2010年11月8日月曜日

研究をするときの参考文献の探し方

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涙もろいtomoriです.
ちなみに昨日は教え子(新婦)の結婚式で,初対面の新郎の挨拶で泣きました.


さて,卒論の時期なので参考文献の探し方について.

今朝はADOCの研究のために以下の論文を読みました.

大腸がん検診に関してあまり教養がない成人に対してインフォームドチョイスをサポートするためのDecision-aid:RCT

メモ;ADOCはクライエントを意思決定に参加させること,より良い作業選択(インフォームドチョイス)をすることが目的ですから,本当にその目的が果たせるかどうか,このようなRCTで検証してもいいでしょうね.ネガティブな結果が出たときにも参考になる書き方です(笑).この論文で参考にしているoutcomeや統計処理も参考になります.


以下,文献の読み方.
ボスから教えてもらった文献検索についてまとめてみます.臨床のための論文を探すということは,目の前の患者さんや自分の専門領域と近い論文を探す必要がありますが,研究をするための論文を探すというのは,まず自分の似たような方法論を探すことだと思います.それをベースに客観的で再現性の高い方法論を組み立てていきます.自分の分野で似たような研究がされてなければ,他の分野からとってこないといけません.ポイントは検索の時に「方法論」にこだわって検索することです.自分の「分野」にこだわってはいけません.ボクも今朝読んだ論文は大腸がんです.でも方法論は非常に参考になりました.作業療法分野の研究は他分野と比べて明らかに遅れています.そう自覚していれば積極的に他の領域から取り入れようとするはずです.もちろん作業療法士であることを忘れるわけではないですが,現状では,作業療法の領域にこだわってはレベルの高い研究できませんし,文献もヒットしません.

もう一つは,ヒット数が多くなるように検索をかけていきます.学生はだいたい,「文献探したけどありませんでした」と言います.ダメ学生だった自分の経験から分かるのですが,明らかに文献を読みたくないときの言い訳です.検索したけど無いというテーマだと,考察が書きにくくなります.つまり,自分のデータだけでは弱い主張しかできないので,主張の裏を取る意味でも,他の人の論文を補足的に引用しないといけません.検索したけど無いというテーマだと,それができません.

検索したけど無いという場合は以下の場合です.
 1)和文のみ検索している
 2)難しいから誰もやっていない
 3)誰も興味がない
 4)天才が偶然に見つけた新しい発見

ほぼ1〜3です.まず和文を参考にしていては良い方法論を参考にできません.

例えば,pubmedで
"Occupational therapy" and "Decision-aid" だと0件です.
"rehabilitation" and "Decision-aid" だと7件です.
"Decision-aid"だと513件です.
これをベースにRCTやメタアナリシスでlimitをかけていくと121件ですので,これを読んでいきます.おおよそ100件くらいひっかかれば読んでいいだろうという範囲だと思います.20件くらいだと少なく,300くらいだと多いかもしれません(根拠はないけど)

自分もそんなにできないので,
自分を叱咤激励したブログになってしまいました(笑)



以下アブストラクトの翻訳.

目的;低い教養や知識の成人のためにデザインされたdecision-aidが,大腸がんの検診に関する意思決定への参加やインフォームドチョイスをサポートすることができるかどうか検討すること.
デザイン;RCT
Setting; 社会経済的に不利なオーストラリアのNew South Wales 地区(低い教養,高い失業率,未熟な職業)
参加者;572名(年齢 55~64歳,低い教養,大腸がん検診資格者)
介入;紙ベースの対話型のブックレット(質問プロンプト(ユーザーに入力や操作を促すメッセージのこと)リストあり/なし)とDVD.これには大便潜在血液検査をした場合のポジティブな結果としなかった場合の結果のリスクが量的に示されている.対照群は,オーストラリアの全国大腸がん検診のプログラム用に開発された標準的な情報を受けた.全ての材料と大便潜在血液検査キットは人々の自宅へ直接送られた.
Main Outcome;インフォームドチョイス(適切な知識,意向と検診行動の一貫性),検診の意思決定への参加の選択.
結果;Decision-aidを受けた参加者は対照群に比べて高い知識レベルだった;Decision-aid群の平均スコア(最大12点)は6.50(95%CI 6.15-6.84),対照群は4.10(3.85-4.36; P<0.001).検診に対する意向はDecision-aid群でポジティブではなく,良好な意向を示している参加者は51%で,対照群は65%だった(14% difference,95% IC 5-23%; P=0.002 ).検診参加率はDecision-aid群で低下した;大便潜在血液検査の完了は59%と75%だった(16% difference 8-24%; P=0.001).Decision-aidはインフォームドチョイスした参加者の割合を,対照群12%から34%に増加させた(22% difference, 15-19%, P=0.001).Decision-aid群では対照群と比較して,大腸がん検診の意思決定に関する葛藤(decisional conflict)が無かった(51%,38%; P=0.02).両群とも一般的な不安や大腸がんの心配について差はなかった.
結論;調整した意思決定支援情報は,低い教養レベルの成人に対して,大腸がん発症に関する心配や不安を増加させることなく,大便潜在血液検査に関する意思決定への参加やインフォームドチョイスをサポートすることに有効的である.しかしながら,インフォームドチョイスするためのDecision-aidを使用することは検診への取り込みを低下させるかもしれない.
Trial registration ClinicalTrials.gov NCT00765869 and Australian New Zealand Clinical Trials Registry 12608000011381.

2 件のコメント:

  1. tomoriさん ご無沙汰しています。
    文献検索ですね。 大変参考になりました。
    またTRYしてみようと思います。
    ありがとうございます。

    返信削除
  2. yasuさん

    ご無沙汰です! ちょっと研究に偏った検索の仕方ですので,
    もし臨床で使いたいという場合にはまた聞いてください.

    返信削除

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