2017年12月23日土曜日
日本臨床作業療法研究 2017年の総括
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僕が編集委員長をつとめている,学術誌 日本臨床作業療法研究 ですが,おかげさまで,2017年は11本の論文を掲載することができました。
投稿者,編集委員,査読者,事務作業を担ってくれた大野さん,事務局の鈴木さん,文明堂印刷,多くの関係者に感謝申し上げます。
オープンアクセスなので,どなたでも閲覧可能です。発刊から4年が経ち,少しずつですがレベルも上がってきたように思います。
多田先生の,ハンドセラピィを受ける患者が体験する信念対立 では,質的研究で,事例ーコードマトリクスや理論的飽和率を採用していて,参考になると思います。内容的にもしっくり来る感じで,これこそ質的研究のお手本のような印象を受けました。
今井先生の,発達障害児に対する集団的作業療法の効果検証に向けた試験的研究─放課後等デイサービスにおける実践-では,いま社会的に課題となっている放課後デイでの取り組みについて,集団だけども個別の課題について取り組むという,今は無くなりつつある「昔ながら」の作業療法の良さを取り入れたケースシリーズで,これも読み応えあるかなと思います。
北橋先生の,ACE(Assessment of Client’s Enablement)を 使用したことでクライエントと作業療法士の 協働が促進された事例では,新しい評価法であるACEの初めての報告で,クライエントと作業療法士の認識のギャップを埋めるきめ細やかな実践が描かれています。
その他も興味深い報告がありました。ありがとうございます。
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また今年から新しい企画で,依頼原稿をはじめました。1回目は,田中寛之先生らに「重度認知症における評価について」というテーマでお願いしました。
重度認知症者の,認知機能,ADL,BPSD,QOLの捉え方と評価尺度に関する国内外の多くの文献をまとめてくださって,読者にとても参考になる内容になっております。僕もオススメしますので,是非ご一読ください。
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今年から新たに,作業療法学生(学部生)であっても,①内容的に見劣りしないこと,②会員が共著者としてしっかり指導してくださること,の条件がクリアした場合に投稿を受け付けることとしました。
ただ年間2本程度の掲載の予定なので,今年度はもう締め切りです。来年から募集の仕方を考えます。
その他にも査読の運用など,質と量の維持向上のために,色々と細かい工夫を続けています。今後とも皆様の作業療法実践に役立つような論文を掲載していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
2017年12月16日土曜日
ポートフォリオ
とうとう娘たちが3人結託して、「サンタさんにテレビをお願いする!」と団体交渉されています。tomoriです。次女が「だってサンタさんに頼めばパパのお金が減るわけじゃないか」とか可愛いことを言い出すので気持ちが揺らいでいます(笑)
さて、つれづれなるままに、土曜の朝の3時になんか書こうと思ってiPadを手にしたわけで、特に書きたいことがあるわけではないのですが…
えーっと、いましている仕事は、つぎの日曜日に推薦入学者(つまり高校生)と、その保護者に大学に来ていただくガイダンス、の準備です。要は入学するまでの3〜4ヶ月を準備期間として有効に活用して下さいね、という目的で開催されるらしいです。通常は普通の模擬講義で終わりらしいのですが、既にオープンキャンパスで5日全て模擬講義したのと(笑)、まぁ「どうせやるなら楽しく意味があるものに」がモットーな僕としては、張り切って解剖、生理学のプリントをせっせと人数分印刷し、リングファイルを人数分購入して、パーソナルポートフォリオを作ってもらう予定です。
ポートフォリオは、自分の目標に関して自分がやってきたこと、関連する情報、写真などを一つのファイルにただ挟んでいくだけのものです。ですが、それをパラパラとめくるだけで、その人が目標に対してどういうプロセスを歩んで来たのかが分かるように、まぁ本人のモチベーションがキープするために作るものです。テストって満点から減点することで本人の能力を測定しますが、ポートフォリオは目標指向的に、自分の経験値を足していくプラスの評価なんですよね。やれば加算されていくというか。なので専門職という一生学び続けないといけないような僕たちにはピッタリのツールです。僕自身も作っています。
ポートフォリオは、普段の科目の評価や、次回からの臨床実習でも導入予定なので、早めに慣れてもらうためにも良いのかなと。卒業試験や就職時の面接でも、ポートフォリオを介して自分のやって来たことやキャリアなどを説明できるようになればいいなぁと思います。
ではでは。つれづれなるままに終わります。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
2017年12月2日土曜日
日本一の作業療法学科を創る
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もう12月ですね〜。思えば宮古島で3/30まで働き、4月から娘2人との生活で東京工科大学の仕事がスタート。澤田さんや多くの皆さまに支えられ、教員の仕事ってやっぱ面白いなとしみじみ感じています。多くの方にご迷惑をかけてしまいましたが、この場に立たせていただいてることに、心から感謝します。
