2013年12月1日日曜日

17回作業科学セミナーに参加してきました。

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tomori@福島です。初めての作業科学セミナー参加です。

僕と作業科学の出会いは、助手になった10年前だったと思います。回復期リハ病棟にいたころ、手探りモヤモヤで作業を用いた実践を行ってきて、事例報告をまとめようとしたときでした。こう表現すれば良いのか! 支援の構造はこんなことやったんか! と霧が晴れた感じでワクワクしながら本を読んだ気がします。

時は過ぎ、いま作業科学はいろんな教科書の序論に当たり前に登場するようになりました。よく耳にするようになりました。セラピストが解剖、運動、生理学を学ぶように、基礎科学として作業科学を学ぶことの重要性を感じています。※作業科学は理論ではなく、学問だそうです。


さて、セミナーです。まず実行委員長である侍OTさんの、ちょっと感動して本気で泣きそうなんですけどどうしたらいいですか…という挨拶で始まりました(笑)。彼のブログを読むと、どんな気持ちでここに立っているかよく分かります。



続いて、楢葉ときわ苑 副施設長 作業療法士の木田佳和さんによる、[震災から現在、そして未来へ]という講演でした。僕がこれまでの人生で聞いたなかで最高の講演でした。


第一章では、震災時が作業を奪ってしまったお話でした。命がけで利用者さんを非難させ、避難所で原発事故によって外にも出れず、利用者さんも自分も作業はく奪された環境の中でどんどん弱っていったそうです。作業によって人はすぐ不健康になります。全てがリアルすぎて思わず涙が出てしまいました。二章では、その中でも利用者さんにとって大切な作業をすることによって、本当にイキイキとした笑顔を引き出して行く、作業の持つパワーについてのお話でした。この環境下で、利用者のためにうちは利用者中心で行くんだ!という信念。そして、他職種でも使いやすいということでADOCも使っていただきました。クライエント中心とか、OBPが出来ないというのは、環境ではなく自分がやるかやらないかだ!と改めて思いました。三章では、作業によって作業をしている時間は楽しいが、原発事故によって未来がどうなるか分からないという不安が常にあり、前に進めない利用者がいる。そんな中、自分たちにできることは、共に歩むことだと…作業療法の本質がシンプルに詰め込まれた、本当に素晴らしい講演でした。





お昼からはポスター発表で、7演題中4演題がADOCを使った実践(笑)。またADOCメンバーがジャックしたと思う方もいるかもですが(笑)、僕は1人も関わってませんよ(笑)。でも皆さんをもちろん知っていて、その堂々とした姿を遠目で見て、1人感動してました。

そしてワークショップで作業の捉え方を約10名を1グループ単位で検討しました。参加者の一人をクライエントとして、大切な作業を単語レベルで言ってもらい、周りが質問。ポストイットに一つづつ書いて、でかい模造紙でカテゴライズするというものでした。授業で使えそうだなと思います。うちのクライエントは外出でした。どこに行くのか、どうやって行くのか、何のために行くのか…など。それを聞くうちに、外出は意味と形態に分かれ、意味では新しい経験をするための外出、だれかと共有したいこと、そして家族の役割としての外出もあることが分かりました。メガネOTさんの職場の後輩が同じグループでしたが、その辺の聞き方が飛び抜けて上手でした。後で話を聞くと、やはり秘蔵っ子だったそうです(笑)

最後はポラタイコ教授の講演で、作業療法に不可欠なこと、でした。自分はバリバリの量的研究者という自己紹介のあと、作業療法の普遍性[universal]をメインテーマに、普遍性を探求するなら一般化しやすい量的研究が当たり前で質的研究は不向き→科学というのは量的研究のイメージ。作業学なら分かるけど→でも量的研究のような実証実験では特異的な"私"が切り離されてしまう→作業は経験だから、重要な情報を見落としてしまう→だから質的研究になってしまう、という、まぁ少し作業科学を批判的に分析した内容でした。僕も、まずは量で捉える方法を探すことが大切だと思います。そして質的研究は、その限界を認識した上で、拡大解釈をしないように注意すべきです。

あと、作業科学では、なんでもかんでも作業療法に結びつけてはいけないです。作業科学は作業の分析、作業療法は効果の検証、その辺の目的を分けて考える必要性を感じました。

そのあとは、作業療法の原理みたいなものを7つ半、写真を使いながら説明してくださいました。最後の半分は、効果はあるけど、何がどの様に効いてるかは未だ分からないから、ということでした。あれ、前半の批判的内容のオチは?みたいな感じでしたが…



レセプションでは、福島の郷土料理や芸能を堪能さてもらいました。踊りは参加型みたいで、種まきOTさんと琉球OTさんが、まさかのプロより目立つ踊りを披露してました(笑)



ポラタイコ教授とも、少しお話出来て、あまりにyou are basic scientist と言うから(笑)、いやいや研究の方向は変えて、今はRCTとかやってますよとアピールしたら、これまた質問の嵐で墓穴を掘るみたいな(笑)。基礎研究しかやってない変なやつという誤解だけは晴らすことができましたが(笑)、ホント英語ができるももっと学術的な話ができたのになぁ…


さてさて、我らが侍さんや実行委員の皆様がここ一年半くらい準備に頑張ってきたOSも終わりです。最後の挨拶で、みんな前に出てきてもらい、本人やや男泣きという、ホント侍さんらしい閉会式でした。本当にお疲れ様でした。



長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださりありがとうございます。


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