませんし,文献もヒットしません.

もう一つは,ヒット数が多くなるように検索をかけていきます.学生はだいたい,「文献探したけどありませんでした」と言います.ダメ学生だった自分の経験から分かるのですが,明らかに文献を読みたくないときの言い訳です.検索したけど無いというテーマだと,考察が書きにくくなります.つまり,自分のデータだけでは弱い主張しかできないので,主張の裏を取る意味でも,他の人の論文を補足的に引用しないといけません.検索したけど無いというテーマだと,それができません.

検索したけど無いという場合は以下の場合です.
 1)和文のみ検索している
 2)難しいから誰もやっていない
 3)誰も興味がない
 4)天才が偶然に見つけた新しい発見

ほぼ1〜3です.まず和文を参考にしていては良い方法論を参考にできません.

例えば,pubmedで
"Occupational therapy" and "Decision-aid" だと0件です.
"rehabilitation" and "Decision-aid" だと7件です.
"Decision-aid"だと513件です.
これをベースにRCTやメタアナリシスでlimitをかけていくと121件ですので,これを読んでいきます.おおよそ100件くらいひっかかれば読んでいいだろうという範囲だと思います.20件くらいだと少なく,300くらいだと多いかもしれません(根拠はないけど)

自分もそんなにできないので,
自分を叱咤激励したブログになってしまいました(笑)



以下アブストラクトの翻訳.

目的;低い教養や知識の成人のためにデザインされたdecision-aidが,大腸がんの検診に関する意思決定への参加やインフォームドチョイスをサポートすることができるかどうか検討すること.
デザイン;RCT
Setting; 社会経済的に不利なオーストラリアのNew South Wales 地区(低い教養,高い失業率,未熟な職業)
参加者;572名(年齢 55~64歳,低い教養,大腸がん検診資格者)
介入;紙ベースの対話型のブックレット(質問プロンプト(ユーザーに入力や操作を促すメッセージのこと)リストあり/なし)とDVD.これには大便潜在血液検査をした場合のポジティブな結果としなかった場合の結果のリスクが量的に示されている.対照群は,オーストラリアの全国大腸がん検診のプログラム用に開発された標準的な情報を受けた.全ての材料と大便潜在血液検査キットは人々の自宅へ直接送られた.
Main Outcome;インフォームドチョイス(適切な知識,意向と検診行動の一貫性),検診の意思決定への参加の選択.
結果;Decision-aidを受けた参加者は対照群に比べて高い知識レベルだった;Decision-aid群の平均スコア(最大12点)は6.50(95%CI 6.15-6.84),対照群は4.10(3.85-4.36; P<0.001).検診に対する意向はDecision-aid群でポジティブではなく,良好な意向を示している参加者は51%で,対照群は65%だった(14% difference,95% IC 5-23%; P=0.002 ).検診参加率はDecision-aid群で低下した;大便潜在血液検査の完了は59%と75%だった(16% difference 8-24%; P=0.001).Decision-aidはインフォームドチョイスした参加者の割合を,対照群12%から34%に増加させた(22% difference, 15-19%, P=0.001).Decision-aid群では対照群と比較して,大腸がん検診の意思決定に関する葛藤(decisional conflict)が無かった(51%,38%; P=0.02).両群とも一般的な不安や大腸がんの心配について差はなかった.
結論;調整した意思決定支援情報は,低い教養レベルの成人に対して,大腸がん発症に関する心配や不安を増加させることなく,大便潜在血液検査に関する意思決定への参加やインフォームドチョイスをサポートすることに有効的である.しかしながら,インフォームドチョイスするためのDecision-aidを使用することは検診への取り込みを低下させるかもしれない.
Trial registration ClinicalTrials.gov NCT00765869 and Australian New Zealand Clinical Trials Registry 12608000011381.
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