さて、5月ごろかなぁ。澤田さんが「日本一を目指そう」と学生に言ってました。それを聞いて、うーん私立やし、偏差値高くないし、定員埋まってないし、大学院もないし、業績も少ないし… て,普通思うじゃないですか。でもイムス板橋をゼロから立ち上げ日本有数の病院と名を広めるとこまで持っていった澤田さんの事やし、ん? あれ? もしかして? できるかもしれない?と思い始め(笑)、そうなると僕も日々の仕事の全てを妥協することが出来ず、どうすれば日本一になれるのかなーと模索して,気づけばもう12月。
受験者は国公立に受かったら絶対にそっちに行くので、もちろん偏差値とかでは一生敵いません。でも何の日本一を目指すかでハードルは全然異なります。例えば、申し訳ないけど栃木県。かんぴょうの生産は日本一で、なんと国内生産量の95%を占めるそうです(笑)また世界幸福度指数で言えば、一位はノルウェーで、日本は51位だそうです。日本のIQの高さは世界3位、GDPも未だに3位なのに、幸せを感じることは出来ないんですね。
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じゃ何のモノサシで日本一を測るのか? まだ具体的な目標設定はしていませんが、シンプルに「作業療法」の教育、研究、社会貢献、で良いと思っています。フツー(笑)栃木のかんぴょうほど重箱の隅でもありません。ですが「作業療法の」がポイントですかね。作業療法にこだわることで、活路は見いだせると思っています。作業療法で面白いことやりたいという人や面白いアイデアが集まるような,オープンな大学になるといいなと思います。
もちろん今は最底辺です。他大学さんがどこも輝いて見えます。でもなんか良いですよね。日々修行ですが,毎日楽しいです。昨日スキマスイッチの「全力少年」を聞いて改めてそう思いました。視界は澄みきってます。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
どうぞ今後ともよろしくお願いします。
2017年11月24日金曜日
ADOC 英語圏バージョン リリースです!
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先日,ADOCがアップデートされました!!
兼ねてからオタゴ大学(NZ)のDr.Leveck,北里大学の髙橋教授と一緒に検討していました,ADOCのEnglish country versionです。
ADOCは95項目ですが,日本舞踊やら,華道やら,日本文化独自のイラストもあったので,それを英語圏の国に適用させました。
一応,この改良も研究として取り組んでいます。
アメリカ,オーストラリア,イギリス,ニュージーランド,カナダに在住する作業療法士にデルファイ法にて項目やイラストについて意見をもらい,修正を加えました。合計4回のラウンドで,概ね100項目に落ち着き,イラストもコンセンサスが得られました。
その後,ニュージーランド在住の患者さん15名ほどを対象に,イラストの表面妥当性を確認しました。概ね良好でした。
現在,英文のジャーナルに投稿中です。
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変更の手順です。
iPadの言語を英語に変更することでEnglish versionが使えます。以下手順です。

iPadの設定→一般

Englishを選択。インドもある。

食事はステーキへ変更(笑)
入浴は浴槽からシャワーへ
・エイドやメガネなどを使用する
・眠る
・リラックスする
など新しく追加です。

・ジムへ通う
・ウォータースポーツ
・ウィンタースポーツ
は新しく追加
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注意点もあります。
これは前からなんですが,日本語で保存していたものを英語で表示する,英語で保存したものを日本語で表示する,と,ややバグることがあります。ですが,普段このような使い方をする人はいないだろうな,と思って,特に修正はしていません。ご注意ください。
アメリカとかオーストラリアとか,お知り合いがいましたら,勧めて下さい(笑)
では,今後ともADOCをどうぞよろしくお願いいたします.
最後まで読んでくださりありがとうございました。
2017年11月19日日曜日
研究本,書きます。
事例本シリーズ第三弾は…?
さて「作業で語る事例報告」,「作業で結ぶマネジメント」に続く三作目が決まりました。
テーマ「研究法」です。

作業療法で「研究」と聞くと,どこか急所を突かれているようで,重要だとみんな分かっていながらも,後回し後回しにされてきたテーマですが,今こそ機は熟した!と思い,企画しました.
作業療法の実践は,クライエント中心,作業中心,環境や文化への適応といった多様性や個別性を重視する反面,どうしても不確実的要素を伴います.
一般的に良い研究,エビデンスレベルが高いとされる研究は,この不確実性を可能な限り排除したものであり,従来の研究法ではこの作業療法の不確実性を除くことに限界がありました.
やけに質的研究が流行った時期もありました。
しかし近年,広く多領域を見渡すと,この不確実性の扱いについて,まさに「パラダイム・シフト」が起きようとしています.
