さて,長崎,名古屋,滋賀,兵庫,浜松と研究打合せをしてきました.
その中で,興味深い取り組みをしていた近江温泉病院を紹介したいと思います.
以前作った僕のスライドと一緒に説明をしたいと思います.
早期からの関わり
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回復期リハ病棟では,効率的・実際的なADL支援が求められます.
そこで昔から回復期リハ病棟では早期からの関わりが重要だと思っていました.
従来は,入院時にMRIの画像を見ながら「機能面」の予後予測に基づいた目標を決め,
とりあえず機能訓練や病棟ADL訓練をしていきながら,
機能回復がある程度プラトーに達してきたら退院日宣告をして,
そこから自宅を見に行き,外泊などしてもらい,退院という感じが多いと思います.
これでは追い出される感じですよね.
僕の理想としては,まず患者さんと家族の自宅での生活に関する希望を確認して,
OTだけでもいいので自宅を見に行き,心身機能ではなく「ADL」の予後予測をします.
その後チームで目標設定し,分担してADL訓練を行うと同時に
家族も巻き込んで早期から外泊を行ってもらいます.
外泊で出来なかったことをフィードバックしてもらい,病棟で訓練します.
そうすると,患者さんも家族も納得して退院することができると思います.
これはあくまで僕の理想像だったんですが,
近江温泉病院ではそれ以上取り組みをしていました.
まず入院前の申し込み時点において,
部長が全ての患者さんの自宅が入院している急性期病院を周り,
今後の確認や情報収集を行うようです(事前訪問).
また地域の急性期病院(法人は別)と連携してパスを作っているそうです.
勝負は入院前から始まっているのですね.
入院後は,すぐに多職種で合同評価を行うとともに,
入院1−3週のうちにOTとワーカーさんが自宅や自宅周辺を見に行くそうです.
自宅環境だけでなく,介護者やキーパーソンなどのソフト面もしっかりと評価できますね.
ADL偏重ではない
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でもだからといって近江温泉病院はADL偏重ではないのです.
ほとんどの患者さんに,OTがCOPMを取るそうです.
またAMPS認定者が一人いるので,その方に観察評価をお願いしているようです.
でもそれでは回らないとのことで,AMPS講習会を依頼して,
次のゴールデンウィークに開催予定だとか(笑)
これからOTはトップダウンで関わっていくとの方針とのことです.
そのような情報収集後に,「いつまで」の時間を意識しながら目標設定し,
病棟ADL訓練や外出訓練,住宅改修を行うそうです.
OT室もバリエーション豊かでした.
沢山の手作りの訓練道具,福祉用具,手工芸はもちろん,陶芸もしているそうです.
「昔のOTはアクティビティを通して身体機能を高めるということもはよくしていたけども,今はぜんぜんだよねー.自分の腕で直すって感じで.PTから習いすぎたよね」と部長さん(OTです)と話していました.
これだけでもすごいなあと思っていましたが,
なんと月1回のカンファレンスは,患者さん本人,家族が同席だそうです.
これにはホントびっくりしました.
周りのスタッフは,え? 当たり前じゃないの?って顔していましたが.
当たり前じゃないっつーの(笑)
他にも工夫はいろいろとありましたが,長くなるので次にいきます.
退院後しばらくは支援が必要
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退院がゴールって思っているOTも少なくないと思います.でも退院後の調査をしていた僕は分かるのですが,
退院直後の患者さんや家族はとても大変な思いをしています.
しばらくは支援が必要なんです.
なので,確認だけでもいいから,訪問リハを入れることが理想的だと思います.
もちろん近江温泉病院では多くのケースに訪問が入っているようでした.
入院時から連携をして,退院後しばらくは入るそうです.
訪問からのフィードバック
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病棟ADLは自宅でのADLの為に行うと思われますが,
退院後に実際にできているかどうか確認している方はそう多く無いと思います.
特にだれでも外来にくることができなくなったので.
これでは,問題ばかり解いて答え合わせをしない学習方法と一緒ですよね.
自分のしたことが合ってるか合ってないか分からないまま.
そこで訪問ですよね.
もちろん近江温泉病院では,訪問スタッフも病棟スタッフと同じスタッフルームで,
教育係としていつもフィードバックしているそうです.
これで病棟ADL訓練の質も上がるでしょうね.
ちなみに近江温泉病院の自宅復帰率は90%程度だそうです.
まとめ
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早期から目標を立てて取り組み,退院後もフィードバックが入るようにする.
それが効率よいADL向上を図るための近道だと思います.
そのために訪問リハを取り入れていくというのが,
個人的には理想の回復期リハ病棟かなと思っています.
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