2014年2月23日日曜日

やってみよう.老健でのOBP

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最近呑んで家にたどり着くのがやっとです。tomoriです。昨日は30分の電車の帰り,途中新逗子方面でいってしまい,慌てて戻り,しまいにつり革掴みながら寝てました.



さて、週末は老健RCTチームのミーティングでした。北は北海道、南は沖縄,佐賀,山梨,鳥取,東京,神奈川... 総勢14名のOTが集まりました.

僕やメガネOTさんも話させていただきましたが,オオトリは種まきOTさんです.



種まきOTさんは,老健で悶々とOTをされていました.こんなんでいいのかな... 

そんなとき,偶然に琉球OTさんの講演を聴いて,「自分がやりたかったOTはこれだ!」と思ったそうです.

「その直後」,歩けるようになりたいという事例に対して、初めて作業療法の説明をしてみた.まずペーパ版のADOCを使って.クライエントは色々話してくれた.おおよそ料理の話.作ってあげた人から美味しいと言ってもらえることが生きがいだった... ひと通り話した後,クライエントがボロボロ泣いた。病気になって、こんな楽しみのことを話せたのはあんただけ,と機能訓練ずっとしてきた」とこわいクライエントに言われた(笑)

よしやってみよう!

そう思ったのだけれど,老健で今までに一人のために料理をしたことはない.挙句の果てには,調理なんて誰にでもできるのか? 不平等だろと上司に言われた…

それでも種まきさんはやってみた.まずやってみた.

ただ,こっちが全て御膳立てするんじゃなく,老健の制限も含めてクライエントと相談しながらやった.クライエントが決めたメニューは玄米おにぎり.理由は「げん」を担ぐため.洒落の分かるクライエントだった.

当日.ちょうど見学に来ていたOT実習生に,クライエントは何年もしていなかった料理を振る舞った.

クライエントも喜んでくれたし,他職種さんも,クライエント楽しそうだったね、今度から稟議書だしてくれたら,私が通すわと婦長さん.




楽しかった.

そして,ADOCを使うようになった…

OBPをやってみると,チームが変わった.
「こんな支援がしたかった...」と.
それから,園芸,生花,釣り,干し柿,盆栽... いろんな事をやった.
もちろん他職種の協力のもと.



僕は,これまでPTっぽいことをずっとやってきた経験年数5年目?のOTでもこういうことができる,と言いたいのです.種まきOTさんなりに悩んだと思います.皆さんも悩むことでしょう.でも,種まきさんが言うには,「やるか,やらないかの」違いなんです.それは僕も同意です.


僕の好きな「昨日のNo, 明日のYes」という歌で,
「過去の全ての失敗と失態を「経験」と呼び直すためにある今日」という歌詞があります.

すべては経験です.

「明日の Oh Yes Yesの為のベスト その瞬間は今です たった今です
やるかやらないかのちょっとした違いです

昨日の Oh No は 明日の Yes 変えるのは君なのです 君なのです
コケるのは何度だってかまわないのです」

変えるのは君です.他の誰でもありません.

最後まで読んで下さりありがとうございました.


Bank Band

昨日のNo, 明日のYes

作詞:GAKU-MC
作曲:森俊之

ほっとくといつも君は全てを一人で背負うようなとこがある
だからそういう意味だ 頑張りすぎのようだ どことなく
さあ感じるこのビートにその身をゆだねてもいいのに
もっと take it easy 気楽に行けばいい

寝不足のその瞼 隠そうとする帽子 目深にかぶって
歩く かなり 脇目もふらずがむしゃらに
心配ごとはつきないほうだね いつの間にか社会人と呼ばれ
君を理解する人は nobody 不条理なこの街にもう駄目
たまの休みあの子とすれ違って することもなく寝ちまって
しまいにゃ寝違えて なんかぱっとしねえな
まるで三日目の二日酔いみてえだ
あの日描いていた大人の理想 かけ離れて 流れて ここにそう
たどり着いた場所で己に問う 鏡の中の君はだれでしょう

昨日の Oh No は 明日の Yes 変えるのは君なのです 君なのです
コケるのは何度だってかまわないのです
昨日の Oh No は 明日の Yes 変えるのは君なのです 君なのです
最後に笑っていればそれでいいのです