統計手法では,ベイズ統計等の台頭により,従来の頻度主義的な統計学では対応が困難であった,(作業療法のような)不確実性を伴う事象がある程度検証できるようになってきました.
共著者は…?
作業療法研究において,名実ともに最強と思われる,かの京極真さんと,竹林崇さんです。最強とか言うと,本人たちの理想が高すぎるので,「オレまだまだやで」と返されるのがオチですが,ホント現時点で最強です(笑)
京極さんには,統計から質的研究から開発研究から理論研究などなど,沢山の項目をお願いすることになりました。
竹林さんは臨床介入研究です。事例に始まりRCTまで,どう展開すれば良いか,参考になると思います。
じゃtomoriくん,お前は何すんねんって話ですが(笑),僕は導入部分のクリニカルクエスチョンからリサーチクエスチョンの箇所,研究法概要など導入部分を執筆する予定です。
今回のメインは編集。でも大事だなーと思っています。お二人が取り扱う最新で王道の研究を「分かりやすく」編集する。全体のバランスを整えていく仕事です。てか,お前はいつもそれやんかっ(笑)
何のために書くか。WHYは…?
さて,僕らの仕事は全てWHYから始まります。WHYはもちろんいつも「作業療法の楽しさをシェアすること」からブレていません。楽しく作業療法をするには,研究によって足元を固めていかなければいけません。研究本を書く理由は,「もう逃げずに作業療法研究に取り組もう」ですかね。
土俵際です。がっぷりよつで作業療法について検証し,ここから作業療法の逆襲です。臨床家,研究者共々,エビデンスを共創していきましょう。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
2017年11月14日火曜日
日本臨床作業療法学会 国際大会です!
国際大会
さておき、来年7月21〜22日は日本臨床作業療法学会にて、初の国際学会です。場所は福岡の九州大学の学会専用の施設で、例年通り350名規模で企画しています。講演などには英語→日本語の同時通訳があります。基調講演
基調講演は、タフツ大学のDr. Tikcle-Degnen で、先日台湾での講演を聞きましたが、臨床と研究の融合を分かりやすく話されていて、とっても良かったです。来年のテーマはArt and science for occupational therapyということで、特に作業療法研究やエビデンスベースドの実践に弱いかなーと思われる多くの日本のOTに聞いていただきたい内容です。Tikcle Degnen先生には、日本人は英語が苦手で予習が必要なので、パワポを二カ月前に下さいとお願いしてきました。参加者には1カ月前に配布しようと思っています。せっかくの機会なので、聞き流すのではなくしっかり理解してほしいです。
シンポ・ワークショップ
国際シンポジウムでは、アジアのOBPを共有しようということで、現在、韓国、マレーシア、台湾、シンガポール、日本からそれぞれプレゼンしていただく予定です。これも密かに楽しみです。ワークショップでは、認知症、学校作業療法、身障などを企画しています。詳細はこれからですが、これもいろんな国の人と一緒にOBPを深めてもらうようにしたいと思います。
演題
さて、参加者の1/3が発表するという超参加型がウリの本学会ですが、先日演題募集を開始しました。日本人のみ英語と日本語の抄録をお願いしています。締め切りは来年2月末です。英文抄録の作り方については、おいおいどっかで解説したいと思います。発表形式は、口述の英語、口述の日本語、ポスターの三種類です。ハードル高いなぁと思っても、いざ準備し始めると案外うまくいくものです(笑)発表にもチャレンジしてみて下さい。参加費
参加費は、国際学会では破格と言えるくらい安い値段にしようかと思っています(笑)OT全国学会くらいかそれ以下の値段で、ティータイムとランチの軽食あたり付きです。そのかわりに、裏では、福岡と本部の学会実行委員で色々手分けして、準備して下さっています。感謝感謝です。皆様の次のステップして、本学会をご活用下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
2017年9月17日日曜日
簡単にできるダイエット
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最強の食事を琉球OTさんと侍OTさんに勧められて実際やってみましたが,これが結構いい感じに働いていて,昨日ちょっと話題になったので書きます.「」はAmazonで買ってます.
1) 朝はバターコーヒー
僕も結婚してから10数年,朝からガッツリ食べてました.でも食べた後の1-2時間後は絶対に眠くなりました.それがバターコーヒーだと結構午前中にいい感じに仕事できます.宮古島では自家焙煎の豆でしたが,アパート暮らしの今はカルディのグアテマラ豆にしています.そして以下,Amazonで購入→バターは「ニュージランド産 グラスフェットバター無塩1kg 冷凍」を10g,「仙台勝山館 MCTオイル 360g」大さじ1,「レインフォレストハーブ 有機JASオーガニックバージンココナッツオイル 500ml」大さじ1です.(オイルは一つでいいそうです).これを「【Coffee Gator (コーヒーゲーター)】- ハンドドリップ式Pour Overコーヒーメーカー 3カップ用-」に入れます.ペーパーフィルターだとコーヒーの油分が落ちないのでよくないそうです.その後,「HARIO (ハリオ) ミルク 泡立て器 クリーマーゼット CZ-1」でガーっとしっかり泡立てます.これ大事です.で,200-300ml飲みます.
