2014年11月30日日曜日

OBP研修会 in 福岡 1日目〜

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やっぱ食べ物は九州ばい。tomoriです。

約二年ぶりのADOC project主催のOBP研修会 in 福岡。ほぼ満席でのスタートです。ありがとうございます。お隣の方にお声かけしたら、関東から学生さんがわざわざ来てくださったみたいで…最後まで熱心に聞かれてました。




さて、今回のテーマは理想と現実をつなぐこと。何が理想で、どう具現化しているのか…



最初は僕から、OBPの概要とエビデンス、そしてチームでのトップダウンアプローチについて説明させていただきました。いまOBPが追い風にあること、我が国でもどんどん進化していくだろうと予測される反面、そのエビデンスはぜい弱である現実、そしてエビデンスを構築するためのポイントについて説明いたしました。その後、作業との連続性が保たれてるOBP実践、ADOCの特徴などについて概説しました。僕の話のほとんどがOBP理想についてで、現実はエビデンスということで。臨床の現実的な話はあとのメンバーにバトンタッチ。


つぎに齋藤さんによるADOCを使った面接とその解説、そしてOBPの実践例です。齋藤さんは、面接で気をつけていることについて、クライエントの参加を促すことや、目標を共有すること、などのいわゆる理想的な面接の話がありました。でも面接は作業の聞き取りではなく、クライエントが自分自身の作業と出会う大切な時間だし、まずは作業のことについて作業療法士に相談できるという信頼関係を作ることのほうが大切である、と。だから初回面接で作業選択ができなくても焦ることはない、という現実的な話も印象的でした。


その次は、上江洲さん。地域でのOBPとチームマネジメント。地域では他職種との協働がかかせませんが、OBPなんて誰も求めていない現状について述べ(笑)、それを彼がどうやって打開してきたのか。組織での根回しや利用者とのやりとり、メディアの使い方など、とてもとてもリアルな話でした。周りはOBPについて理解してくれないけど、でもみんな本当は利用者らしい人生を送るために専門職を目指していて、それを日々の業務で忘れているだけで、OBPはその大切な気持ちを改めて呼び起こすことができ、そうなると仕事が楽しくなる。そんな理想と現実をつなぐお話でした。




そして今日のトリは仲間さん。仲間さんは学校への巡回相談におけるOBPで、発達領域以外の方でも、OBPというのは、障害ではなくその人の大切な作業に焦点を当てるんだ!それによって人は自分自身で健康になっていくんだ!という本質的な部分を感じ取れたのではないでしょうか。理想的な取り組みですし、子どもの変化は全てホントの現実です。ただ学校現場で外部専門家が働くことは本当に大変です。そこの現実的な話は、とても1時間の枠では収まらないので今回は省略ですが、作業療法への情熱と信念を感じる素晴らしいプレゼンでした。



そんなこんなで、初日は終了!
2日目は竹林さんと澤田さんで、最後は、事前質問に対して、演者と参加者全員で考えるというシンポジウムを予定しています。





2014年11月12日水曜日

OBPって大事だってことは分かっている.でも実践何故できないのか? 

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卒論発表会前であくせくしております.tomoriです.


11月15日(土)に,第14回 東海北陸作業療法学会 の教育セミナーに登壇させていただきます.また,11月29-30日は,先日からご案内しておりますが,OBP研修会です.

どちらも,テーマは「作業を基盤とした実践」occupation-based prancete(OBP)です.


OBPって大事だってことはみなさん分かっている.でも実践何故できないのか? そこの悩みが長年解決されずに,永遠のテーマ化しているのですが(笑),いろいろ見聞きして,みなさんの悩みは結局3つに収束されるのかなぁと思っています.

1つ目は,作業って効果あるの? 心身機能が回復する可能性があるのに作業に「逃げる」のはセラピストとしてどうなんだ?というたぐいの疑問.これは近年作業を用いた支援,治療に関する研究が出てきているので,それをを整理することで見えてくると思います.

2つ目は.実際にどうやってやればいいの?ということ.これについては,面接や観察を中心としたトップダウンのアプローチを行うこと.その具体的なツールとしてADOCを紹介させていただきます.

3つ目は,チームでOBPを実践するにはどうすればいいのか? これはまだ明確な答えがあるわけではないですが,周りには実践している人が沢山いますので,今のところその人たちをお手本にしていくことかなと思います.

東海北陸学会では1〜2を中心にお話させていただきます.3つ目はどうしても教員の僕は弱いところなんですよね.でもOBP研修会では,うちら企画なんで1〜3全部がメインです(笑)

お近くでお時間ある方はお立ち寄りのほど,よろしくお願いいたします.

最後まで読んで下さりありがとうございましたーー.





東海北陸作業療法学会の抄録を添付します.