若気の至りだったねと アルバムの写真取り出して
そんな時もあったねと 振り返る タバコの煙くゆらして
あれからどれくらいの時が流れたか 君はだれ
変わり果て 心まで疲れ果て ため息ばかりでるのはなぜ
精一杯の努力とか一生懸命が茶化されるこの時代にあえて宣言
固定観念や偏見 コンプレックスさえも武器にして叫んで
いつの日かつかむはずの成功と栄光 迷走し続け いざ行こう
過去の全ての失敗と失態を「経験」と呼び直すためにある今日

昨日の Oh No は 明日の Yes 変えるのは君なのです 君なのです
コケるのは何度だってかまわないのです
昨日の Oh No は 明日の Yes 変えるのは君なのです 君なのです
最後に笑っていればそれでいいのです

出会いと別れを繰り返しまた人は今日もどこか向かい何か探す
探す 探し物が何かも知らず
さあ行こうか とまらずに どこまでも 愚痴漏らさずに
さあ行こうか とまらずに コケるにしたって前のめり
出会いと別れを繰り返しまた人は今日もどこか向かい何か探す
そんで とんで ぶっとんで勢いつけてこうぜ

明日の Oh Yes Yesの為のベスト その瞬間は今です たった今です
取り返しなんて多分つくはずなんです
明日の Oh Yes Yesの為のベスト その瞬間は今です たった今です
やるかやらないかのちょっとした違いです
昨日の Oh No は 明日の Yes 変えるのは君なのです 君なのです
コケるのは何度だってかまわないのです
昨日の Oh No は 明日の Yes 変えるのは君なのです 君なのです
最後に笑っていればそれでいいのです







2014年2月21日金曜日

ADOCの効果って何だと思いますか?

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不眠症.tomoriです.教員になるまでは夜寝たら朝まで一度も起きなかったのになぁ.




ADOCの効果ってなんだろなと、たまに考えます。たまにかいっ!て突っ込みたいと思われますが(笑)

僕らが開発したので、その検証作業で業績を稼ぐことも出来るんですが、まぁなんていうか新しい事をしたがりの性格だし、いちいち全部を研究で確認してたら時間足んないし、最低限のことはやってるので、あとは皆さんで検討していただきたいです。引用さえちゃんとしてれば、研究で使う分には別に許可とかいらないですので。

そんな中でも、気になることが一つあります.ADOCはセラピストどう影響を及ぼすか,すなわちOBPへいざなうのか?ということです.



「ホントはそんなことしたいって思ってたんだ…」というのがADOCを使った感想としてよく耳にします.

OBPの体験って,まずはそこじゃないですか? 


なんでこんな普通のことなのに,ちょっと障害があるだけでやっちゃダメなの?
なんで? なんでダメなの? 同じ人間でしょ? なんでこんなに虐げられるの?

今では「作業剥奪」と表現できるかもしれませんが,その頃は言葉が無い,つまり概念が見つからないので,ただ悶々としていました.

「よし! ○○さんがそこまでいうなら俺がなんとかする! でも絶対二人だけの内緒にして(笑)」 

初めて万引きしたときのように(笑),足ガクガクさせながら,僕のOBPは始まったような気がします(笑)

臨床実習の時でした.

それ以降,二人だけの秘密の作業療法.よくやりました(笑)

図書館で偶然見つけたこの言葉を相棒に.

「われわれ作業療法士は人間の作業療法(occupational performance)を扱っているのです.片麻痺や脊髄損傷を扱っているのではありません.いいですか,人間の作業遂行なのです.それは患者としての,死期が近づいた者としての,職業人や学生としての様々な場面での作業遂行なのです」

引用:Mary E Evert, 長谷龍太郎:21世紀の作業療法をめざして.OTジャーナル 31: 1997.

参考:僕の作業療法のルーツ




僕がADOCで好きなところ.それはOBPを体験できることです.少なからず体験できると思います.OBPの楽しさを.体験できないことは理解できないし,他者に自信もって語れないですよね.


以下.日本作業行動学会のシンポジウムの,寄稿した内容を一部抜粋した内容です.