2) 昼はサラダ
お昼にサラダなんて女子か,と思いますが,卵か鶏肉かサーモンなどのタンパク質をちょっといれれば全然OKだし,良質な脂質が必要なので,アボガドかオリーブをいれるので,満腹感あります.10分ほど椅子で寝ますが,午後のパフォーマンスも結構いい感じです.ドレッシングは山口さんオススメの「千鳥酢 1.8L」とコショウとオリーブオイルです.カミさんは「ミツカン ドレッシングビネガー 1000ml」です.
3) 間食
「明治 チョコレート効果カカオ86%」か,「ロッテ キシリトールガム ライムミント ファミリーボトル」です.
4) 水
結構のみます.
5) 夕食は普通に
普通に食べますが,米は1膳くらい,できれば冷や飯がいいそうです.我が家は冷たくなってもお米が美味しい「HARIO ( ハリオ ) フタ が ガラス の ご飯釜 N 3合 萬古焼 炊飯 土鍋 GNN-200B」で炊いたご飯を「HARIO (ハリオ) ご飯釜のおひつ 2合用 GO-2B」へ移し替え,水分を吸収させ,いい感じのご飯になります.子どもたちも冷たいお米がいい,というくらいです.炊き込みご飯とかも美味しいです.あと揚げ物と小麦はだいぶ控えめ.あんなに毎朝焼き立てパンを食べてても,無いならないで慣れるもんです.ソーセージやベーコンなどの加工牛と,ツナやコーンなどの缶詰は,かなり控える.肉はオーストラリアかニュージーランドの赤身.基本魚.
6) お菓子は普通に食べます
僕は食べませんが,子供とカミさんは良く食べます(笑)
7) ダメな習慣
これは僕のダメなとこで,最強の食事は酒は全くメリットないと書いていますが,ほぼ毎日酒飲んでますし,それにともないつまみ(スナック菓子など)も食べます.僕はポテコ,えびせん,ドリトス,プリングルスが好きです(笑) でも体重はキープです.
8) まとめ
基本的に,仕事のパフォーマンスが上がるからという理由で始めた食事で,ダイエットもできるなら一石二鳥ですよね.ダメな習慣もあり仕事では成果が実感できないのですが,ダイエットが実感できますよ(笑).体重は64キロから58キロです.これ以上減りません(笑)体重がガンと落ちますが,体脂肪率やBMIは少しづつですね.
最後まで読んでくださりありがとうございます.
とりあえずコーヒーは最強です(笑)
2017年8月21日月曜日
ひさびさの仲間との講演会
昨日はたまたま甲子園の隣駅に泊まったので、気まぐれに20分だけ見に行き、2アウト満塁のとこで階段降りたら、ちょうどその時まさかの連続ホームランだったらしく、歓声だけの思い出ができました(笑)ぜひ頑張って宮古島から初出場してほしいなぁ。
最後まで読んでくださりありがとうございました.
2017年8月18日金曜日
保育所・幼稚園での作業療法に関する共著論文がアクセプトされました
サンプルサイズは少なく,これを例数増やしたら結果が変わる可能性は十分にあります.試験的研究なので,もちろん課題だらけです.ですが,発達領域ではpre-postの研究がかなり少ないのが現状です(これも作業療法でレビューした論文がもうすぐ載ります).そして,たった3回のコンサルで効果量(r)0.8とは「あんたら何したんねん」という感じですよね(笑)
2017年8月11日金曜日
暑中お見舞い申し上げます.
先日恩師である沖田実先生とお話させて頂く機会があり,そのときの話しからヒントを得て、作業療法のコアな学問になりそうな「作業遂行分析学」という学問を作ってみようかなと思案中です.やっぱ作業療法の強みは,人ー環境ー作業の連関性の中から,ちゃんと分析した結果に基づいてこの作業を行っていると説明出来る点にあると思います.これがないとクラフトのおばちゃんと同じ担ってしまいますから.
あとこれとは別で,工学部の先生と一緒に「作業療法のアウトカム」としての活動量計の開発をしています.これはホントにもう7-8年前から構想だけあったのですが,意外にトントン拍子で進んでいます.これまでADLやQOLなど構成概念で測定していた成果を物理量で測定できるとなると,とにかく作業療法共通のアウトカムとして強烈なアンカー的存在になると思います.MCIDが設定できれば1事例でも成果を検証できます.クラウドでデータを集積して後方視的に分析,ディープラーニングによる作業選択,コストの研究,などと発展性のあるテーマだなと我ながら思っています.
