2018年6月1日金曜日

作業療法定義が改定されました!

Clip to Evernote
時が経つのは早いもので,サウンド・オブ・ミュージックを見て歌い踊っていた純朴な長女もいよいよ反抗期を迎えました.常にイライラしてますし,箸が転がったら怒ります(笑) tomoriです.


さて,先週,作業療法士協会の定義が「33年ぶり」に改定されました.総会の議案書はこちらです.学術部内の定義改定委員として,5年前から本件に関わっていたので,総会での投票時には流石に少し手が震えましたが,200/205票の賛成をもって可決されました.ご意見,ご協力いただいた皆様へ感謝申し上げます.詳しい解説は協会の刊行物で行う予定なので,とりあえず定義のみ下記に記します.

個人的な意見ですが,定義って歌詞のようなもので,歌う歌手によって聞こえ方は変わります.今後いろんな場所で,いろんなアレンジが響くのかと思うと,とても楽しみです.今回の定義改定により,多くの作業療法士の可能性が広がることを切に願っています.



------------

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。

(註釈)

  • 作業療法は「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念と学術的根拠に基づいて行われる。 
  • 作業療法の対象となる人々とは、身体、精神、発達、高齢期の障害や、環境への不適応により、日々の作業に困難が生じている、またはそれが予測される人や集団を指す。 
  • 作業には、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれる。 
  • 作業には、人々ができるようになりたいこと、できる必要があること、できることが期待されていることなど、個別的な目的や価値が含まれる。
  • 作業に焦点を当てた実践には、心身機能の回復、維持、あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と、その作業自体を練習し、できるようにしていくという目的としての作業の利用、およびこれらを達成するための環境への働きかけが含まれる。

最後までお読みくださり,ありがとうございます.



2018年4月23日月曜日

学校作業療法士(School-based OT: SBOT)研修会

Clip to Evernote
今思えば,自分が作業療法学生のころに,就職どうするかと言われ,不登校の支援がしてみたい,と教員に相談してました。tomoriです。自分でも理由はよく分かりません。


そんな思いもあってか,日本臨床作業療法学会主催で,学校作業療法士の研修会を企画しました。

講師の皆さまは,いま学校作業療法を学ぶには最強の布陣だと思っています。

 酒井康年 :うめだあけぼの学園
 高橋香代子:北里大学
 高畑脩平 :白鳳短期大学
 仲間知穂 :こども相談支援センター ゆいまわる
 山口清明 :NPO法人 はびりす

僕は全員の講義を聴きましたが,どなたもとても分かりやすく,リーズニングもしっかりしています。もちろん実践の実績はいうまでもなく,それに加えて論文や著書の執筆,講演活動もあちこちでされています。




H30年の障害福祉の改定では,放課後等デイサービスが絞られ,保育所等訪問支援はプラスになりました。保育所等訪問支援は,いままさに適切な提供が求められているサービスです。「適切な」というのがポイントで,正直生半可な実力では学校側から即座にNOと言われてしまいますし,実力のある方でも,営業力や巻き込み力がないと単発的に終わるサービスになってしまいます。その実力そのものも,通院形態で長らく経験がある方でも学校訪問はまた別なんじゃないかなと思います。とかく,興味はあるけど簡単に手が出せない,という感じでしょう。

なので,本研修会もホントは5日間くらいやりたかったのですが,今回は初回なので,1.5日,2.5日からはじめます。ちなみに2.5日+見学コースは速攻で定員に達しました。1.5日,2.5日コースも,もうすぐ定員です(2018/04/23時点で残り10名)。ていうか正直この金額では満員御礼でも赤字です(苦) 講師の方も含め,「学校作業療法をなんとかしたい」という思いで開催される研修会となっています。

申込みはこちらです。


最後まで読んでくださり,ありがとうございました。





2018年4月15日日曜日

作業療法研究の優先順位

Clip to Evernote
京極さん,竹林さんと一緒に研究法の本を書いています。tomoriです。全ての原稿が上がってきて,今編集の段階なんですが,お二人の原稿を分かりやすく仕上げるのが僕の役割になっています。



さて,研究テーマの決定って結構むずかしかったりします。以下,作業療法研究の優先順位に関する研究があり,ゼミ生と読みましたので,紹介します。


国際的作業療法研究の優先順位:デルファイ法
World Federation of Occupational Therapists, et al. "International Occupational Therapy Research Priorities: A Delphi Study." OTJR: occupation, participation and health 37.2 (2017): 72-81.
フリーで読めます