「ADOCは,アプリケーションに従っていくことで,作業レベルの最低限度の目標設定ができる.これは,理論を学んでから臨床でOBPを実践するという従来の学習プロセスに対して,まずOBPを臨床で体験してから理論を学ぶという,新たな学習プロセスを創発した.

人は自分自身の経験のフレームを通してしか,新たな概念を学習することができない.現在OBPを実践している作業療法士でも,OBPの経験フレームが無かったころは,OBP関連の理論を難解に感じた経験あるだろう.

作業療法関連の理論は,作業療法の可能性を拡げる非常に重要なものであることは言うまでもない.しかし,その理論を学ぶことに多くの作業療法士が関心を持たなければ,あるいは興味があっても挫折してしまっていては,それらの理論は机上の空論に終わってしまう

ADOCは,まず現場でOBPを手軽に体験し,その体験をもとに,理論などを学ぶための経験フレームやモチベーションを作ってくれると我々は考えている.これまでOBPに全く興味が無かった作業療法士や,OBPを頭では何となく理解していても実践できなかった作業療法士にとって,ADOCが理論を学んだりOBPを実践したりする「きっかけ」になってくれればと願っている」



ADOCは扉です

ADOC project の活動をきっかけに,OBPの扉を開き,作業療法の楽しさを肌で実感できたならば,僕らはこの上ない幸せです.

事例本,日本臨床作業療法学会は,まさにそのためにやっています.ちなみに竹林さんのFBもいい感じになってきたわ(笑)

もちろん,その他にも僕らはいろいろ仕掛けています.作業療法の楽しさの伝播のためにね(笑)

ではでは,明日もバタバタなのでぼちぼち寝ます.


最後まで読んで下さりありがとうございました.


2014年2月20日木曜日

無名の僕らが事例本を出すまでにしてきたこと

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かみさんが皿をよく割るので、木の皿を買ってきたその日に、僕が踏んで割りました。tomoriです。



先日,医学書院さんに,侍さん,メガネOTさん,琉球OTさん,それに僕,編集者一同集合し,事例本の最終打ち合わせを行いました.11時〜21時までの約10時間ほど,話し合いました.これが面白くて,ドキドキして,読んでても全然眠くならないんですよね(笑)

 メガネOT「いや〜,この本マジ腰抜かすわ〜」
 琉球OT 「こ,これ,おもわず線引きそうになるな」
 侍OT  「分かります,分かります(ニコニコ)」

みたいなテンションでした(笑) 会議後0時まで(笑)



しかし自分たちで本を出すって... 改めてすごい経験です.何で俺らこんなことに? そもそも分担執筆すらほぼ無い状態でしたので,どうやって本って出版されていくんですか?って感じです.もしかすると,自分で本を書いてみたいという方もいるかもしれないので,今日は僕らの経験を少しシェアできればと思います.

もちろん無名の僕らに書いてくださいなどと依頼はありませんでした(笑) 僕らは紹介半分,企画持ち込み半分みたいな感じです.でも最近はこのスタイルで決まることも多いと聞きました.

1) 出版社の方とコンタクト 2012.6
学会の時に初めてご挨拶し,こういう企画を考えているんですけどと立ち話をしました.出版社の方は,学会を回ったり,著明な方と話したりしながら,旬なテーマや人をリサーチしているようです.その後,2回ほどスタバやモスでお会いし,企画の趣旨のヒアリングを受けました.琉球OTさんは,iPadをとりだし「10年おでん」無理やり見せてました(笑)

2) 見本原稿の作成・社内企画会議 〜2012.12
ヒアリングが終わり,見本原稿を書きました.それをベースに,他の著明な先生にヒアリングしつつ,企画会議にかけられるそうです.侍さんが書いた文章が幸いに好評だったようで,企画が難なく通りました.本来,ここでボツになることもあるでしょうね.