ADOCのEnglishバージョンももうすぐ完成です.New Zealandの友人,Williamがデータ取りから論文執筆まで頑張ってくれました.
あと研究ではないですが,作業でシリーズの第三弾として,研究本を企画しています.ぼつぼつ目次立ても決まり,見本原稿執筆中です.これで作業療法の臨床研究がきっと増えると信じています.乞うご期待(笑)
【大学のお仕事】
雑用から重要な仕事までいろいろあるのですが,広報委員を拝命したのでオープンキャンパスによる広報活動を頑張っています.僕の模擬講義では作業療法の話で保護者を泣かせてますし(笑),澤田さんはクライエントと対談をしています(笑) もちろんADOCの展示も行っています.あと学科のブログも立ち上げました.工科大は結構面白いことをやっていますので,たまにご覧になってください.
あと本学では大学院設立に向けて少しずつ動き始めています.関東ではアクセス最高ですので(笑),開設出来るかまだまだわからないのですが,選択肢の一つとしておいてくださいませ.
あと,臨床実習施設も募集しています.特に精神科,発達領域ですね.どうにか臨床実習施設とWin-Winの関係になれるように,学生への特別講義を臨床実習指導者にも公開したり,出張講義をしたり,就職説明会を開いたり,日々努力しています.臨床実習に関連して,大学との関係にはこんなこと期待しています!という意見をどしどし募集しています.もちろん,基本的には,どうせ受けるなら工科大から,と言われるような教育もしていきたいです.
【社会活動】
来年の日本臨床作業療法学会学術大会は僕が大会長ですが,なんと国際学会を企画しています→大会のホームページ 僕の決意表明はこちら.ぜひ,日本型OBPを臆さず発信してください! 抄録は英語になると思いますので,どうぞ今からでもご準備ください.基調講演もDr. Tickle-Degnen "The Art & Science of Occupational Therapy"です.きっと楽しい会になると思います.ちなみにホムペのデザインは
日本臨床作業療法研究では編集委員長として,投稿論文のチェックを行っています.先日,日本の作業療法関連の大学院へ投稿の案内を送りました.どしどし投稿をお待ちしています.
作業療法士協会では,定義改定委員,学術誌作業療法の編集委員,学術部副委員長,全書改定委員を併任しております.全て(笑),プレッシャーのかかる重たい仕事なんですが,周りは全て大先輩がたで,せっかくの機会なので,色々勉強させていただこうと思います,もう月に数回協会に行ってる気がします(笑)とにかく,定義改定はどうにか来年度の総会に上程できるように準備していきますので,どうぞご協力のほど.
【講演など】
来週は大阪のInsightで「ADOC & ADOC-Hを用いたOBP 及び課題志向型アプローチにおける面接の理論と実際」と題して,齋藤佑樹さん,澤田辰徳さん,竹林崇さんと一緒に講演します.なんか募集1日で定員に達したという噂です(笑)
9月10日に北里大学が主催している学会で,髙橋香代子さん,竹林崇さんと一緒になんかやるそうです(笑)
日本ー台湾のコラボのシンポジウムで発表します.9月21日 17時30分から18時30分という
11月25日は,ホームカミングデー的な取り組みとして,東京工科大の卒業生を対象に少し話します.12月10日は千葉県士会の精神障害領域の研修でADOCについて紹介します.来年2月10日に,日本臨床作業療法研究主催の研究法セミナーにも参戦する予定です.
以上,まとまりのない話ですが,アイデアばかりで実行が伴わない妄想家のtomoriくんを今後ともよろしくお願いいたします.
最後までおつきあいくださって,ありがとうございました.
2017年5月20日土曜日
第4回 日本臨床作業療法学会 in 仙台
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さて,第4回の日本臨床作業療法学会 in 仙台です.
今回も全国各地から310名の参加がありました(学生が60名くらい?).仙台で開催したのは,東北のOBPを盛り上げたい,という齋藤大会長の熱い思いがあったからです.
演題は76でした.今年も参加者の3割ほどは発表という「超参加型の学会」です.その反面,内容は事例や実践報告がほとんどで,前後比較研究が1件,横断研究が4件,質的研究1件がでした.研究的な内容が少ないです.もちろん事例報告をなめちゃいかん事は先日ブログでも書きましたが、学会として種類が少ないのは物足りなさを感じます。
抄録からOBPで用いられそうな検査ツールなどを検索してみました(重複有り)
ADOC
COPM:9演題
MAL:8演題
VQ:7演題
AMPS:4演題
CAOD:4演題
人間作業モデル:3演題
OSA:3演題
MTDLP:3演題
CEQ:1演題
OBP2.0:1演題
意外にADOC多かった(笑)ま、いろいろあるのが本学会の良いところです.近年ツールを使った事例報告が増えています.実践の手続きや介入前後の変化を明確化するためにも良いことだと思います.