WFOTが企画し,加盟国46/87カ国がこのデルファイ法に参加し,3ラウンドで以下の8つのカテゴリーができたようです。

  1. Effectiveness of OT interventions 
  2. Evidence-based practice and knowledge translation
  3. Participation in everyday life 
  4. Healthy aging
  5. Occupational therapy and chronic conditions
  6. Sustainable community development and population-based occupational therapy interventions
  7. Technology and occupational therapy
  8. Occupational therapy professional issues

以下,8つのテーマの解説と,私見を述べたいと思います。もしお読みの方で,検討中の研究テーマがあれば,8つのどれに当てはまるか,考えてみて下さい。




1-2位 作業療法介入研究とEBP
1位のエビデンスレベルが高い手法での介入効果研究は,そりゃ優先度高いのは分かりますが,その次にEBPやEBPを実践するための知識や方法に関する研究が入っているのも興味深いですね。研究者や教育者はEBPへの行動変容を促しているかちゃんと考えろと明記されており,エビデンスを作るだけでなく,使うことまでちゃんと考えているなと。この辺は研究本で最も強調したいところでもあります。


3位 いわゆる作業の研究
タイトルだけみれば,今更いるかなぁと思いましたが,服役中の人とか,退役軍人とかの作業を考える,という新規開拓っぽい印象。そういえば,WFOTの新しい教育指針で,1年生?のときに,新規開拓の目的も含めて「作業療法士がいない」ところで実習するとか,日本ではあまり考えられないようなことも盛り込まれていましたね。日本では,個人の興味により過ぎの質的研究が多い気がします。こういう新規性をもった質的研究が増えることを期待します。


4位 健康長寿
これもなんかテーマだけみれば真新しさは無いのですが,そもそも2025年問題がまだ到来していないから実感がないのかもしれないだけですね(笑)。センセーショナルだったWell Elderly studyも実はそんなに大きな効果が期待できるものでもない気がします。でも,この手のテーマは机上の空論ばっかで,作業療法っぽい実証研究は殆ど無いですし,今後ずっと優先度が高いテーマであることは変わりないですね。


5位 慢性疾患への作業療法
これは作業療法で自己管理を指導しようというコンセプトです。それによって地域で暮らそう,とか。テーマ的にいいですよね。エイズ,精神疾患,糖尿病など,いろんな慢性疾患への作業療法研究が,一括りにまとめられた,というイメージですね。子供もここに入れられているようです。セルフマネジメントは作業療法のどの領域でも大事なコンセプトになると僕は思っていて,世界的にセルフマネジメントに造詣のあるLinda先生福岡国際学会にお招きしています。ぜひ最先端のセルフマネジメントを聞きに来て下さいね。


6位 地域開発,ポピュレーションアプローチ
地域全体をみましょう,ということですね。日本でも,地域包括ケアシステムの推奨により,市町村で働く作業療法士も増えてきたのではないでしょうか。僕の周囲でも,行政との協働により,調査研究やコホート研究を実際に関わる研究者も増えてきました。作業療法士が地域全体の作業機能障害をみていく,そんな研究とかも進むといいですね〜。


7位 テクノロジー
作業療法でテクノロジーをどう活かすのか,そんな内容です。この辺,東京工科大学でも教育研究でリードできるようになるといいなと思います。一応,ICTについては,僕も前に少しレビューを書いたことがあります。

友利幸之介. —ICT と臨床業務 ①—ICT のエビデンスと実際. 作業療法ジャーナル, 2015, 49.9: 932-940.

この文献でも紹介したのですが,青年期うつ病患者向けの認知行動療法をベースに開発されたゲーム,SPARXが,日本語対応になって販売されているようです。RCTで検証され,BMJに掲載されています。僕も含め,単に新しいやつ開発しましたー!で終わる研究が多いので,SPARX的なRCTまで考えた研究を見習いたいですね。


8位 専門職の問題
主に教育系のテーマですね。海外は何年も前から修士レベルになってきているにもかかわらず,日本は専門学校も含め3年からです。教える内容も学校や教員によってかなり違う印象があります。教育研究はあまりやっている人がいないのですが,ちゃんとやるべきだと僕は思っています。スキルの高い作業療法士がどんな教育を受けたのか,後ろ向き研究とかでネタは転がっているのではないでしょうか。また,臨床実習または新人〜5年目までのルーブリック評価開発とか,あまりやっている人が少ないぶん,ニーズは高いと思います。


以上,ちょっと書くつもりが長くなってしまった…(笑) 

最後まで読んでくれた方は少ないと思いますが(笑) ありがとうございました。






Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...