3) 目次の作成・著者の選定・依頼 〜2013.1
企画が通ったあとは,再度目次の整理です.編者は住んでるところがバラバラなので,skype会議で内容を詰めていきました.その後,分担執筆者を割り当て,執筆者へ打診を行い,内諾が得られたら出版社から正式に依頼がいきます.もちろん僕らは若輩モノなので,執筆を依頼する先生には大先輩も多く含まれます.とにかく僕らの気持ちが伝わるよう丁寧にお願いしていきました.この辺では交友範囲の広さがものを言います.メガネOTさんはホント広いです.びっくりしました.

4) 執筆 2013.2〜7
依頼をしつつ,執筆もしていきます.今回はそんなにページ数が多くなかったので良かったです.侍さんは書くことが好きなので,そこまで苦にはならないとのことでした.羨ましいかぎりです.

5) 原稿の修正 2013.8
分担執筆者へ依頼していた原稿が戻ってきますので,それを確認して,修正してほしいところはお願いしました.集まらない場合には催促をしていきます.

6) レイアウト,色,表紙などのイメージすり合わせ(最後の最後まで)
これは本来不要な作業かもしれないので,あまり参考になりません.しかしこれは僕らは早くからかなりこだわってました.まず本を見てください(笑)ページをめくれば,僕らのこだわりがよく分かると思います.直接デザイナーさんとも会いましたし,何度も修正をお願いしました.決まったものでも変更しようとしたり,琉球OTさんはこういう表紙にしてくれと自分で作ったりするので,担当者の方はデザイナーさんとの間に挟まって相当大変だったと思います.4人で深く深くお詫びしてきました.

7) ゲラの確認 2013.11
いわゆる著者校正ですね.分担執筆者へゲラを戻して,赤で修正してもらいます.今回は一人分の原稿量がそこまで多くなかったですし,皆さんかなり協力的でしたので,わりとスムーズにいった気がします.

8) 編者最終確認 2014.2
先日の会議です.皆で集まり,原稿を読みながら,曖昧な箇所を徹底的に話し合いました.そして赤で修正しました.大きく修正しなければいけなかった箇所は著者に確認しました.最終チェックは侍さんにお願いしました.まだ侍さんが頑張っていると思いますが,今のところ僕の作業は終わりました.

9) 先行販売 2014.3.22
ということで,日本臨床作業療法学会で先行販売いたします.現在300名以上の参加者ですが,200冊くらい用意する予定です.もし売り切れたらごめんなさい(笑)



大阪学会の帰りに新幹線で侍さんと話したとき,侍さんは「いつか本を書くことが夢でした」と言ってました.そのためにブログも書いていたようです.やはり準備している人のところにチャンスは舞い降りるのか,準備しているからチャンスをつかむことができるのか,どっちかは分かりませんが,僕らが本を出せるのは,侍さんがコツコツ準備していたからです.

しかしこの1年間.本を編集するというのは大変な作業だと身にしみてわかりました.しかし,日本臨床作業療法学会と事例本と,1年以上かけて仲間とやってきた仕事を同時にお披露目できるというのは,何とも嬉しい限りです.2014/3/22は最高の一日になりそうです.



長くなりましたが,最後まで読んで下さりありがとうございました.



2014年2月14日金曜日

ADOC project は NPO法人としてスタートします.

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雪の日はますます外に出たくないtomoriです。雪遊びなんてとんでもない(笑) しかし朝活が辛い季節になりましたね。


さて、この度私たちADOC project は ,沖縄県よりNPO法人として認定されました!

ホームページも少しだけ新しくしました

え? 何のために?と思う方も多いと思います。僕らはどんな活動をしたいのかと言うと、実はこれが不明確なんです(笑) というのも、ADOC project はクライエントや仲間の一人ひとりの夢(社会参加)の実現をお手伝いするために立ち上げたからです。なので僕らは、皆さんの「これやりたい」がないと活動を起こせない、ごくごく受身的な団体です(笑) でも、それもまたADOCらしくていいじゃないですか(笑)



ADOC project の理念は共創です。ロゴの2本の矢印は、一本は僕ら、もう一本は皆さん。二つがいつかしら連なって突き進んでいく。こんなイメージで、皆さんとより良い社会の仕組みをデザインしていけたらいいなと思ってます。

医療、介護、教育において、ADOCはこんなことに役立つよとか、こんなこと一緒にしてみませんか?とか、何かアイデアがあれば、ぜひ僕たちまでご連絡ください。

とりあえず、全国でADOCやADOC-Sの活用を検討している施設があるかと思いますので、その辺から何かサポート出来ればと思っています。


なお、法人申請の書類作成にあたっては、静岡のNPO法人えんしゅう生活支援netさんが快く協力してくれました。この場を借りて御礼申し上げます。


沖縄から世界へ! を合言葉に、まず沖縄から発信して行きたいと思ってます。

これからもよろしくお願いします!