講演です.
東北福祉大学 佐藤善久先生
作業ベースとボトムアップの実践と教育 ~WFOT教育最低基準の見直しから見る作業療法のあり方~
教育基準のお話がメインと思っていたのですが,佐藤先生の考えるOBPに関する「激アツ」なお話から,アメリカに留学された際のエピソードも含まれていました.また,WFOTも「作業」のことを教えるように,というお達しがあるようです.京極真先生のブログにも紹介されていますので,ぜひ原文も含めて参照してください.日本でどのように取り入れるのか,作業療法士協会で検討中だそうです.
神奈川県立保健福祉大学 長谷龍太郎先生
Art &Science 作業療法の現代化を振り返る
やはり作業療法においてクリニカルリーズニングの第一人者なだけあって,Artとは何なのか,そしてArtをどうscienceにもっていくのかの説明が圧巻でした.そして,何事もクライエント中心,臨床を大切にしています.その考えは僕もちゃんと受け継いで行きたいと思いました.最後に,Artをscienceにする一手法として,ご自身で開発された絵コンテ法を紹介されていました.これは自らの臨床技能を高めるために他者をディスカッションするにはとても有用だと思います.聴講された方は,ぜひ試してみてほしいですね.
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最優秀演題は北海道の作間さんでした.僕もたまたま演題を聞かせていただきましたが,精神科でクライエントと看護師の信念対立をOBP2.0などの手法を使い,OTが両者の協働を促しつつ,ADOCで立案した目標も実現した,という内容でした.精神科OTに悩む時期もあったとシンポジウムで発言されていましたが,やはりそんな時に道を示してくれるのは,クライエント,そして仲間だと思います.これからも良い発表を期待したいと思います.
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第5回は福岡です.そして,大会長は僕が務めることになりました(苦).そしてCOT初の「国際学会」にする予定です.テーマはAdvanced Occupation-based practiceということで,世界のOBPをシェアしましょうという主旨で行いたいと思います.
詳細は追ってご紹介していきたいと思います.どうぞよろしくお願いいたします.
演題もってご参加くださいね.
ではでは.最後まで読んでくださり,ありがとうございます.
2017年4月23日日曜日
日本臨床作業療法研究をそろそろ投稿の選択肢にいれませんか?
- 医学中央雑誌やメディカルオンラインの検索に引っかかる
- OTでは唯一のオープンアクセス
- 会員外の方にも読んでもらえる
- 投稿料が安い(掲載料は仕上がりで4頁までは一律7,000 円,5頁以降は1頁毎に2,000 円)
あと紙媒体は一切ございません。ですが、これも最近は問題ないでしょう。
2017年4月20日木曜日
事例報告なめんな
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さて,昨日は作業療法臨床実践研究会さんでお話させていただきました.頂いたお題は事例報告.
1990年代のEBMの襲来により,事例報告の価値が明らかに低くなりました.「事例報告」というだけで,研究として価値はないと判断される.それは大きな勘違いです.
そもそも事例報告はエビデンスレベルや効果研究の土俵で評価されるものではありません.事例報告の本来の目的は,より良い最先端の治療を求めて臨床現場で試行錯誤で行われる仮説生成のためのプロセス,つまり「質的改善研究」と言われています(斎藤清二).効果研究としての価値は低いですが,臨床において,自己成長や教育などにはうってつけの方法とされています.
質的改善研究というと,学生や新人の指導とかをイメージするのですが,違います.OTは専門職として一生べ勉強せなあかんので,自分自身にまず当てはめる必要があります.いや私は研究者です,という方もいらっしゃるかと思います.しかし近年の研究を見ていると,清水の舞台から飛び降りるかのように短絡的にRCTを実施して,実験群と対照群の間に差はありませんでした,というなんとも後味悪い研究も少なくないですし,これって臨床でどう使うんだろう…と臨床と接点が見えない「研究のための研究」もよくあります.これって,研究でもっとも重要な仮説生成のプロセスで,事例をすっ飛ばしているからこそ生じる現象ではないのかと個人的に思うところもあります.
もちろん他者の研究にどうこう言いたいわけではないのです.ただボクが言いたいことは,
事例報告なめんな!