第14回 東海北陸作業療法学会 の教育セミナー
1日目 13:40〜15:10 第1ホール

作業を基盤とした実践

神奈川県立保健福祉大学大学院・NPO法人 ADOC project
友利 幸之介

近年,国内外において作業を基盤とした実践(Occupation-based practice:OBP)に多くの関心が寄せられるようになった.現在,OBPに明確な定義は無く,諸家により様々な意見があるが,共通点としては,「評価や介入は,なるべく実際の作業を通して行うこと」である.OBPは,作業療法が医学モデルに傾倒し,そのアイデンティティにゆらぎがあったことから,作業療法本来の強みである作業に焦点を当て,作業に直接的に評価・介入していこうという流れのなか,拡がりをみせた.
 一方,Polatajkoは,Advancing occupation-based practiceと題した論説において,機能障害の軽減は作業遂行を高めるための適切な介入とした上で,作業の可能化を目標にかかげ,その目標と実践や介入の連続性が保たれているならば,それはOBPと言えるだろう,と述べている.つまり,作業との連続性が明確にあるという前提のもと,作業への間接的な介入もOBPとして認めている.
 では,わが国のOBPはどうだろうか.齋藤は,OBPとは,クライエントが大切な作業に従事することを通して,よりよい作業的存在になるために行われるクライエントと作業療法士の協働であり,その支援内容は,クライエントの状態(発症時期や回復可能性など)によって,柔軟に選択されるべきものである,と述べている.確かに,わが国の作業療法の実状は,医療という枠組みの中で始まったものの,近年では作業療法士が従事する場や対象も多様化し,今後もさらに拡大していくであろう.そうなると,必然的にOBPにも柔軟性が求められる.
 こうした背景を踏まえ,近年,寺岡と京極によって,OBP2.0といった新しい理論も開発された.OBP2.0では,作業遂行機能障害に焦点を当て,その改善のために,信念対立解明アプローチに準拠して,状況と関心に考慮しながら,様々な介入を活用していく.また我々も,作業に焦点を当てた目標設定を,システマティックに行うためのiPadアプリであるAid for Decision-making in Occupation Choice(ADOC)を開発した.わが国のOBPは,先人の思想を受け継ぎつつ,「その時代の」日本にあわせた形で解釈され,進化し続けている.もちろんこの柔軟的な進化は,作業との関連性が希薄な実践の免罪符になってはいけない.つまり「なんでもあり」という訳ではない.また,実証的根拠なしに信念だけが先行してもいけない.本講義では,これまでのOBPの歴史を概観した上で,OBPに関する新しい知見を交えながら,OBPを具体的に実践するためのポイントについて概説する.



2014年11月9日日曜日

目的は「楽しく作業療法すること!」

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昨日,琉球OTさんと電話してて,「早く日本臨床作業療法学会のシンポジウムの内容を決めろ」と言っていたら,「あんたが自分にまかせてくれと言ったろ」と叱られました(笑).しかも,このやりとり自体が3回目らしいんです(笑) tomoriです.そういえば,先週竹林さんにも,「MMSEとるか? これ聞かれるの4回目だけど」と言われました.みなさん,悪気はないので患者さんと思って接して下さい.


さて,僕の講演を聞きにくださった方は目にしたことがあると思います.僕は必ず最初にこのスライドからスタートします.それは僕たちADOC projectのWhyです.

僕たちの活動目的は,「みんなが楽しくOTをすること」です.そのための手段としてOBPやtop-downがあり,具体的なツールや方法として,ADOCなどのアプリの開発,書籍,学会や研修会,そして研究があります.つまり僕たちがやってることの全ては,クライエントや作業療法士が楽しく作業療法をすることにつながっているわけです.




先日,小樽臨床作業療法研究会で,トップダウンの作業療法についてお話させていただきました.僕の前は竹林さんという,なんとも居心地悪い感じでしたが(笑)

講演後に,「2月の日本臨床作業療法学会に参加し,OBPを導入してから,職場の雰囲気がめっちゃ変わりました.スタッフは担当外にも興味を持つようになり,職場に笑い声が飛び交い,うるさくなりました(笑).あの日から変わりました」と伺いました.これは上記の通り,「楽しくOTする」ために活動している僕にとっては,何よりも嬉しかったです.これですよね.僕らの活動の目的は.

いつまでもWhyを見失うことなく,学会やツールを通して,OBPやトップダウンをすることで,OTはもっともっと楽しくなるぞ〜,という流れを,これからも支援することができればと思います.

また,日本臨床作業療法学会とのからみかどうか明確ではないですが,臨床作業療法というネーミングで,沖縄,京都,小樽と,各地で作業を大切にしようという勉強会が立ち上がってきてるらしく,とっても嬉しく思います.ぜひ勉強会を立ち上げようと思っている方はご連絡ください.



そうそう.先日,第2回 日本臨床作業療法学会 の演題登録も締め切りました.多数のご応募ありがとうございました.

1回目も上記の通り,作業療法を楽しくするきっかけを作れたかなと思いますが,2回目は1回目以上に楽しくなると思います(笑) なるべく早めに査読結果と発表日時をお知らせしたいと思っています.今回演題登録された方は基本的に参加できます.

また,今回学会発表はしないけれども学会には参加したいという方への一般募集も,近日中に開始されます.ぜひ作業療法の楽しさを共有しましょう.回復期以外は,各セクション数名の空きになっています.基本的に早い者勝ちですので,ホムペをこまめにチェックしてくださいね.

では最後まで読んで下さりありがとうございました.

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