最後まで読んでくださり、ありがとうございます。


2014年2月11日火曜日

「士」がつく職業のコモディティ化

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たまには子供と遊ぼうと思って勇気を出してアンパンマンの映画に誘ったものの,「はっ?子供の見る映画なんて見たくない」と,小学一年生の長女に言われました.tomoriです… もうすれ違うのか.早いな...


さて、今日はマネージメントされている方,または上を目指してやる!という方むけに書いてみます.

先日20年後に消える職業ランキング(オックスフォード大学)の記事あり,そのレポートで作業療法士は逆に消えない職業6位となっていました(PTは90位)。原著をあたると、英語で70ページほどあったので速攻で諦めました(笑)

やはり人と作業の組み合わせを考える作業療法は,複雑すぎてITには任せられないでしょうね.でも複雑ってことは能力に左右されます.つまり免許があれば誰でも同等の能力を兼ね備えているというより,個人によって差が出る,という感じになるだろうと思います.



一方、去年読んだビジネス本で、瀧本哲史氏は、士のつく職業がコモディティ化しつつあると述べています。コモディティとは日用品の意味ですが,ビジネスでは誰でもできる仕事を指します。作業療法士も専門職で一応国家資格ですが、年間4000人ほど増えてますし、スキルの差が診療報酬に反映されないので、強制的にコモディティ化まっしぐらな状況です. 

まぁどこに行っても同程度の医療を保証しないといけないので、医療自体が他と差異をつけることが難しい仕組みにはなってますが、作業療法士個人であれば他の作業療法士と差異をつける事は可能です。

このようなご時世、生き残れる働き方として、瀧本哲史氏は漁師に例えています。
  1. とれた魚を他の場所に運んで売ることができる漁師(トレーダー)
  2. 一人でたくさんの魚を取るスキルを持っている漁師(エキスパート)
  3. 高く売れる魚を作り出すことができた漁師(マーケター)
  4. 魚を取る新たな仕組みを作り出す漁師(イノベーター)
  5. 多くの漁師を配下に持つ、漁師集団のリーダー(リーダー)
  6. 投資家的な漁師(インベスター)
ですが、今後生き残るのが難しくなると予測されてるのが、トレーダーとエキスパートだそうです。トレーダーって営業とからしいので,あまり作業療法には関係ないかもしれません.エキスパートは多いに関係ありますが,診療報酬内で仕事している分は確かに難しいですよね。

マーケターは新たなマーケットを創ります。イノベーターは既存のものを組み合わせて新しい価値を生み出します。リーダーは言葉の通りです.インベスターは自分は作業療法が出来なくても、世の中の動きに敏感に反応して投資をします.

昔はエキスパートだけで結構良かったんです.士を持っているだけで稼げた時代です.でも今後はエキスパートとして専門職の研鑽を図ると同時に,マーケター、イノベーター、リーダー、インベスターの能力も身につけることが重要かと思います.


これは何も難しい話ではないです。職場内で出来る話なんです。即興の作り話で恐縮ですが,例えば...

エキスパート
褥瘡に強い作業療法士がいます.

マーケター
作業療法は褥瘡予防・改善にも役立ちますよ、Aさんは園芸を始めてから離床時間が長くなり、褥瘡の改善につながりました。

イノベーター
この作業療法部の取り組みを,看護部が行っている褥瘡の取り組みと一緒にすることで、より効率的に患者さんの褥瘡予防につながると思われます.褥瘡が軽減すれば,多くの作業遂行につながります.

リーダー
そのために作業療法部と看護部で共同の委員会を立ち上げます.私は委員会では日程やタスクの調整を行います.マニュアル作成などご意見いただければご意見ください.

