2013年7月13日土曜日

作業療法と機能訓練

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「FABとってあげようか?」と言われました.tomoriです.竹林さんと侍さんと蕎麦を食べに行ったときの話しです.それは地元の侍さんでも道を間違うほど住宅街の奥まった一角にあるお店で,職人気質のこだわり店主さんがでてきて,最初は蕎麦だけ食べろだの,大根の辛いツユと普通のツユだの,でもモンゴルの塩が意外に美味いだの,毎回細かい説明をしてくださいました.僕はその30秒後に説明を忘れ,他の二人と全く違う行動をしていました.しかも何回も(笑).「tomoriさんのような人が患者さんならイヤやわ〜」とも言われました(笑).しかし蕎麦はこれまで食べた蕎麦の中で1番というくらい旨かったっす.




どーでもいい話でした(笑).さて昨日は竹林さんと一緒に侍さんの病院へ講義をさせていただきました.前に告知した通り,ゲリラ的ですがチャリティーイベントでした.業務後でしたが,40名ほど集まってくださりました.少しでも福島の皆さまのお役に立てれば幸いです.

僕は竹林さんの前座という大役を果たすべく,作業療法と機能訓練というお題で話しました.後に竹林さんがいるから僕もこんな話しができるのであって,ペアでなければ無理です.でもまぁ,作業療法と機能訓練.並列で並べるのも違和感があるのが正直なところです.結局機能訓練はツールの一つです.作業療法の基本や目的が整理されていれば,機能訓練だろうが実動作訓練だろうがブレないと思うからです.その基本というのは,やたら分厚い教科書を読まなくても3つの言葉で説明できます.

occupation:作業
engage:一生懸命やる
participation:社会参加

作業を一生懸命やることを通して社会参加を促進する

ということです.従来の機能訓練はこの説明に反することが多いので,煙たがれることがありますが,この3つのwordを押さえていれば,沢山の作業を可能にしてくれる素晴らしい相乗効果をもたらしてくれます.昨日は,このwordに沿って,以下の通り説明しました.




occupation: 活動に焦点を当てる→作業に焦点を当てる
いつも言ってるとおり,活動に無くて作業にあるものは,その人にとっての意味や目的です.まず作業の意味や目的を共有することが重要です.動作→行為→活動→作業みたいな階層的思考は,機能訓練をするときにはあえてやめましょう.意味や目的がない活動がいくら集まっても作業にはならないんです.そのためには患者さんと面接をしましょう.よく話しをしましょう.そして,目標を作業レベルで書きましょう.立位バランス向上,随意性の向上...などはセラピストの目標であって,患者さんの目標ではないはずです.目標にしてもいいですが,患者さんと共有する書類に書くのはやめましょう.という内容でした.

engage: 患者さんを治す→患者さんが自分で治る
機能訓練であれなんであれ,engageする人は患者さんです.セラピストの役割は患者さんの潜在的な能力が発揮されるような環境を作ることです.つまり,動作を極め細やかに分析し,適切な課題を提供し,適切にフィードバックをするだけです.まあそれが難しいんでしょうが(笑).そして課題については,フロー状態を作るためにも極め細やかな段階づけが必要です.あと,パフォーマンス向上には実動作練習が良いが,目的とするパフォーマンスに近いいわゆる課題指向型の基礎的な訓練をすることで,さらに効果が高まるだろうと体育学の研究を用いて説明しました.

participation: 病理学的治癒→社会的治癒
アウトカムを参加に置きましょう,というものです.「 結核症の治癒が病理学的治癒ではなく,社会的治癒にあること,治療とはこの意味の治癒を目的としていることを認識しないために生ずるものである(北,1947)」という言葉を引用して,いくら機能が向上しても生活で生かされていなければ作業療法のアウトカムとしては不十分である.例えば病院で皿洗いができたとしても,自宅で家族が危ないといってさせてもらえなければ治癒したとは言えない.もともと運動機能とADLの相関性が低いことを挙げて,運動機能をもっと生活で活かすための戦略が必要であることを説明しました.そのために,竹林さんたちは現段階でTransfer packageという戦略を用いているし,僕もADOC for handを開発中です.

だいたいこんな感じで,3側面からごくごく簡単に説明しました.少し長い前座.20分でした(笑)


その後すみやかに短パンの竹林さんへバトンタッチ.彼の講義を聞くのは4回目ですが,だんだん内容や説明が研ぎ澄まされていてます.話し聞きながら,いつも日本にもこんなすごいOTがおるやなぁと思います.まずCIの概要をOBP用語(笑)をおりまぜながら説明し,CIは機能ではなく行動変容を重視しているんだ!と強調した後,課題指向型訓練やTransfer packageの実際を細かく説明.ここは何回聞いてもドキドキします(笑).疲れてきたころに例のウケ動画(笑).そして実際の症例でシメました.この事例さんが作業ができていく過程は圧巻です.



彼は自分の治療については押し付けたりしません.謙虚ですし,科学的観点から物事を説明をしていきます.良いものを積極的に取り入れていこうという姿勢があります,僕も彼の話しを聞くまでは,CIについては健側を拘束して麻痺手を無理やり使わせる機能訓練ぐらいのイメージでしたが,それは全く違います.僕が最初に説明した通り,活動ではなく,本人の大切な作業に焦点を当てて,その作業ができるようになるために,手を治すんではなく,患者さん自身が生活の中で治せるように指導し,最終的に目指すところは決して決して,決してSTEFの向上ではなく,社会的治癒です.まだ聞いたことない方は,PTOT問わずぜひとも一度聞いてほしいと思っています.明日からの臨床がガラっと変わると思います.


長くなりましたが,今日も山形作業行動研究会です.
今日は侍さんとコラボです.頑張ります.

ではでは〜.

最後まで読んでいただきありがとうございました.





2 件のコメント:

  1. いばらきのOT2013年7月14日 13:24

    いつもブログ楽しく見させていただいてます!
    ADLと運動機能の相関なのですが、書籍や文献で探しているのですがトイレなど1つのものとの相関しか確認できていません。
    もし友利先生が参考にしている文献などありましたら教えていただきたいです!
    よろしくお願いします!

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  2. お世話になります.tomoriです.オリジナルは当たっていないのですが,この論文です.

    http://ajot.aotapress.net/content/49/10/960.short

    返信削除

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