2017年8月18日金曜日

保育所・幼稚園での作業療法に関する共著論文がアクセプトされました

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夏休みなので,僕以外の家族は実家へ帰省していますが,電話で三女に代わってとお願いしたとき,何か嫌がっていて,あとでカミさんに「だって何しゃべっていいか分からない」と耳打ちしていたようです.tomoriです.あぁ神よ,僕を救い給え.


さて,自分の子供からは好かれてないのですが,発達領域には興味をもって活動しています.これから発達領域は伸びてくると思います.少子化なのに特別な支援を要する子どもたちは増えてますし,その対応に教育現場も非常に困っています.



ですが過度な教育の医療化はちょっと僕も危惧しています.沖縄国際大学の知名 孝 准教授.僕も宮古島でお会いしましたが,とても素敵な先生でした.知名先生の記事から引用させていただきます.

多くの現場の先生が「アスペルガーと診断された子どもの対応を教えてください」という質問を、多くの「専門家」と呼ばれる先生方に尋ね歩く現状があるわけです。「診断」という医療の営みが、学校の先生の「考え・試して・発見する」機会を奪っている(思考・試行停止)状態を招いているとも考えられる状況です。

と書かれています.これは僕が実際に教育現場で感じたことでもありますし,先生がたの試行錯誤を応援するために,僕ら外部専門家が存在していると思います.で,具体的な関わりとしては,やはり障害ではなく作業に焦点を当てた実践が有効であると実感しています.ですが,実感だけではダメなんです.実感だけではこちらの思い込みでしかありません.

なので研究が必要です.その思いを共有し,

代表理事 作業療法士 山口清明(やまぐちさやか)

さんと一緒に行った研究結果をまとめた共著論文が,このたび学術誌「作業療法」にアクセプトされました.一昨日の通知で,パブリッシュはまだだいぶ先だと思うので,とりあえず現時点の抄録を載せておきます.


幼稚園・保育園でのコンサルテーション型作業療法の効果検証に向けた試験的研究

 幼稚園や保育園でのコンサルテーション型作業療法の効果検証に向けて,介入前後比較を試験的に実施した.対象は幼稚園教諭2名と保育士5名で,先生が選択した未診断だが気になる園児7名に関して合計3回のコンサルテーションを実施した.その結果, ADOC for schoolで特定した作業において,COPMの遂行度及び満足度の向上(p=0.016-0.028, r=0.83-0.93),Goal Attainment Scalingの目標到達度(p=0.014-0.017, r=0.83-0.93)において有意な改善が認められた.General Self-Efficacy Scaleに有意差は認められなかった(p=0.129, r=0.58).群内前後比較におけるサンプルサイズは8〜12名だった


サンプルサイズは少なく,これを例数増やしたら結果が変わる可能性は十分にあります.試験的研究なので,もちろん課題だらけです.ですが,発達領域ではpre-postの研究がかなり少ないのが現状です(これも作業療法でレビューした論文がもうすぐ載ります).そして,たった3回のコンサルで効果量(r)0.8とは「あんたら何したんねん」という感じですよね(笑)

この,3回いうのが大切なんですよ.だって上に書いたとおり,特別な支援が必要な子どもの数は,特別支援学校 約13万人,特別支援学級 約17万人,通級 約7万人,通常小中学校 5.6%で,特別支援教育に携わる作業療法士はわずか300名ほど(今はもうちょい増えているかも).だれがどーやって対応するんねん,て話です.また,過度に関わりすぎると色々と依存関係になりがちです.少し回数が少ないほうが,逆に自立を促したりしますからね.

あと,ADOC-SとGASを使って,コンサルというなんとも曖昧すぎる方法を,少しシステマティックにしています.これも学校作業療法を職人芸に終わらせないための方策でもあります.

まー,そんなこんなで,発達領域の作業療法を少し盛り上げていかんばと勝手に思っています(笑) どうぞご指導のほどよろしくお願いいたします.



最後まで読んでくださりありがとうございました.



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