インベスター
ちなみに私は事務長です(笑) この作業療法と看護部と取り組みを前面に押し出し,病院の収益増を目指します.そのために委員会や備品関係に投資します.


ちょっと最後が悩んだのですが(笑) この場合の投資って自己投資とは少しだけ違うので,こんなオチになってすみません.普段聞かない横文字でですが,でもこんな感じで,身近に沢山ある話だと思います.



普通に作業療法士として仕事していても,おのずとコモディティまっしぐらです.いきなり視野を広げなくても,職場内で出来ることは沢山あります.それがすぐに給料に反映されにくいのが難点だという人も多いですが,うちらの仕事ってそもそも儲からないけど成果がでなくても下がりにくい,と前向きに捉えれば良いと思います.せっかくチャレンジする機会を沢山与えられているシゴトなのに.それを報酬と思って活かしたいですね.


最後まで読んでくださりありがとうございました.


以下引用文献です.エッセンシャル文庫?






2014年2月8日土曜日

教える側の方々へ。

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先日三女のオムツから直径1センチほどのおはじきが出てきたときは,さすがに空いた口がふさがりませんでした。tomoriです。子どもがご飯たべないとか偏食とかという話はよく聞きますが,我が家の三女は過食すぎてこまっています.


さて,以前ブロガーのちきりんさんのTweetのまとめが物議を醸し出しました。教育に興味があると言い出したら、その人はアガっている、という内容のものです。何かを教える立場の方にはぜひ一読いただきたいです.


このちきりんさんが言わんとすることって,何となく分かります.自分が学んだことを後進に教えたいというゾーンの人と,自分の学んでいる最中というゾーンの人の違いですね.この違いは,何かを成し遂げたいとか,教える事柄を追求したいという思いのベクトルがあるかどうかによって異なると思います.

僕は,教える側になったとしても,教育者の思いのベクトルは,後進に向くより教えたい事柄に向いたほうが良いと思っています.教える側のその思いが強ければ,後進もいつのまにか引っ張られるという感じですね.
教える側になると批判を受ける機会が一気に減ります。また人に教える行為は記憶に残る割合が最も高く、勉強してるって感じにもなります。この環境は心地よく、俺って出来るなぁ、という錯覚に陥りやすくなります。でも教えるって,自分が知り得た知識や技術を振り返り、体系化していくプロセスであり,自分の枠を大きくは越えられない構造のような気がします.新しいものを得ているようで、得ていない気がします.

そうならないためには、教える側が教えることを常に探求し続けている,学習者である必要があります。後進のために教えている、というより、自分自身の成長の一貫として後進と接している、という学習者のスタンスを持ち続けることが大切だと僕は思います。

当たり前なんだけど難しい。自戒もこめて書きました。


最後まで読んでくださりありがとうございました。寒いので寝ます。

参考文献:「齋藤孝の相手を伸ばす!教え力」








2014年2月2日日曜日

Advancing occupation-based practice

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先週の朝.次女が「姉ちゃんは早く帰ってきてね」.僕へ「パパは遅く帰ってきてね」と言って見送ってくれました.次女はいま日本語勉強中ですので,まだ早くと遅くの概念が... いまいち... 理解できていないようです... tomoriです


さて,このブログでも何度かOccuaption-based practice(OBP)について取り上げていますが,先日Dr. Polatajko のEditorialを読んで,OBPは今過渡期にあるのかなと思いました.


まずDr.Polatajkoは,残念なことに,OBPは言葉による表現(レトリック)と実践に乖離があるのでは?という問題提起し,OBPはその概念と一致していない実践を制限しているように思うと.そして,OBPは,機能障害を少なくするために治療的な活動を使うし,作業的公正やインクルージョンを促進するために主張する,ことも含まれると述べています.もすこし具体的例として,1)着替えの練習,2) 車いすのクッション調整,3) 職場環境調整の働きかけ,これらは全てOBPに含まれると.

すなわち,OBPとは実際的な作業をすることを通して作業療法を展開する,ということ以外にも,アクティビティを使って治療することや,環境に働きかけることも,すなわちOBPということですね.