ということです(笑) もちろん巷には,事例で言えるレベルを超えた内容の報告,仮説生成につながっていない浅い内容の報告,本来教育指導で行うはずが研究と履き違えてよく分からなくなっている報告などなど.なめられてしまうものも多いです.そうならないために,今回ボクは目的,方法,結果,考察と陥りやすいピットフォールと回避方法について説明しました,つもりです(伝わらなかったかもですが…)
事例報告は臨床家や学生さんが超多忙な時間の中で行われたものであり,指導したり査読したりする立場の方は,頭ごなしに「価値なし」とかじゃなくて,一定の敬意をもって「質的改善研究」として読み込み,適切なフィードバックを行う必要があると思います.そして,執筆する側も,上記の中途半端な内容ではなく,何が目的か読み手に明確に伝わるような書き方をしてほしいものです.
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そして,久々に One more thing…で(笑),「事例報告の逆襲」というスライドを何枚か足しました.これから事例報告の価値というか位置づけが変わってくると個人的には思っています.
RCTに価値があるのは,ある前提が存在するからです.
その前提とは,母集団の多くからデータをとることができないという前提があるので,母集団からサンプリングされたごくわずかな人でデータを取り,推定的統計によって母集団もきっとそうだろうと一般化を予測しやすいRCTが,偶発性を排除できない事例報告よりも価値があるわけです.またジャーナルには紙面に限りがあるので,事例報告よりは結果を一般化しやすいRCTに価値があることになります.
ここまで言えば分かると思いますが,この前提がおそらく変わります.近年,ウェアラブルデバイスの開発競争は目覚ましいものがあり,これによって多くの人からデータをクラウド上に吸い上げることが可能となり,大多数のデータを集めることができるようになります.また吸い上げられてくるデータから,臨床上意味のある最小変化(MCID)やら,正常値,異常値のカットオフなどを設けたり,ベイズなどの確率論を応用して使えば,1事例や少数例であっても,効果について今以上に詳細な検討ができるでしょう.さらに,ビッグデータをもとに模擬的にRCTを行い,因果関係をいくつか検証することもできます.この模擬的なRCTによって効果に影響している因子を特定してから前向きの本番RCTを行うことで,リスクを清水寺から2階建てくらいまで減らすことが出来るかもしれません(笑)
もちろん個人情報やら倫理的問題やら,データの維持管理やら,やらないといけないことは沢山あります.しかしOTはどの領域よりも先駆けて十数年前からやっています.
そうAMPSです.
OTって実はすごいんです(笑) でもAMPSのように有資格者のみ使えるようなものではなく,事例報告のように気張って書き上げるものでもなく,普段のナチュラルな臨床データをクラウドに上げることで,作業療法研究を大きく前進させることができるでしょう.
このように,RCTの価値を決める前提条件がIoTによって激変することで,RCTと事例報告は今以上に相補的な関係に変わってくるでしょう.相補的というのは,「両方とも必要」ってことです.
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作業療法は事例と共に歩んできた実学です.東に子どもがいれば行って看病をし,西に疲れた母あれば行って稲の束を負う,みたいな,その時分の社会情勢に合わせた支援を行ってきました.健康高齢者,発達,就労,などと新たな領域で作業療法の知識と技術を使った支援が行われています.次に作業の問題で困っている人はどこにいるのでしょう.そして作業療法は何ができるのでしょう.その最前線の事例報告も期待しています.
最後まで読んでくださり,ありがとうございました.
2017年4月3日月曜日
身の引き締まる思いです。
2017年3月23日木曜日
4月から東京工科大へ着任します。
2017年3月18日土曜日
作業療法のタイムカプセル 集計結果です!
免許更新制の導入や,臨床実習を選択制(いわゆるゼロ免)にする,は賛否両論でしたね.大きく反対というわけでもなく,どちらでもないというところに票が集まっていますので,導入方法によっては,賛成,反対に傾くでしょうね.どうなるか楽しみです.
