我が家の三女ですが,アンパンマンを見て反応し,やっとクリアに発音できるようになってきた単語が,「バカ」と「イヤ」なのが少し気になっています(笑).tomoriです.
さて,無事に終わりました〜.第2回日本臨床作業療法学会.2月の沖縄というシチュエーションにも関わらず,今年も多くの方にご参加いただきました.個人的には,これまで参加した学会の中で,最も多くの示唆を得ることができました.まぁ,タカシくんと3日間一緒だったというのも大きいが(笑)
さて,僕は特別講演を仰せつかりました.何を話そうか迷いましたが,テーマが「作業療法のこれから−共創−」だったので,僕が参加者に期待すること,そして学会の方向性などについてお話させていただきました.今回は,その内容を少し紹介させてください.
僕が作業遂行に焦点を当てるという「感覚」を知ったのは,学生の頃にたまたま読んだ,この対談の記事でした.かなりオススメで,17年たった今でも,迷ったら読み返しています.色あせない僕のバイブルです.
その中で,この言葉と,人ー環境ー作業モデルの図がありました.そして,作業と言えば手工芸,リハと言えば機能訓練という時代に,これからの作業療法はこうあるべきだと,なぜか確信に近い感情を抱いたものでした.幸いなことに,それ以来,作業療法とは何だ?という悩みはそこまで無かったように思います.
2000年あたりから,先人たちのお陰で,世の中は少しずつ変わってきました.少しずつですが,臨床で作業が取り扱われるようになりました.クライエント,作業療法士と,その力を実感できるようになりました.
それでもなお,全国各地で,「これで大丈夫なのか」と迷いながら,細々とOBPを実践されてる方々が,「これでいいんだ」と安心して発表でき,発表を通してさらにエンパワメントできる場を創りたい.そして,発表を見た参加者が,自分も単に参加するだけでなく次は発表に挑戦してみたい!と思えるような場を創りたい.そんな思いから,澤田さんを会長に,「日本臨床作業療法学会」は誕生しました.
また教育も変わってきました.授業で実際のクライエントに来てもらい,面接−観察−作業遂行分析といったことが行われるようになりましたし,ADOCやCOPMなんかを使って臨床実習から面接ができるようになりました.そして事例本(笑) 実践をレジメにまとめる流れなんかも出来てきたと思います.
さらに,脳卒中後の麻痺の回復は6ヶ月という定説も,少しずつ塗り替えられています.しかも,そのCueは作業だったという... 作業が持つパワーの新たな側面,いや昔から感覚的に分かっていたことが,少し科学的に分かってきたという表現が適切かもしれませんね.
ちょうどタイミング良く,生活行為向上リハも新設されました.なぜか保守的なわが国も,介護保険だけは「走りながら考える」ということが横行してますが(笑),でも作業に焦点を当てた実践に点数がつくという,夢のまた夢ということが現実になりつつあります.でもこれはちゃんと検証していきたいですね.
これらいろんなことを総合的に考えて,いま,作業に焦点を当てた実践に追い風が吹いていることは,紛れも無い事実だと感じています.
作業あるいは作業遂行を取り扱うということは,もともと不確実性が高い医療の中でも,No.1ではないでしょうか.不確実性が高いということは,予測が立ちにくいということで,当たるも八卦当たらぬも八卦ということです.どうなるか確約はできませんが,作業療法やってみますか?ということですね.
でも,作業遂行に焦点を当てた実践には,クライエントの多様性に対応できる,という大きな大きな特徴を持っています.
それまで医療がないがしろとまでは言いませんが,光があたって来なかった部分でもあります.これから,客観性・科学性を担保しつつ,CLの個別性を支援することが求められます.先に紹介した対談でも,「あなた方は医師や医療のモデルとの関係から,優雅に,そつなく,外交的に離れていく決心が必要です」と書かれています.僕はこの言葉が大好きで,エレガントに程良い距離を保っていきたいと思います.僕にエレガントは無理か(笑)
でも,去年オクスフォード大学による調査が発表され,20年後には,700くらいある今の仕事の47%はIT化されるのでは?という前置きで,消えにくい職業として,6位に作業療法が位置付けられています.もちろん方法もよく分からず,鵜呑みにするわけではないです(僕は作業療法は無くならないかもだけど,作業療法士として失業する人は多いと思っています).それを前提に,複雑なものを扱う作業療法は人にしかできない仕事なんだろうなと思います.
未来はどうなるのか... 不安になりますね.でも僕はアラン・ケイのこの言葉が好きです.
では,こんな将来に向かっていくために,自分は何をすればいいのだろうか,考えてみよう,というのが本日のテーマ.
安心して発表できる場を創りたい!という参加型学会もそれなりに成果を残しています.
全国でOBPもできるようになってきました(患者さんのスライドなので省略)
そして,全国で勉強会も立ち上がってきました(本学会に直接関係はないですがww)
そこで,What's next? です.あなたは次何をしますか?
学会発表はゴールではありません.まだ発表経験がない方は発表してみて欲しいしけども,1回大会2回大会で発表された方は,より学術的な内容を充実していって欲しいと思います.一応本学会の学術部の長として,その責任を改めて実感しました.これからも自分にできること,得意なことに取り組んで行きたいと思います.シンポジウムの中で,理事の籔脇先生からは,まず先行研究をしっかり抑えたうえで,研究の新規性や作業療法への貢献を述べて欲しいと訴えていました.自分の思いから,だけではなく.
学会としてのWhat's nextですが,来年は研究に特化したセッションを作り,より高いレベルでディスカッションできるようにしようと話していました.一応本学会も,ちゃんと研究のディスカッションをできるリソースは揃えています(笑)また,
研究法セミナーも引き続き開いていきたいと思います.学会発表した方は,ぜひ
論文としてまとめることもご検討ください.また企画段階ですが,研究者と臨床家がリンクできるようなシステムも創れればなと思っています.
また,OBPですが,幾つかセミナーを開催しようか,ということになっています.面接とか,機能訓練とか,作業遂行分析とかもいいですね.テーマはまだ未定ですが,OBP関連のセミナーを企画しています.
セミナーと一緒に,OBPを実際にやってる施設見学なんかも面白いね,と話しています.百聞は一見にしかずといいますし,実際やってるところを見ることで,イメージがつきやすくなると思います.
あと学会とは関係ないですが,事例本の第2弾となるマネジメント本の企画が通りました! OBPをどうやって運営しているのかとか,実践例を集めてみたいと思います.これについては,別で詳しく書きたいと思います.
あと,CCSのように,経験チェックリストのようなものを作ろうか,という企画もあがりました.座学−臨床実習−新人教育...と同じ体験リストがあれば,首尾一貫した教育になるのかな,という期待を込めて...
勉強会については,チームとして目標や成果を考えて欲しいと提案しました.ただ集まって事例を検討して終わり,というところからのWhat's nextです.もちろん集まることにも十分意義があります.でも,知恵を出し合えば,今よりも,もっと良いことができるはずです.ぜひ,目標指向的に活動してもらえればと思います.
What's next? あなたは明日から何をしますか? そう問いかけて,僕の講演は終わりました.
学会全体として,成果や課題が見えた非常に有意義な3日間でした.
分科会からの〜
全体会
優秀賞の表彰式(お一人飛行機の関係でいませんww)
最後になりますが,沖縄の実行委員の皆さま,ありがとうございました!
来年は,蒲田にある,東京工科大学で開催予定です.詳しい日程は後ほど.
沖縄と違ってアクセス最高ですので(笑),ぜひ多数のご参加をお待ちしております!
最後まで読んで下さり,ありがとうございました〜