その後,作業の階層性構造を示すTaxonomic Code of Occupational Performance (TCOP) について触れ,その下層の遂行部分では,作業からほど遠いと言われるけども,機能障害は活動や参加を制限するし,機能障害の軽減は活動や参加を促進するので,機能訓練はOBPにおいて妥当な支援である,と述べられています.もちろんクライエントが望む作業の延長線上にあるならば,という前提において.

また,こういう議論は,理論にもとづき,「エビデンス」によって支持されるべき.だから研究が必要だと.そして話題は車いすのクッションに戻り,車いすのクッション調整やってもいいけど,エビデンスは? 褥瘡については沢山あるが,これでは不十分.つまり,作業遂行がどう変わったのか,というアウトカムが必要だと.



他にもいろいろ示唆が得られますが,僕視点でまとめると,

OBPは誤解されている.OBPとは幅広いもの.
機能障害は作業に影響するので機能訓練は大事.
こういう議論は,理論にもとづき,研究によって判断していきましょう.
その際,アウトカムは作業遂行にしましょうね.

って感じですかね.まとめると,ごく当たり前のことですよね.あはは(笑) でもDr. Polatajko が開発した支援方法→Cognitive orientation to daily occupational performance (CO-OP)は,患者さん自身に考えてもらうことを促す支援ですので,通常のハンドリングで受身的な機能訓練とは異なります.そこは勘違いしないように,と思います.

ちなみに僕の機能訓練に対するスタンスはこちら  アイデンティティ・クライシスの頃の機能訓練のイメージとは異なるように思います.



僕は現実主義のAB型なので,どうもこの手の議論に馴染めません.せっかちなんでしょうね.practiceをどうすんんだ? エビデンスは?と,先走ってしまいます.反省すべき点でもありますが.

その観点から,僕は作業療法が迷う理由はアウトカムの不備にあると思っています.作業療法は多様性を受け入れる支援なので,介入は状況にあわせてどんなことをしてもよい.でも最終的には,クライエントが望んでいる作業の遂行レベルで判断しましょうね,というコンセンサスがとれていない.ていうか,妥当で共通のアウトカムが無い.よって介入が良いのか悪いのか判断できない.これが作業療法の一番の問題だと思っています.

カナダはこの点において,COPMを作っています(皆が使っているかは分かりませんが).COPMという成果物はもちろんですが,COPMを作るまでの過程,つまり有識者が集まって共通のアウトカムを創ったというプロセスこそ,いま日本がカナダを参考にすべき点だと思います.生活行為向上マネジメントも,いま全国の有識者が集まって議論を重ね,少しずつですが良い方向に向かいつつあると思います.今後どうなるとりあえず静観しています.



さて,Advancing OBP... 現実主義な僕らADOC project は何をするか.OBPをめぐる論争.これは日本臨床作業療法学会に引き継ぎます.齋藤さん,藤本さん,竹林さん,最後にまとめは澤田会長.全て現役臨床家による講演.しかし何より100を超える演題.参加者の多くが発表するという,超参加型の学会です(笑)

またOBPをどうやればいいのかじっくり考えたい人には事例本です.これはOBPの実践をどうすればよいか侍さんがとてもわかり易く書いています.そして真似できる,真似したいレジメが沢山あります.日本臨床作業療法学会での販売を目指し,いよいよ大詰めです.いま表紙や帯をどうするか検討しています(笑) 2月に編者で集まって,最終チェックを行う予定です.

機能訓練をOBPでどう活用すればいいのか.僕らの仕事では,ADOC for handです.機能訓練自体が問題ではないんですよね.生活で機能を上手く活かせていないことが問題なんですよね.患者さんの行動変容を促すために,院生のohnoくんに連日頑張ってもらってます.先日イラストレーターとの打ち合わせが終わり,かなり遅れていますがちゃんと進めていますよ(苦



「楽しくOBPができるように」

僕らADOC projectの仕事は,全てここにつながっています.そのビジョンに向けて,今後も皆でいろんな取り組みをしていきたいと思います.ご賛同いただける方は,ぜひ一緒に! その仕掛けももう少しで発表できると思います.


なんか最後は決意表明みたいになってしまいましたが(笑),最後まで読んで下さりありがとうございました.


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