領域拡大は賛成がかなり多かったです。僕も賛成ですが,一応国家資格ですのであまりに節操のない領域拡大は控えたいですね。そしてやるからには、根拠に基づいた実践を心がけたいものです。
以下、集計結果です。
アンケート結果
アンケート結果
10〜15年働いて試験に合格すれば地域で開業権
アンケート結果
質問:地域包括ケアシステムの構築に向けて自立支援を行うためには、家族や介護職員など周りの協力が欠かせない。そして周囲も自立支援の具体的なノウハウを知りたがっている。作業療法では、生活支援のエキスパートとして、自立を目指した介護指導の研究や臨床実践をより強化することが望ましいのではないだろうか。
アンケート結果
作業療法の対象範囲拡大
質問:作業遂行機能障害を「大切な作業が適切に遂行できない状態」と捉えると、ニートや不登校から、失恋、仕事への適用など、医療にとらわれない幅広い人が対象となる。もちろん医療保険も介護保険も適用されず、自費診療という形になるとは思われるが、作業療法の知識を活かし、社会問題に対応できると良いだろう。
アンケート結果
長期臨床実習の単位を選択制にする
質問:教員の頃、切に願ったのがコレである。現行のシステムでは実習の単位を全て取得しないと卒業ができない。つまり退学するしかない。職業は無数にあり、たまたま作業療法士に向いていなかっただけで、学生本人は人生の全てが否定されたかのようなショックを受けることになるし、臨床実習指導者、保護者の負担も計り知れない。長期臨床実習をクリアしなくても代替えの単位で卒業できるシステムの構築が望ましいのではないだろうか。
アンケート結果
長期実習は免許取得後に行う
質問:上記の延長線上の話でもあるが、医師のように国家資格取得後に長期の臨床実習を行う。研修生は1-2年かけて各領域を周り、最終的に自分に合った領域に就職する。実習はもちろんクリニカルクラークシップで、指導者の補助的位置付けで行われ、いくらか給料も支給されるほうが望ましいのではないだろうか。
アンケート結果
クラウドで臨床の成果を集積して研究につなげる
質問:普段行われている臨床実践をクリックするだけで情報収集できるフォーマットを通して、クラウドで何千というビックデータを集積し、成果を分析するシステムを開発するのはどうだろうか。これによって、作業療法の成果、成果に影響する因子を後方視的に分析でき、また1事例でもビッグデータを参照することで成果の検証ができるようになる。
アンケート結果
動画撮影で作業遂行が自動的に評価できるアプリの開発
質問:これは筆者自身もドラえもんに頼みたいレベルではあるが、作業遂行場面を動画で撮影して、自動的に作業遂行がうまく出来るかどうか測定できるアプリのようなものがあると便利である。ITが進化してできないものか… もちろん動画に映らない部分の評価が重要であることは言うまでもないが。
アンケート結果
日本独自の作業療法理論開発
質問:これまで多くの作業療法理論が開発されているが、それらはほとんど西洋文化を基盤に開発されており、東洋文化になじまない点も一部あるだろう。MTDLPの枠組みをベースに理論開発が進むことが望ましいのではないだろうか。
アンケート結果
2017年2月16日木曜日
ADOCを使ったOBPの費用効果に関する研究
Cost effectiveness of the occupation-based approach for subacute stroke patients: result of a randomized controlled trial
2017年1月19日木曜日
ADOC-Hの論文がacceptされました
院生時代の研究論文が多くの方のお力添えを受けて
Development of a tool to facilitate real life activity retraining in hand and arm therapy
Kanta Ohno, Kounosuke Tomori, Takashi Takebayashi, Tatsunori Sawada, Hirofumi Nagayama, William MM Levack, Kazuhisa Domen and Toshio Higashi
本報告は,麻痺を呈した上肢(麻痺手)の日常生活での使用を促進するためのiPadアプリーケションであるADOC for Hand(ADOC-H)の開発論文です.ADOC-Hは,ADOCと同様にイラストを提示することで,対象者が麻痺手の使用行動について具体的にイメージすることを促し,使用依存性の機能回復を図るアプリーケションツールです.
作業療法士になってからアプリの開発に携わるとは思ってもいなかったため,開発のプロセスは試行錯誤の連続でした.本論文では,ADOC-Hに搭載するイラストの項目の妥当性について,コンセンサスメソッドの一種であるDelphi法を用いて検討を行いました.共著者でもある竹林先生をはじめとする先生方の臨床経験や思考過程をアプリに落とし込むために,国内外で用いられている上肢使用に関する評価法から項目を抜粋し,Webアンケートを実施して分析を重ねました.また,Delphi法で決定した全130種の項目をイラスト化した際に,それぞれのイラストが項目の動作内容を表現できているかに関する表面妥当性の検証や,アプリーケション開発の前段階として試作した紙面版のADOC-Hの臨床有用性についても検証しています.
初めての英語論文執筆に苦戦し,随分と時間をかけてしまいました.Acceptの通知が来るまで,何種類もの雑誌に投稿をし続けました.その度に何回もrejectの通知を受けました.英語に限らず,論文投稿について経験の浅い僕にとって,身の丈に合わない挑戦なのかと諦めたくなったこともありました.心が折れそうになる度に,友利先生やNew ZealandのWilliamが的確なサポートをしてくれました.まだまだ発展途上ではありますが,多くの人の後押しを受けて論文という形で自分の努力を発信できたことは,自信にもつながりました.しかし,まだやっと開発論文ができただけですので,今後は臨床研究を通してADOC-Hの有用性を検証していき,作業療法に還元していきたいと思います.
最後に,この場をお借りしてご協力いただいた全国の先生方に改めて感謝の意を伝えさせていただきたいと思います.